トランプ大統領が表明したINF破棄の“まともな理由”

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月26日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。INFの破棄について解説した。

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調印時の写真。ミハイル・ゴルバチョフとロナルド・レーガン(中距離核戦力全廃条約 - Wikipediaより)

新たな時代の新たなINF(中距離核戦力廃棄条約)が必要

INF(中距離核戦力廃棄条約)というものは、1987年にアメリカと当時のソ連が結んだ軍縮条約の1つで、中距離の弾道ミサイル、巡航ミサイルを全て廃棄することを目的としている。このINFをアメリカのトランプ大統領が破棄するという方針を表明したことを受けて、ロシアのプーチン大統領は24日、次のようにヨーロッパを牽制した。「今後、アメリカのミサイル配備を受け入れることに合意したヨーロッパの国は、ロシアのミサイル攻撃の対象になる」

飯田)と、プーチンさんは言ったとか言わないとか。という話なのですが、INF全廃条約、その頃宮家さんは外務省にいらっしゃったのですか?

宮家)87年ですからね。あの頃は、大臣秘書官でした。

飯田)大臣秘書官だったのですか。

宮家)アメリカのミサイルを受け入れるヨーロッパの国は攻撃の対象になると言うけれど、受け入れようが何をしようが既にロシアの対象なのですよ。このINFは冷戦時代の最後ですよね。90年代からソ連がおかしくなって崩壊しちゃうわけですから。最後の最後でロシアが中距離の核ミサイルをヨーロッパのNATOに向けて撃って来て、SS-20というのだけれど、それで大騒ぎになりました。そのときNATO側はパーシングⅡというミサイルを持って、恐怖の均衡ができる。当時ロシアが「ボンをやるぞ」と脅した。ボンは当時の西ドイツで核兵器を持っていないから、アメリカに頼るでしょう。そうしたらアメリカが「モスクワを吹っ飛ばすぞ」と言った。だからやめろと。するとロシアは「ワシントンをぶっ飛ばす」と言った。当時の最大の問題は、ボンを守るためにアメリカはワシントンを犠牲にするのかという核抑止論の根本の問題が露呈してしまったわけです。それが、こういう形で廃棄条約を作ったのだけれど、考えてみれば80年代の技術ですよね。いまは当時よりも遥かに精度が上がって核弾頭も小さくなっているし、アメリカにとってはロシアだけではなく中国の問題もあるから、良いか悪いかは別として、新しい時代が来たなということです。INF条約の時代は80年代の終わりですが、今年からまた新しい枠組みのものを作らざるを得ないと思います。

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ボン - Wikipediaより

日本が核の脅威に晒されるとき、アメリカは守ってくれるのか

飯田)いまおっしゃったことが、ボンを東京に置き換えて、ワシントンはそのままでも良いのですが、東アジアで北朝鮮、中国相手でも同じですよね。

宮家)北朝鮮も中距離核ミサイルを作っていて、その意味ではINF条約ができる前のヨーロッパに日本の周辺が近づいて来ているということです。日本にも核兵器はもちろんありませんから、当時のドイツと同じようになる。アメリカに本当に頼れるのか、という空気になる。そして、いまヨーロッパでどうなっているのかと言うと、核兵器のシェアリングという形で抑止をしようとしています。そういうことが東アジアでできるようになるのだったら、それはまた大変なことだし、そういう時代が来ているのだと思います。
中身は難しいのだけれど、なぜこういうものができて、なぜ無くなろうとしているのかを冷静に見たときに、核兵器をめぐる実態というものが日本の将来の安全保障にとっては極めて重要だから、勉強する価値があると思います。

飯田)トランプさんがまたとんでもないことをやっている、ということではなく、中国や北朝鮮を巻き込んだ形で新しい枠組みの核戦力廃棄条約ができれば、ということですね。

宮家)アジアでも似たようなことを知恵を出してやるのか、それも含めて核問題を真剣に議論するときが来たのかもしれませんね。

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