松井大阪府知事辞職か~大阪都構想へ向けての最後の勝負
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月27日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。昨日記者会見を開いた松井大阪府知事と大阪都構想について解説した。
大阪都構想をめぐり、松井大阪府知事が辞職か
大阪市を4つの特別区に再編するいわゆる「大阪都構想」をめぐって、公明党と対立が深まっている大阪府の松井一郎知事は昨日、記者会見を開いた。松井知事は大阪都構想の実現に向けた来春の統一地方選と同じ日の出直し知事選について述べている。
松井)ありとあらゆる可能性は否定しませんし、これからまた予算の編成作業が僕も吉村市長もありますから、然るべき時期に然るべき判断を致します。ありとあらゆる可能性は排除致しません。
飯田)同じく吉村大阪市長も辞職して、ここもまた選挙を行うのではないかという話が出ています。
鈴木)ダブル選挙ですよね。統一選ということになると、さらにということになります。
飯田)府議も市議も、となると。
鈴木)そもそもこの大阪都構想というのは、「あれ、まだ続いていたんだっけ?」と大阪以外のところではそう言う人が多いです。
飯田)3年前に住民投票があって、あれで頓挫しちゃったんじゃないかという話でした。
鈴木)橋下さんがあのときは市長で、最大のクライマックスみたいなものがあって、それで負けてしまった。これで断念かな、と思ったのです。永田町でも驚く人が多いのですよ。だけど、実はちゃんと続いていた。もちろん橋下さんのときには負けちゃったけれども、その後に松井さんが知事になっているわけですよね。松井さんも吉村さんも維新で、都構想は諦めないということで再選しているわけだから、大阪の民意としては早急にどうこうじゃないけれど、都構想は都構想で議論していって良いという民意を得ているわけですよね。
問題は、その進め方です。協議会をやってきて、大阪をいくつに分けるかとか、そのネーミングをどうするか、などいろいろなことをやってきているのですが、簡単に言うとこの3年間で行ったり来たりなのです。そういったなかで最後のもう1回住民投票という。これはかなりのイベントだし、大阪府民や住民の方も、それはもちろんやっても良いということだし、選挙で支持されて松井さんは知事になっているわけだし。
しかし、住民投票をやってまた無しになればさすがに頓挫しますから、松井さんたちは最後の勝負をかけたいというところでしょう。それが全て上手くいくタイミングはどこか。ここからは戦略的な計算になってくるわけですよね。実はそのままにしていても、大阪市長と大阪府知事の任期は来年の秋には選挙があります。そこまで引っ張っていっても良いじゃないか、ということになるのだけれど、何としても勝ちたい、流れを作りたい。そのためには覚悟を持って辞職し、そして府議選や市議選、維新の人たちもたくさん選挙があるわけですから、この流れに乗っていく。公明党が慎重姿勢だったりするので、この辺りもプレッシャーをかけて一気に流れを作りたいし、都構想推進派のトップとして勝ちたいから選挙に集中する。そういった意図があるような気がしました。
飯田)それで維新かそうじゃないのか、進めるのか停滞するのかみたいなことにすると、流れが一気に来るんじゃないかと。
ダブル選挙で勝負をかける
鈴木)国政選挙で考えると分かると思うのですが、よく衆参ダブル選挙なんて言うでしょう。これは単独では厳しいときには衆議院も一緒に解散して、流れを一気に作って両方大勝するのだと。辞めるタイミング、統一選に合わせていく戦略的なものも感じます。
問題は、松井知事も言っていたけれども、今回の統一選は春で、非常に重要な時期なのです。それは、次の年度の予算を決める議会が2月3月にあるわけです。次年度の予算編成をするタイミングですから、ここでいろいろ辞職だ、停滞だということになってはいけない。戦略的には勝てるかもしれないけれど、もしそうなればその辺との絡みを有権者がどう判断するのか。ここで辞職してやっても、任期は残り任期だけなのですよ。
再選しても、すぐに選挙。選挙費用は?
飯田)半年でもう1回きちゃうのですね。
鈴木)そうすると、余計な選挙費用がかかるじゃないかと。そのまま任期までいっていれば選挙は1回で済むのに、辞職した場合には4年間じゃないのです。そういった批判は大阪都構想の本筋からは離れていくけれど、有権者の投票行動には入ってくるでしょう。この予算編成の大変な時期に選挙費用が、とかね。そういう意味でも松井さんたちにしてみれば勝負であると思います。
飯田)松井さんたちにしてみると、首長の職を維持するだけでなく、議会の過半数まで狙っていくということなのですか?
鈴木)そうですね。だけど、候補の擁立なんかを見ても、なかなか進んでいないのですよね。
飯田)地方選は中選挙区だから、単独で過半数というのがとても難しいと言われていますよね。
鈴木)かなり勢いがないと厳しいでしょうね。
飯田)だから公明党と組んでやろうとしたわけですよね。
鈴木)維新だけでは数が圧倒的に足りないということもあるのでしょう。公明の協力を得なければいけない。公明党は前向きでもあるけれどしたたかなので、状況を見てきます。そうすると、前に進まない。国政とも絡んできますし、そういうことで勝負に出るということになったのでしょうね。
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