日本女子サッカーのレベル~スペインの指導者はどう評価しているか
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スペインで活躍するサッカー・コーチの佐伯夕利子が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。日本とスペインでのサッカー文化の違い、また、日本女子サッカーの実力について語った。
黒木)今週のゲストはスペインのサッカー指導者として活躍されている、佐伯夕利子さんです。
佐伯さんは日本人女性で、サッカー王国スペインの指導者。普段はスペインにいらっしゃるのですか?
佐伯)そうですね。スペインに住んで26年になります。夏休みと冬休みには日本に戻ります。
黒木)現在はスペイン1部リーグ所属の『ビジャレアルCF』女子部の、育成強化責任者。つまり指導者ですね。
佐伯)そうですね。ビジャレアルはスペイン国内の1部リーグに所属するサッカークラブです。そのクラブのなかに、小学1年生から、トップのプロの選手まで、合計43チームあります。そのなかで、女子チームが5チームあるのです。そこの責任者です。現在は成績が悪くて、私は少し離れていますが、そこの責任者を6年間くらいやっていました。
黒木)軽くおっしゃるから「誰にでもできるかな」と思うのですが、そうではないですよね。そんななかで日本サッカーチームが頑張っているのはスゴいことですよね。環境的には、日本とスペインは相当違いがあるのですか?
佐伯)日本は野球が盛んで、野球を中心にスポーツが栄えてきた国です。それが、スペインへ行くとフットボール(サッカー)を中心に文化が栄えてきた国です。あまりにもサッカーの存在が強すぎて、なかなか他のスポーツが育たない。そういう裏表みたいなものもあります。
黒木)この間のワールドカップは、日本チームをどのようにご覧になっていましたか?
佐伯)私はずっとスペインにいるから、逆に日本のサッカーを知らなくて。本当に勉強しなければいけないと思うのですが、久しぶりに本気で日本代表がワールドカップで戦っている試合を見て、あまりにも前評判が悪かったから、チームの状態が悪いのだろうと思って見ていましたが、「日本のサッカーは25年でこんなに成長するものなのだろうか!」というくらいに成長を感じました。日本にいる方々にはその成長はなかなか見えないと思いますけれど。
黒木)そうですね。勝ち負けしか分からないですから。
佐伯)要求がどんどん高まっていって、「勝って欲しい!」の一心で辛口な批評が多くなるなかで、私は日本のサッカーはものスゴい勢いで成長していると思いました。
黒木)佐伯さんからそういうお言葉をいただくと、大変うれしく思います(笑)。
佐伯夕利子/スペイン サッカーコーチ1973年、イラン・テヘラン生まれ。スペイン在住。
父親の仕事の関係で海外を転々。小学2年生からサッカーを始める。
一時サッカーから離れたが、高校卒業後の1992年、スペインに移住したのを機に再びサッカーを始める。1992年から96年まで、スペイン女子リーグに在籍。
1993年、スペインのサッカー指導者学校に入学。スペイン名門チームの下部組織などで主にジュニア・ユース世代の指導を担当。
2003年、スペインサッカー協会のナショナルライセンスを女性で初めて取得。スペインで女性として初めて男子チーム「プエルタ・ボニータ」の監督に就任。
その後も、数々のチームで指導者として活躍。実績を高く評価され、『ニューズウィーク日本版』で『世界が認めた日本人女性100人』にノミネートされる。
2010年からはスペインリーグのトップチーム「ビジャレアル」の女子チームの監督に就任。現在は育成強化責任者としてトップチーム以下の全ての世代の育成強化を担当し、指導現場の傍ら、スペイン遠征やサッカー留学等などコーディネートするスポーツ・ビジネス会社「OFFICE25」を経営。 Jリーグ特任理事にも就任。
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