関係深めるロシアと中国~それぞれの思惑と日本の立ち位置
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ニッポン放送の「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月12日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。東方経済フォーラム開催に絡め、ロシアと中国、日本の関係について解説した。
ロシアで東方経済フォーラムが開幕
ロシアが極東地域への投資を諸外国に呼び掛ける国際会議、東方経済フォーラムが昨日ウラジオストクで開幕した。欧米から厳しい経済制裁を受けているロシアは、アジア諸国との協力を強化することで難局を打開したい考え。
飯田)安倍総理もこのフォーラムに出席のためウラジオストクを訪れています。日露首脳会談も行われましたけれども。今年は中国の習近平国家主席も登場と。経済に関しては今までは李克強さんが出るというのが、首相が出るのが不文律でした。
高橋)習近平さんもアメリカにやられているから、困った者同士でやっているのでしょう。それに安倍さんも入っているからなかなか面白いですよね。
飯田)確かに。ここはアメリカ抜きでという形で。
高橋)習近平さんにとっては丁度良かったのではないですか?
飯田)中露首脳会談もここで行われまして、両国関係、政治から安全保障まで信頼に基づくということです。関係はより深まったと言っているようですね。
高橋)アメリカを意識するとそうなるでしょうね。アメリカにやられている者同士が助け合うということでしょう(笑)。
飯田)ロシア経済は制裁の影響もあって、かなり厳しいと。一時期より石油の価格は上がって来てはいますが。
経済的に互いを必要とするロシアと中国
高橋)そうですね。ご承知の通りロシア経済は石油価格に連動しています。上がると良くなるけれど下がると大変です。
飯田)1バレルいくらかによって、政府が立ち入るかどうか決まると言われています。中国はある意味ロシアにとってお得意様の部分もある。
高橋)お得意です。ヨーロッパもそうです。エネルギーでロシア経済がもっているのが、如実に出ています。習近平さんもお互いにということでしょう。中国も貿易戦争でなかなか外に出るのが大変になってくる。その先を見込んでいるということです。
飯田)将来の中国製品の売り先としても…。
高橋)見込んでいるし、アメリカがダメならどこに中国が出て行くか。一帯一路もいま八方塞がりになっている。そうすると南の方の一帯一路がダメなら、北の方に出て行くことが地政学的にあり得るかもしれない。
飯田)もともとは長い国境線を接している二国で、関係はよくないですよね。
高橋)仲は悪いです、はっきり言うと。近親憎悪のような感じになっていますね。
中国が北の方に出て行くことは、日本にとって悪くないことなので、私は海洋進出を抑えてくれればそれで良いかなとも思いますけれど。
アメリカを伺いつつ、ロシアとの良好関係を保つ安倍政権
飯田)安全保障の面で行くと、日本の関係者も注目しているのがロシア極東演習「ボストーク18」。これは中国軍も参加して、ロシア軍だけでも30万規模です。かなり大きな演習を行っています。ここで中露連携されると困りますよね?
高橋)それは困りますよ。日本は二正面作戦は取れませんから、中国とロシアが分断されているのが日本としてはいちばん望ましい。いままでの脅威は北朝鮮だけだったのが、東シナ海で中国の規模も大きくなっています。二正面作戦を取るのはきついというので、安倍さんが一生懸命プーチンさんと20回以上会談しています。ロシアとは仲良くしないと、大変だということでしょう。
飯田)いまはアメリカとロシアの関係があまり良くないので、日本としても完全に前のめりになるわけにもいかない。
高橋)そうですね、前のめりにならないけれど、ロシアとの関係は生かした方が良い。極東の話に行くと、日本の進出が求められている分野も多いのですよね。医療などは、かなり日本に頼っています。極東でとりあえず経済関係を良くして行くというのが、当面のやり方ではないでしょうか。
飯田)経済協力をロシアと極東でやるとなると、昔のサハリン2という天然ガス田で、日本が資金だけ出して作れるだけ作ったら、最後に全部持っていかれてしまったということがありまして。そこを危惧する人がいますね。
高橋)投資ですから、リスクがいつもあってそれを込みでやっていることです。特にエネルギーの場合は中東にすごく依存しているじゃないですか。これは普通に考えると、中東とアメリカとロシアで3分割するのがエネルギー政策としてはベストになると思いますけどね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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