俳優の陣内孝則が、黒木瞳がパーソナリティの番組「あさナビ」(ニッポン放送)に出演。バンド解散後に進んだ俳優としての自身について語った。
黒木)今週のゲストは俳優の陣内孝則さんです。『ANTHOLOGY OF J』というCDをお出しになられたということですが、音楽というものは常に自分のなかに流れているものなのですか?
陣内)なんというか自分のアリバイですかね。ごまんと俳優さんはいるじゃないですか。自分はやっぱり歌だと思うのですよね。バンド活動から派生してこの仕事をやらせてもらっているので、自分のアリバイを出していかないと自分の特異性がお客さんに伝わらないんじゃないかなと思って。
黒木)個性というか、特性というか。
陣内)歌が上手いわけでもないし。
黒木)誰にも真似できないものですよね。それから、サウンドトラックをリリースされていらっしゃいますよね。
陣内)『爆裂都市 BURST CITY』という石井岳龍さんの、最近だと『パンク侍、斬られて候』という映画の監督をなさっている方の映画で、それが僕の映画デビューの作品で、主役をやらせてもらったのですよ。それのサウンドトラックが意外と売れています。凄くエネルギッシュで、最初の30分は凄い映画だなと思います。だんだんちょっとストーリーが破綻してくるのですが、でもパンクロッカーにとってはバイブルというか、カルトムービーとして評価されているようです。
黒木)そのあとが『ちょうちん』ですか?
陣内)そうです。でも随分あとですよ。『爆裂都市 BURST CITY』から4、5年経っているんじゃないかな。
黒木)その間俳優業はやっていらっしゃったのですか?
陣内)やっていました。バンドが解散したじゃないですか。解散してから、事務所はソロで売り出そうと考えてくれたみたいで、ソロで売り出すといっても何かもう1つないかということでテレビのプロデューサーさんに紹介されて、お会いするのですよね。面白がって使って下さる方もいて、その頃はけっこういろいろな役で出ていましたよ。いちばん大きな役は『ポーラテレビ小説』というのが昔やっていたでしょう。そのヒロインの相手役だったのです。凄いチャンスだったのですが、NHKの連続テレビ小説が『おしん』だったのですよ。爆発的な視聴率だったので、話題にも何もならなくて、『おしん』よりもかわいそうな俳優だった(笑)。
黒木)でもいまとなっては「『おしん』よりもかわいそうな俳優だった」と笑い話として言えるから良いですよね。
陣内)言えますけど、もうちょっと出世が早かったんじゃないかなと思います。
黒木)当時は辛かったですか?
陣内)本当に俳優としてわからないというか、志を持って俳優になったわけじゃないですから。流れでなってしまったから、そのときは俳優の面白さをわかっていないのですよね。
陣内孝則/俳優1958年8月12日生まれ。福岡県大川市出身。
1980年、ザ・ロッカーズのボーカリストとしてデビュー。
1982年、映画『爆裂都市BURST CITY』にて俳優デビュー。1987年には、映画『ちょうちん』でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。
1987年に結婚。2人の息子さんの父親。
1989年『極道渡世の素敵な面々』、『疵』で、日本アカデミー賞・優秀主演男優賞を2年連続受賞。以後 テレビ、映画、舞台等で幅広く活躍。映画監督としても活動。監督作品は『ROCKERS』『スマイル 聖夜の軌跡』『幸福のアリバイ~Picture~』など。
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