ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月14日放送)に大野元裕 埼玉県知事が電話出演。埼玉県知事として考える埼玉県について、番組コメンテーターのジャーナリスト・鈴木哲夫とともに訊いた。
豚コレラと台風19号被害
飯田)この時間は、埼玉県知事の大野元裕知事にお話を伺います。選挙ご当選のお忙しいなかでご出演いただきましたが、あれから4ヵ月くらい経ちました。知事業というものはどうですか?
大野)知事になってやりたいことがたくさんあったのですが、私が就任してすぐに豚コレラの問題がありました。それから、台風19号が県内に甚大な被害をもたらしましたので、これらの対応に追われる毎日でした。
飯田)豚コレラのときは早かったですね。すぐに農水省に行って対応するようにお願いを出すなど、非常に対応が早かった印象があります。これは深刻だと見たわけですか?
大野)豚コレラにかかってしまうと、昨年(2018年)の愛知や岐阜もそうですが、多くの方々が廃業に追い込まれることになります。埼玉県で2例目が出たときに、これは点ではなく面だということで、農水省に対し、とにかく関東での蔓延を防がなくてはいけない。そのために逐次、戦力を投入して戦線が広がらないように、戦略的に集中的にやろうという話をしました。
飯田)埼玉そのものもベッドタウンでありながら、畜産が盛んなところだという面もあります。そして、隣の群馬も畜産が盛んですよね。知事としてもここで止めなければ、という気持ちはあったのですか?
大野)埼玉県は10万頭前後ですが、群馬には60万頭ほどの豚がいると聞いています。ここで止めなければいけないということと、埼玉には美味しい豚がたくさんありますので、不安のないようにしたいという、2つの思いがありました。
飯田)豚コレラに仮にかかってしまっても、人間に影響のあるものではないし、美味しくいただけるものではあるのですよね。
大野)もちろん罹患した豚肉は出荷されませんが、万が一出荷されて食べたとしても問題はありません。
豚コレラの対応も束の間、台風19号が襲来
飯田)豚コレラはみなさんのご尽力もあって、ワクチンを予防的に摂取する方針になりました。その後、今度は台風が来たということですよね。
大野)台風19号が来たときには豚コレラと相まって、12日に豚コレラが埼玉県から出たのですが、12日の午後には台風で大変なことになっていましたので、両方が同時に来た状況でした。
飯田)知事は危機管理という面では、両方を切り盛りしなければいけなかったのですね。
大野)ただ、優秀な埼玉県の官僚組織がありますので、ワン・チームで対応することが大事だと思いました。
飯田)今回の台風19号は、史上まれにみる大きさだということが、前々から言われていました。いろいろな対応も前もってできたわけですが、その想像を超えていた部分があったのですか?
大野)私は県民の皆さんに対して、前々日には何をすべきか、前日には何をすべきかを考えて実行して欲しいと、直接呼びかけました。それ以外にも孤立しそうな地域や市町に、職員を事前に派遣しました。とにかく情報が途絶することを何とか防ぎ、72時間以内は生命が大事ですから、そこに集中しました。
飯田)結果的に川越などは被害が出ましたが、事前に対応して被害を少なくする。その後は、起こったことに対応して行くという流れだったのですか?
大野)そうです。72時間はとにかく生命。72時間が終わった時点で地域を見に行きまして、次に復旧やそれぞれに必要なことをやるということで、順序立てて物事に優先順位をつけたつもりです。
現場へ行くパフォーマンスをしない理由
飯田)72時間までは知事は県庁にいらっしゃって、全体の統括をなさったということです。政治家の方だったら、いち早く現場に入りたいという思いの方もいらっしゃるではないですか。その辺はどうでしたか?
大野)正直、政治家としてはパフォーマンスになるかもしれませんが、現地に行って写真を撮りたいというものはあるのです。ただ、先ほどの豚コレラでも私が最初に言ったのは、「現場には行かない」ということです。なぜならば、私を通じて感染する可能性があるので、すぐそばの集合場所までは行ったのですが、未だに現場そのものには行かないことにしています。自分にとって必要なことをどこでやるかは、知事だけでなく関係者全員にとって重要だと思っています。
飯田)いまのお話を聞いていると、危機管理において何が重要なのかと考えるのですが、国際情勢や中東調査会にもいらっしゃったご経験で、目の当たりにして来た部分もあるのですか?
大野)私は戦争に2回直面しています。その際には態勢や、どのくらい続くかによって休ませなければいけない人員もいます。どこにどれだけの資源を配分し、次に何を行うかということが重要になります。10月末に1日だけ議会を開いていただいて、補正予算を組むとか、必要なものをどこにどのタイミングで行使するかが大事だと思っています。
知事の思うこれからの政策
飯田)まず危機管理に直面されたわけですが、ここから先の任期も長いので、埼玉として何をやって行くのかという辺りもお聞きしたいです。
大野)もちろん政策そのものも大事ですが、政策だけではなく県民が主語であることが大事だと思っています。可能な限り現場へ出向いて、声が伝わる方はいいのですが、伝わらない方もいます。そういった社会的弱者の方は、災害のときも災害弱者になりますから、こういった方々の声を聴けるようにしたい。それらを通じて、あらゆる政策を県民目線で実現して行きたいということが、いちばん優先していることです。
大宮ボールパーク構想
鈴木)危機管理のプロがいらっしゃって、本当によかったと思います。1つ伺いたいのは、埼玉は人の通過点になっていますが、何とかして人を引き止めるプランなどはありますか?
大野)もちろん住みやすいことが大事なのですが、それだけではなく、埼玉には素晴らしいコンテンツがたくさんあります。そこに来ていただくためには、工夫が必要だと思っています。例えば私が大宮ボールパーク構想と言っているものは、東京で働いている方でも、大宮には夜に野球を観に来ることができます。そういうイベントをやらせていただきたいと思っていますし、映画『翔んで埼玉』で「埼玉は何もない」と言っていましたが、埼玉は他の県と比べても交通の便がいいのです。高速道路も新幹線も、これだけ走っているところはありません。日帰りでもいいから、とにかく来て欲しい。いま持っているコンテンツ、川越や秩父など、いいところがたくさんありますから、これを発信するのが私の仕事だと思っています。
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