本日、8月22日は「すみれ September Love」土屋昌巳の誕生日

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【大人のMusic Calendar】

本日、8月22日は土屋昌巳の誕生日。66歳になる。彼は1952年8月22日生まれ、静岡県富士市出身である。ご存知のように土屋といえば「一風堂」での活躍がお馴染みだろう。1982年、同バンドのリーダー、ギター、ヴォーカリストとして、「すみれ September Love」をヒットさせている。同曲はカネボウ化粧品のCMソングとして起用され、約45万枚を売り上げる。オリコン最高2位。TBSの歌番組『ザ・ベストテン』では1982年10月7日に6位にランクインして初登場している。同番組ではスタジオ出演ができない場合は、コンサート会場やレコーディングスタジオなど、その出先まで追っかけて“中継”していたが、当時、土屋昌巳はイギリスのバンド、「JAPAN(ジャパン)」のワールドツアーにサポート・メンバーとして参加していた。そのため、ロンドンから中継で出演している。「すみれ September Love」は、1997年にSHAZNAがカヴァーして、リバイバル・ヒット。SHAZNA以外にもカブキロックス(1990年)、川辺ヒロシとクボタタケシのユニット、SONS OF NICE YOUNG(1996年)、メガマソ(2011年)、多和田えみ(2011年)などがカヴァーしている。

土屋はシンガーソングライターのりりィのバック・バンド「バイバイ・セッション・バンド」(斉藤ノヴ、坂本龍一なども参加していた)の初代ギタリスト(土屋脱退後に加入したのが伊藤銀次)、歌手の大橋純子のバック・バンド「美乃家セントラル・ステイション」を経て、1979年に「一風堂」を結成。結成当初はロック歌手、山本翔のバック・バンドも務めていた。一風堂として、『NORMAL』(1980/3/21)、『REAL』(1980/9/21)、『RADIO FANTASY』(1981/7/21)……などのアルバムを連続リリース。81年に写真家の井出情児が制作したビデオ・クリップ『COSMIC CYCLE』(ゾンビーズのカヴァー「ふたりのシーズン」などを収録)は英国でも話題になった。また、前述したようにJAPANのツアーのサポート・メンバーとして参加。その前後には矢野顕子や高橋幸宏、MELONなどのサポートもしている。一風堂後はソロ・アーティストとして活躍。80年代には5枚のアルバムを発表(『RICE MUSIC』(1982/6/21) 、『TOKYO BALLET』(1985/6/21)、『LIFE IN MIRRORS』(1987/10/21)、『HORIZON』(1988/6/22)、『TIME PASSENGER』(1989/9/1)など、エピック・ソニーからリリースした5枚のソロ・アルバムにボーナストラック、別冊ブックレットを加えたボックス・セット『SOLO VOX -epic years-』が昨2017年12月にリリースされている)。さらに1985年には「デュラン・デュラン」のサイモン・ル・ボン、ニック・ローズ、ロジャー・テイラーが結成した「アーケイディア」のレコーディングにも参加している。

1990年からロンドンに移住。1990年代はTHE WILLARD、BLANKEY JET CITY、GLAY、マルコシアス・バンプなどをプロデュース。“バンド・ブーム”の中、正しい音と音楽を布教していった。その後LUNA SEAのギタリスト、SUGIZOの勧めで再びソロ・アーティストとして復帰。

また、2001年には佐久間正英(G、Key)の呼びかけで屋敷豪太(Dr)、ミック・カーン(B)、ビビアン・スー(Vo)と共に「The d.e.p」を結成。アルバム『地球的病気−We are the d.e.p− 』をリリースした他、ソロ・ライヴやGLAYのライヴへゲスト出演している。2008年3月、加藤和彦(Vo)、小原礼(B)、屋敷豪太(Dr)、ANZA(Vo)と「VITAMIN-Q featuring ANZA」結成。12月にアルバム『VITAMIN-Q』をリリース。2009年9月、ロック・フェスティバル『BUCK-TICK FEST 2007 ON PARADE』にソロ名義で出演。2013年11月に自身主宰のレーベル「Mazzy Bunny Records」よりソロ・アルバム『SWAN DIVE』を発表。97年に発売された前作『森の人』から15年ぶりとなるソロ作品である。ゲスト・ヴォーカルにDer ZibetのISSAY、キーボードにホッピー神山、ドラムに元MAD CAPSULE MARKETSの宮上元克、ベースにRIZEのKenKenが参加。同作と前後して、2013年6月、「KA.F.KA」を結成し、2014年6月に配信音源を発表している。初ライヴは2013年4月、京都のライヴハウス「磔磔」で行われた金子マリ主催のイベント『たっぷり金子な7日間』だった。当初は、このために急遽結成されたバンドであったと言われている(実際、KenKenはこのライヴのみ参加)が、ISSAY(Vo)、土屋昌巳(G、Vo)、the HIATUS、元TMGEのウエノコウジ(B)、宮上元克(Dr)、minus(-)、元ソフトバレエ森岡賢(Key)というメンバーで活動を継続。2015年5月、アルバム『Fantome † Noir』をリリースしている――。

と、書いたら切りがないので、詳しいことはHPなどを参照してもらいたいが、最近は、この5月に発売された能年玲奈改め、のんのアルバム『スーパーヒーローズ』にギターで参加。彼女とのツーショットがのんのインスタグラムで公開され、“のん、あの伝説のギタリストとツーショット”と話題になった。

しかし、土屋は伝説のギタリストではない。いまも現役で活動を続け、新たなキャリアを積み上げている。先月、7月6日に東京・下北沢「GARDEN」で行われた『古田たかし還暦記念興行~しーたか60祭~』に出演。原田真二や佐野元春、奥田民生、PUFFYなどを支えてきたドラマー、古田たかしの還暦を記念する興行だが、古田がこのところ、サポートしている金子マリ&BUX BUNNY、そしてCharとのライヴが行われ、土屋はBUX BUNNYにギタリストとして参加した。往時と変わらぬ演奏と容貌で、会場のオーディエンスを魅了。アンコールの全員参加のセッションではCharとのツイン・リードという夢の競演も実現している。

土屋は金子マリとは前述通り、度々、共演、同じく土屋のプロジェクト「KA.F.KA」には金子マリとジョニー吉長の次男・KenKenも参加していた。それ以前に一風堂のドラマーだった藤井章司はChar、金子マリ、鳴瀬喜博などが参加していたSMOKY MEDICINE(スモーキー・メディスン)のメンバーでもあった。そんな交流、経緯があっての今回の合流だが、その日、一風堂のバンド名の由来も語られた。博多豚骨ラーメンでお馴染みの「一風堂」と混同されるが、同店の出店が1985年。当然、バンドの一風堂が結成されるのはそれ以前、1979年のこと。同店のオーナー、河原成美は店名には「業界に一陣の風を吹かせたい」という思いが込められていると語っているが、実際には好きなバンド(一風堂!)名から取ったと、産経新聞のインタビューで答えている。土屋本人も同店が「一風堂」から取られたことを知っていた。そもそも「一風堂」というバンド名は東京・渋谷にあるディスカウントストアの老舗「一風堂」から取られている。検索すれば出てくることだが、改めて土屋の口から言われると、都市伝説などではないことを再確認できる。同店は渋谷駅南口を出て国道246号の歩道橋を渡った桜丘町にあった(というか、現在も同所で絶賛営業中!)。同店周辺にはヤマハのスタジオ「エピキュラス」や松本隆なども打ち合わせに使用したという音楽業界御用達のカフェレストラン「マックス・ロード」などもあった。土屋が「エピキュラス」や「マックス・ロード」の帰りに同店へ立ち寄ったのかは不明だが、「一風堂」ではカセットテープ(!)などを買っていたそうだ。

渋谷から世界へ羽ばたいた(と、書くとこじつけ臭いが、『大人のMusic Calendar』 らしいとお納めください)土屋だが、世界を股にかけたワールド・ワイドな活動や音楽はいまも変わらない。名実ともに“世界の”を冠することができるアーティストが土屋昌巳であり、日本の誇りである。

「すみれ September Love」写真提供:ソニー・ミュージックダイレクト
ソニーミュージック土屋昌巳公式サイトはこちら>
http://www.sonymusic.co.jp/artist/MasamiTsuchiya/
ソニーミュージック一風堂公式サイトはこちら>
http://www.sonymusic.co.jp/artist/Ippudo/
Masami Tsuchiya Official Web Site
http://mazzybunnyinc.wixsite.com/masamitsuchiya

【著者】市川清師(いちかわ・きよし):『MUSIC STEADY』元編集長。日本のロック・ポップスに30年以上関わる。同編集長を退任後は、音楽のみならず、社会、政治、芸能、風俗、グラビアなど、幅広く活躍。共著、編集に音楽系では『日本ロック大系』(白夜書房)、『エンゼル・ウィズ・スカーフェイス 森山達也 from THE MODS』(JICC)、『MOSTLY MOTOHARU』(ストレンジデイズ)、『風のようにうたが流れていた 小田和正私的音楽史』(宝島社)、『佐野元春 SOUND&VISION 1980-2010』(ユーキャン)など。近年、ブログ「Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !」で、『MUSIC STEADY』を再現している。 http://ameblo.jp/letsgosteady/
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