ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月25日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。韓国がGSOMIA破棄に至った本当の理由について解説した。
日韓首脳会談、来月開催に向けて調整
韓国政府が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の維持を決めたなか、日韓外相会談が行われ、12月に予定されている日中韓3ヵ国の首脳会議に合わせて、安倍総理と文在寅大統領による日韓首脳会談の開催に向けた調整を開始することで一致した。
飯田)もし実現すれば、正式な会談としては去年(2018年)9月以来ということになります。
韓中間で決まった防衛協定
須田)この2週間ほどの韓国の動きを見てみますと、アメリカがGSOMIAの失効ぎりぎりになって、相当強いプレッシャーをエスカレートさせて行ったという構図が見えます。ただGSOMIAの問題を理解する上で、日本のメディアが報道していない、重要なポイントが1つあります。1週間前、18日にタイのバンコクでASEAN拡大国防大臣会議が開かれました。実はその会議のなかで、韓国と中国の2国間で国防大臣の会談が開かれ、その際に韓中の防衛協定が決まったのです。一部漏れて来たところによると、韓国と中国のホットラインをもっと強化しましょうというものです。韓中間のホットラインはあったのですが、それを恒常的にあらゆるレベルでやって行くということが決まったのです。
アメリカの猛烈なプレッシャーは中国と韓国の接近に対してのもの
須田)この拡大国防大臣会議には日本・アメリカ・中国・韓国・ロシアも参加しましたから、アメリカサイドもその動きはキャッチしています。その一方で、これはまだ確証が取れていませんが、中国との間でGSOMIA破棄について、譲歩することなく破棄しますということを伝えているようなのです。韓国が中国に擦り寄るという構図が、ここに出て来るわけです。それは第二次世界大戦後、70年間に及ぶ米韓同盟の終わりの始まりというような意味合いを持つものです。韓国としては、同時に中国とアメリカを両天秤にかけるような状況になる。それでアメリカは強烈なプレッシャーをかけ始めたというのが、この一連の動きなのです。そのことを前提にすると、今後の韓国との交渉についても違った形になります。韓国はこのまま行けば中国との関係を強化して、米韓同盟から離反して行く。では日本はどうすべきなのかというところを、考えなくてはならないのです。私はこの情報を、国防大臣会議の直後にペンタゴンから得たのですが、数日前にこれをワシントンポストがすっぱ抜きました。そのためワシントンで大騒ぎになりましたが、なぜか日本のマスコミはまったく報道しませんでした。
韓国は日本のせいにしてGSOMIAを破棄しようとしていた
飯田)今回のGSOMIA延長の決定に対して、日本のメディアは基本的に輸出管理の強化と組み合わせるような形で書いています。でもいまの話だとまったく個別の話でもあるし、加えてかなり前からいろいろな積み上げがあったということですよね。
須田)それはあくまでも建前の話であって、韓国のアメリカに対する、ある種のエクスキューズです。こうなったのは日本が悪いのだと。
飯田)日本を悪者にして、中国との約束を守ろうとした。
須田)そうです。その構造を理解しないと、全貌が見えません。
飯田)それは許しがたい話ですね。日本は濡れ衣を着せられたようなものではないですか。
須田)どう考えても理不尽でしょう。輸出管理の強化にGSOMIAを結び付けるのは、まったく次元の違う話です。韓国もその辺は理解しているのだけれども、いきなりアメリカとの関係を切ることはできないから、そう押し通すのです。アメリカと中国の間をうまく立ち回ったつもりだったけれども、アメリカと中国の両方から責められるという状況になってしまったのではないでしょうか。
飯田)結果的にGSOMIAの破棄を延期する形になったということは、中国に対しては約束を履行できなくなるということです。これを中国は許すのですか?
あくまで「GSOMIAの破棄の延長」だとするのは中国へのメッセージ
須田)韓国としては、中国に対して「これは継続ではなく、当面の破棄の延期なのだ」としているのです。そう言っているではないですか。あれは中国に対するメッセージなのです。
飯田)日本の報道の解説だと、自分たちの面子だとか、或いは韓国の国内向けだという話もありますが、それ以上に中国に対してのメッセージなのですね。
須田)約束を守っていないわけですから。
中国市場を抜きにして成り立たない韓国経済
飯田)これは文在寅政権に特異なものなのか、それとも韓国という国は、どう政権が変わろうとそちらに行くのか?
須田)後者の方だと私は思います。韓国は5000万人しか人口がいないので、中国市場を抜きにして韓国経済は成り立たないのですよ。
飯田)日本のように内需を当てにできない。
須田)中国から冷たくされることは、韓国経済にとっていちばん厳しいですから、中国に接近することは必要です。そういう状況のなかで米韓同盟、或いは日本と韓国の関係は重荷だというのが本音なのです。
飯田)そうすると日本にとっては、いま38度線が一応の均衡点という、いわゆる昔で言うところの東西冷戦の名残があります。それが下がって来て、対馬海峡が最前線になる可能性もあるわけですよね。
須田)そうですね。そしてアメリカには、駐留負担費が5~10倍に増額されることへの不満がある。それに対して、アメリカは「払わないのならば駐韓米軍の撤退だ」と言っている。そうなってしまうと、いま飯田さんが言われた38度線から対馬海峡に下がるという状況も、考えないといけないということです。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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