日本ハム・清宮 大活躍の前夜、栗山監督に言われたひとこと
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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、21日の練習試合で、ホームランを含む3安打5打点の大活躍を見せた、北海道日本ハムファイターズ・清宮幸太郎選手のエピソードを取り上げる。
「ちゃんと捉えられてよかったと思います」
21日に沖縄・金武町ベースボールスタジアムで行われた、日本ハムと楽天の練習試合。今年プロ2年目の清宮は「6番・ファースト」でフル出場。初回の第1打席、楽天先発・池田の真ん中高めのストレートを強振すると、打球はバックスクリーン右へ。いきなり“今シーズン1号”の3ランを放ちました。
「2ストライク目からのアプローチをいま、すごく気にしている。バットが振れているので、ちゃんと呼び込めて、球を見極められている。間合いも合ってきたし、自分のタイミングで打ててきている」
この第1打席、清宮は1ボール2ストライクと追い込まれながら、低めに外れる変化球を2球見送ってフルカウントに持ち込み、6球目の真っ直ぐを捉えたのです。紅白戦を含め、出場6試合目で飛び出した待望の一発。
昨シーズンは、追い込まれてから低めの変化球を振らされて三振するケースが目立ちましたが、しっかりボールを見極められている今年は、清宮本来のバッティングができているのです。
この日スタンドで、清宮のホームランを満足げな表情で見守っていた人物がいました。試合を視察に訪れた侍ジャパン・稲葉篤紀監督です。
「追い込まれながらフルカウントに持っていって、バックスクリーン。打球も方向も非常にいいし、遠くに飛ばすという彼の魅力が見られてよかった」
3月9・10日に、京セラドームでメキシコ戦が予定されている侍ジャパン。清宮は史上最速の高卒2年目で代表に選ばれましたが、指揮官の前で、みごとお礼代わりの一発を放ちました。続く第2打席もセンター前にタイムリー2塁打、第3打席もライト前ヒット。この日は“御前試合”で5打数3安打5打点の大活躍を見せました。
実は稲葉監督、17日の阪神との練習試合も視察に来たのですが、その試合でも清宮は2安打2打点と活躍しています。
「見に来た試合でホームラン、ヒットを打つ。“そういうもの”を感じますね」(稲葉監督)
思い返せば、ちょうど1年前の2月22日は「急性胃腸炎」と診断されダウン。3月には限局性腹膜炎で入院し、開幕1軍を逃した苦い思い出が……。そういった体調面を含め、プロの調整の仕方を学んだ2年目の清宮は、ひと味違います。稲葉監督は、
「プロに慣れたという部分で、今年大きく変化した。打席の立ち姿を見ても、今年は堂々としている」
と絶賛。一方、日本ハム・栗山英樹監督の清宮評は、少し辛口です。
「まあ、まあ、まあ……悪くはないかな。決して良くはないけど……少し前に進んでいるところがあるのかな」
実は、この試合の前日・20日にも、楽天との練習試合に出場。そのときは5打数ノーヒットに終わった清宮。その日の夜、名護市内の宿舎の食事会場で、栗山監督とバッタリ鉢合わせしました。
「どうなってんだよ、幸太郎?」
清宮に軽くハッパをかけた栗山監督。「もうルーキーじゃないんだから、そろそろ結果を出せよ」という意味合いですが、清宮は笑みを浮かべていたそうで、翌日、しっかり指揮官のゲキに応えました。
今年は、レフトかDHで出場していた近藤がサードに挑戦。空いたレフトのポジションを清宮と、台湾代表の新外国人・王柏融(ワン・ボーロン)が争う形になります。王はこの日も2安打。出場6試合で13打数8安打、打率.615と驚異的なバッティングを見せており、清宮も相当なアピールが必要です。試合後も、名護の室内練習場でティー打撃を行った清宮。
「打撃に期待されている。そこがいちばんですし、他もおろそかにならないように、精一杯やろうと思います」
いま左足肉離れで離脱中の中田翔の回復が遅れた場合は、清宮を1塁に置くプランも検討されており、プロ2年目、さらに進化した清宮のバッティングに注目です。