鴻海前会長の離脱から見る台湾国民党のあり方

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月13日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。台湾総統選を前に鴻海の前会長・郭台銘氏が国民党を離脱したニュースについて解説した。

鴻海の前会長が国民党を離脱~台湾の総統選は三つ巴へ

2020年1月の台湾総統選を前に、鴻海精密工業の前会長・郭台銘氏の報道官は12日、郭氏が最大野党である国民党の離脱を決めたと表明した。近く出馬表明する見通し。与党民主進歩党(民進党)は蔡英文総統、そして国民党は韓国瑜高雄市長を公認候補として容認しており、三つ巴の争いとなる見通しである。

飯田)三つ巴というか、これは国民党が分裂するということですか?

宮家)そうですね。台湾の国民党と言うと何かかっこいいけれど、昔は独裁政党だったのですよ。単一の政権党で、莫大な資産も持っているし、人材も豊富とあって、強くて巨大な政党だった。ところが1996年に総統の民主選が始まって、当時は中国がミサイルを放った。それが逆効果になって政権が変わり、国民党は徐々に変化して行った。そう考えると、もし国民党に歴史的役割があるとしたら、それも徐々に変わって行ったのではないでしょうか。逆に言えば国民党の人たちが、時代に合わせた自己変革を怠って来たのではないだろうか。だから郭氏に、「国民党は腐敗している」などと言われてしまうのですよ。国民党のあり方が問われているということです。三つ巴になるかもしれないけれど、もともと中国共産党は国民党と仕事をやりたいのです。国民党も、「中国は1つ」と言っているではないですか。

飯田)そこでは同じ。

宮家)要するに、国民党が支配する中国が1つか、共産党が支配する中国が1つかということです。国民党は台湾独立などと言わないからいいのだけれど、その組みやすいはずだった国民党が、いまやこんなことになってしまった。郭さんは中国とも仲が悪くないという話を聞くから、中国にとっても痛し痒しかもしれません。台湾の問題は1つ間違えると、中国共産党の統治の政党制そのものに直結する大問題ですから、北京の指導者たちも注視しているでしょうね。

日本よりも政権交代が多い台湾

宮家)私も過去2回、総統選挙の前に台湾へ行って取材しましたが、あちらの方が日本より政権交代は多いのですよ。

飯田)確かにそうですよね。

宮家)台湾の方が政権交代のある民主主義をやっているのです。

飯田)民進党と国民党で、政権の入れ替わりをしていますものね。

宮家)混乱していると言えば混乱しているかもしれませんが、いい感じでやっています。台湾では、いろいろなことを経て、民主主義がしっかりと根付いて行くことを期待します。

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