東出昌大 1人2役の演じ分けをしない理由
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「草野満代夕暮れWONDER4」(8月23日放送)に俳優の東出昌大が登場し、9月1日公開の映画『寝ても覚めても』の撮影裏話を語った。「寝ても覚めても」は、芥川賞作家・柴崎友香の同名小説を映画化したもの。東出が演じる、同じ顔をした二人の男と、その間で揺れ動くヒロインの心情をつづった恋愛作品。
■東出が1人2役に初チャレンジした作品。脚本を手にした時の印象は?
原作をいただいたのが4年前で、脚本が1年前で。だからこういう風に素晴らしい小説が映画の脚本になるんだっていう。映画のマジックみたいなものを脚本にみたので、そこは大変嬉しかったですし、クランクインするのが待ち遠しかったです。映画の脚本でいうと原作になかった出来事がおきたり、登場人物の会話もそうなんですが、日常の中でモヤモヤ・きりきりするような人間の会話っていうのがすごく多かったんです。ネタバレになるんであまり詳しくは言えないんですが。例えば役者に「お芝居ってなんぞや」っていうことを語らせるお芝居でしたり、ずっと健康な人が病気になるっていうショックな出来事とか日常の中で幸せってなんだろうっていうのが見直すきっかけっていうのがとても多かったですね。
■ヒロインが東京で出会う「亮平」と、昔大阪で出会った「麦(ばく)」という2人を演じる。。1人2役…演じ分ける上での苦労は?
今回は演じ分けを意識しないでくださいっていう演出があったんです。普段の仕事ですと、いきなり用意してきたキャラクターをパッパと撮っていくんですけど。みなさん役者っていうのは家で用意してくるものがあると思うんですけど「東出」っていう楽器からこのセリフが出てきたときに「麦」になるし、「亮平」になるから。だから本番までそれはとっておいてくださいって。逆に仕草・声色を変えたりとかしないでくださいって言われました。
監督の求めていたものっていうのがずっとニュアンスを抜いて練習をいっぱいさせて本番に一回だけ出る生物の感情を撮りたいから本番の一回しか感情を入れないでくれって言われました。同じものを何度もすると新鮮さが失われるから。
そういう意味ではものすごい原始的。たった一回の奇跡を僕は撮りたいんですって言われて。そういうことをおっしゃってくださるっていう現場っていうのは中々ないので僕の仕事観っていうか、考え方の根底を再確認させてくださいました。長く喋っちゃいましたけど、演じ分けはしてないです。ごめんなさい(笑)
■今回の役で大阪弁、朝ドラ「ごちそうさん」も大阪弁。朝ドラでの演技が役立った?
朝ドラがためになりました。朝ドラが逆に無かったら今回この役は受けれたものじゃなかっただろうなって思います。映画ってただえさえ準備時間が少ないんです。でも現場入ってみると難しさを再確認して。例えばセリフで待ち合わせに遅れるっていうシーンで「もっと前に着くはずやったんですけど」っていうセリフがあって。現場ではオッケーだったんでて、でもそれがアフレコになるって言われたんです。なにがダメだったんだろうって思ったら「もっと前に」って言うのが時間じゃなくて目の前っていう意味だったんです。(イントネーションの)違いがあって。あとから「そこ聞き逃していたから」って言われて(笑)関西弁奥深っ(笑)って思いました。
■映画「寝ても覚めても」で主演を務めたことについて
この撮影期間中は本当に寝ても覚めてもこの映画のことを考えていました。クランプアップの時にもそのようなことを言いましたけど。本当にやりがいのある映画だったし、僕の中でも代表作って胸を張って言いたい作品でした。確かに問題作って言われる作品ですが、僕は本当にこの映画を愛しています。
「草野満代 夕暮れWONDER4」
FM93AM1242ニッポン放送 月曜-木曜16:00-17:40
番組情報
素敵な音楽&豊かな暮らしを、あなたに!「草野満代 夕暮れWONDER4」
(放送は2020年7月2日まで)