GSOMIA破棄は「問題のすり替え」~判断ミスで泥沼にはまる韓国

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(11月20日放送)に作家・ジャーナリストの河合雅司が出演。GSOMIA破棄に関する韓国の姿勢について解説した。

GSOMIA破棄は「問題のすり替え」~判断ミスで泥沼にはまる韓国

日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説する文在寅大統領(韓国・天安)=2019年8月15日 写真提供:時事通信

日韓GSOMIA失効まであと2日

日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が11月23日で失効する。これまで日韓GSOMIAの失効回避に向けて、日米韓で話し合いが持たれていたが平行線のままだった。文在寅大統領は韓国のテレビに出演し、日韓GSOMIAの失効回避に向け「最後の瞬間まで日本と共に協力する」としながらも、延長するためには日本側の輸出管理の強化を撤回する必要があるという、従来の主張を繰り返した。

森田)日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効が、23日午前0時に迫っています。韓国の文在寅大統領は19日、MBCテレビの番組『国民が問う 2019国民との対話』という番組に生出演し、GSOMIAについて「最後の瞬間まで日本と共に破棄を避ける努力をする」という意向を表明しました。仮に破棄することになっても、「日本との安全保障上の協力は続ける」と強調しました。ただ、「破棄の決定を強いられた原因は日本がつくったのだ」と重ねて表明し、「韓国を安全保障上は信頼できないということで、輸出管理の見直しをしておきながら、軍事情報を共有しようというのは矛盾した態度ではないか」と批判したということです。

いつもの「問題のすり替え」

河合)これは韓国側の政策判断ミスだと思いますね。そもそも国際法を逸脱した徴用工の判決に、韓国政府が対応しなかったところから始まっているわけで、「日本側が輸出管理の強化を撤回しなければGSOMIAも見直さない」というのは、明らかに問題のすり替えです。

森田)輸出管理の見直しも、まったく違うことですからね。

河合)本質からどんどんずれて、自ら泥沼にはまって行くような議論をしているようにしか見えませんね。

GSOMIA破棄は「問題のすり替え」~判断ミスで泥沼にはまる韓国

軍事協定破棄、割れる賛否 16日、ソウル中心部で開かれた革新系団体の集会でGSOMIA破棄を求める参加者(共同)=2019年11月16日 写真提供:共同通信社

いちばん困るのはアメリカ、得をするのは北中露

森田)アメリカですが、韓国に駐留しているハリス大使は聯合ニュースのインタビューに応じ、GSOMIAについて「失効までまだ数日残っており、韓国が破棄の決定を撤回する機会は依然として残っている」と述べ、韓国側の方針転換に期待を示しています。そして「韓国が歴史問題をアメリカの安保領域に広げたことに失望した」と表明しています。

河合)GSOMIAは日米韓の連携の象徴と言われて来たわけですが、ここまでアメリカ政府の高官たちが、次から次へと韓国を説得に行くのを見ていると、韓国は日本が困ると思って破棄を言い出したのかもしれませんが、いちばん困ったのはアメリカだったということです。この状況は象徴的な意味ではなく、(GSOMIAがなくなると)米軍が軍事展開して行く上で、実務上の影響があると思える動きですよね。

森田)韓国紙の中央日報が報じたところによると、2014年に日米韓が締結した防衛機密情報共有に関する覚書を補強する案を、すでに検討しているそうです。この協定が失効したとしても覚書を活用して、軍事情報の共有を続けたいようですね。

河合)なかなかGSOMIAと一緒にはならないわけですし、こちらも先程の韓国の理屈から言えば、(韓国側は)飲めないはずですね。日本との信頼関係がなくなったからGSOMIAを破棄するというのであれば、こちらの覚書だけを、というわけには行きませんよね。やはりもう1度、残り少ない時間ですが(韓国にはGSOMIAの破棄について)考え直して欲しいですね。

森田)GSOMIA失効でほくそ笑んでいるのは、中国や北朝鮮、ロシアですね。

河合)(本当に破棄となったならば)東アジアの軍事上のバランスが崩れてしまいますので、日本の安全保障体制について、根本からの見直しを迫られることになります。日本は他人事ではなく、この後どうするのかを即座に考えるべきだと思います。

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