バルセロナが世界サッカーのトレンドになっている理由
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スペインで活躍するサッカー・コーチの佐伯夕利子が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。世界のサッカーにおけるトレンドについて語った。
黒木)今週のゲストはスペインのサッカー指導者として活躍されている、佐伯夕利子さんです。
「サッカーは日々進化している」とおっしゃっていましたが、何が進化しているのでしょうか?
佐伯)世界的に有名な『バルセロナ』というチームがあります(通称:バルサ)。バルサがやっているサッカースタイルを世界中のサッカーチームがこぞってマネします。それがトレンドとなっている。模倣のスポーツですから。
黒木)結果を出したものが、トレンドになっていくスポーツですね。
佐伯)そういうことですね。
黒木)でも、「明日は違うぞ!」というところもある。指導者も成長しながら、選手たち本人がその場で判断して、考えて行動を起こさなければいけない。そういうチーム作りをしていかなければいけない。
佐伯)まさにその通りです。
黒木)そのためには、どんなことをお話なさるのですか?
佐伯)狭まった価値観みたいなものを押しつけないようにするのが基本です。「攻撃はこうでなければ」とか。それこそベンチから発するメッセージにしても、「○○君、右!」とか、自分の見えている正解を彼らに伝えるのを止めましょう、という運動をしています。でも、大人ってつい言ってしまうのですよね(笑)。
黒木)自分で考える、ということですね。
佐伯)はい。そして、「大人が左と思っても、彼(選手)が右と思ったら、右でいいのではないか?」という指導をしています。なぜなら、彼が見て決断したことだからです。彼には彼の根拠があって、右に出した。「でも、他に選択肢があったかもしれない」ということを教えてあげればいい。
黒木)もしかしたら、本人が「右を選んだのは間違いだった」と気付くかもしれない、ということですね。
佐伯)そうです。人から気付かされたものは意外と受け入れられなかったりしますよね。だから、自分で気付いてもらう環境を、指導者は作り上げるのです。それが仕事です。
黒木)いろいろと勉強になりました。これからも佐伯さんはスペインのために、サッカーのために、人生を過ごされると思います。これからの目標はありますか?
佐伯)日々「指導者として成長したい」という思いがあります。本当に、「いつになったら成長できたと言えるのか?」という感じで26年間が経ってしまいましたが、自分の時間的・精神的な余裕もできたことで、日本とスペインのサッカーの交流みたいなものを、本当に積極的に進められていければいいかな、と思っています。
佐伯夕利子/スペイン サッカーコーチ1973年、イラン・テヘラン生まれ。スペイン在住。
父親の仕事の関係で海外を転々。小学2年生からサッカーを始める。
一時サッカーから離れたが、高校卒業後の1992年、スペインに移住したのを機に再びサッカーを始める。1992年から96年まで、スペイン女子リーグに在籍。
1993年、スペインのサッカー指導者学校に入学。スペイン名門チームの下部組織などで主にジュニア・ユース世代の指導を担当。
2003年、スペインサッカー協会のナショナルライセンスを女性で初めて取得。スペインで女性として初めて男子チーム「プエルタ・ボニータ」の監督に就任。
その後も、数々のチームで指導者として活躍。実績を高く評価され、『ニューズウィーク日本版』で『世界が認めた日本人女性100人』にノミネートされる。
2010年からはスペインリーグのトップチーム「ビジャレアル」の女子チームの監督に就任。現在は育成強化責任者としてトップチーム以下の全ての世代の育成強化を担当し、指導現場の傍ら、スペイン遠征やサッカー留学等などコーディネートするスポーツ・ビジネス会社「OFFICE25」を経営。 Jリーグ特任理事にも就任。
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