日露共同経済活動は北方領土問題解決への一歩

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月12日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。日本とロシアの共同経済活動について解説した。

日露共同経済活動~来年開始で協議

北方四島での日本とロシアの共同経済活動について、日露両政府が来年開始を念頭に協議していることが分かった。この共同活動5項目のうち、観光と温室栽培については費用負担や事業形態の詳細を詰めていて、養殖分野も北海道根室市に関連施設が整備されることが決まったという。

飯田)観光や養殖、ハウス栽培以外にも風力発電、ゴミの少量化というところが検討されています。メールもいただいているのですが、“てっちゃん”さん、58歳会社員の方。「これって経済のためには両国にとって良いのかもしれませんが、領土問題が棚上げになって解決が遠のいてしまうのではないでしょうか?」と。

宮家)その懸念はわかります。ただ、これはロシアと日本の立場にかなり開きがあるので、領土問題が棚上げにならないような解決促進のために、それをつなごうということです。その意味ではナイストライなのですよ。ただし、これは昔からある考え方で、いままではロシアが拒否してきた。なぜかというと、日本はロシアが実効支配しているところに対して、ロシアの法律が適用されないことをやろうとしているわけです。だけど日本が持っている島に、どこの国とは言わないけれど突然やって来て、「おたくの法律は無しで一緒にやろうよ」なんてふざけるなって話ですよね。そういうことをやっていると彼らは感じているのでしょう。ですから、大規模なことはなかなかできない。でもそうしないと棚上げになっちゃうから、そうならないように経済的な利点があることをやる。それを効果的にするのであれば、ロシアの法律を否定しなければならない。このジレンマを抱えながら、我慢に我慢を重ねてここまで来たのです。それはそれなりに良かったと思いますが、その程度かと言う方もいるかもしれない。だけどこれ以上やるならロシアの抵抗が強くなって、逆に橋渡しができなくなります。

ロシアと共同活動することで「領土問題はまだ解決していない」と世界にアピール

飯田)現状の維持というか実効支配のままになると、国際的に見るとどんどん既成事実が積み上がって「これはロシアの土地じゃないの」となってしまうから、まずは時計の針を止めるということですね。

宮家)時効を止めるということです。ロシアも強(したた)かで、原理原則、ロシアの主権と法律が施行される前提でかかって来ますので、それをこじ開けてあの手この手でやっとここまで来たのですから、頑張ってもらわなければいけないと思っています。

G20のタイミングで日露首脳会談の可能性

飯田)総理ですが、G20の首脳会談がアルゼンチンで11月30日に行われますが、このタイミングで日露の首脳会談ももう1度やるのではないかということが、きょうの読売新聞で報じられていますね。

宮家)彼らはいままでも、会えることがあれば必ず会うスタンスですよね。中国とは違って、会って上手くいかなくてもしょうがないと思っている部分があるのと、ロシア側もある程度良いことがあるかなと思っているからこそ、これだけ続いている。何度もやって、領土問題は解決していないことを繰り返し刷り込む。これが時効の停止ですよね。だから会うこと自体は間違っていないと思います。

飯田)日露2国間だけではなく、それを世界に見せておくというのも重要なわけですね。

宮家)世界と言っても、関係する国はそれほど多くないでしょう? アメリカの立場はハッキリしているけれど、昔からそんなに大きくは変わっていないし、中国はあてにならないし。独力で頑張るしかないと思います。

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