「降格」もある、これからの40代以上~日本的雇用システムが崩れにくい一方で

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(12月26日放送)に元外務省主任分析官・作家の佐藤優が出演。安倍総理の経済界への7年連続賃上げ要請について解説した。

経団連第8回審議員会であいさつする安倍晋三首相=12月26日午後、東京・大手町の経団連国際会議場 写真提供:産経新聞社

政府が鍵を握ってしまうことにによる構造的問題~安倍総理が経済界に賃上げ要請

安倍総理は25日、都内で開いた経団連の審議員会に出席し、2020年の春闘を控え、賃上げについて「重要なのは人材への投資だ。来年の春も大いに期待している」と述べた。安倍総理による経済界への賃上げ要請は7年連続となる。2020年の東京オリンピック後の景気の腰折れを防ぐため、経済系に協力を求めた形。

森田耕次解説委員)安倍総理は2014年の春闘以降、賃金引き上げを交渉の前に要請していますが、今回も来賓として経団連の審議員会に出席し、来年の春闘交渉での賃金引き上げの協力を経済界に次のように呼びかけました。

安倍総理大臣)重要なのは人材への投資であります。毎年申し上げているので今年は控え目に申し上げますが、来年の春も大いに期待をしております。ご参考までに申し上げますと、半世紀前の東京オリンピックの年の賃上げはなんと12%だそうであります。これはあくまで参考ですが。

森田)12%はないと思いますが、経団連は今年の春闘で政府が主導する官製春闘からの脱却を打ち出したのですが、来年の春闘交渉でも賃上げの勢いを維持することが重要だという姿勢は変えておりません。ただ、経団連は来年の春闘の交渉方針を示す報告のなかで、「業種ごとの横並びで実施してきた賃金交渉については実態に合わない」と、賃金の引き上げは一律ではなく、各社の実情に応じて前向きに検討していくことが基本だという見解を示しています。トヨタ自動車の労働組合は来年の春闘に向けてベースアップの額が各組合員の人事評価に応じて、従来よりも差が付く賃上げ制度の提案を検討しているということがわかりました。国内の製造業をリードするトヨタの動向、国内の賃金制度に影響を与える可能性があるということで、この春闘も働き方改革もあって様変わりしつつあるというのが現状のようですね。

佐藤)ここでもう1つ考えなければいけないのは、こういったことが起きている一番のプレイヤーは連合だと思うのです。連合が、「国民民主党と立憲民主党は喧嘩ばかりしている」と。「それだから、野党を通じて組合の要求を吸い上げさせるのはまどろっこしい。ならば、ダイレクトに政府や経団連とやってしまいたい」というのが本音だと思います。ただ、これは気を付けないとコーポラティズム(共同主義)、イタリアファシズムの考え方がそうなのですよ。要するに、企業は絶対に首切りをしないで賃上げをする。その代わりに労働組合は絶対にストライキをしない。それで、政府が間に入って三者共同でやっていこうというやり方をしていたのですよね。それに似てきています。そうなると、最終的な調整は政府が鍵を握ってしまうことになります。あと、これは経団連傘下の大企業はできますが、問題は中小で、このペースで賃金を上げた場合、中小は耐えられるのかというところです。耐えられないような中小企業には格差がついていくのか、あるいは賃上げを絶対にやれということで中小企業が倒れてもいいのか。構造的な問題はたくさんあります。

トヨタ自動車・決算説明会での豊田章男社長(2019年5月8日)

企業の考え方も日本型から欧米型に

森田)そういったなかで新卒の一括採用や、終身雇用や年功型の賃金といった慣行がどうなのか、という問題になっています。

佐藤)ただ、新卒一括採用はなかなか崩れないし、年功序列も40歳くらいまでは崩れないと思います。40歳くらいから上がっていってメリハリがつくので、これからの40代以上の人には降格が出てくると思います。特に何かをしたわけではないけれど、業績によって降格という。あるメガバンクは50代で1年半の猶予で、成果を上げられなかったら20代後半の賃金まで下げることを導入している会社もあります。

森田)まさにトヨタなどは組合員の人事評価によって賃上げに差をつけようというのだから、日本型から欧米型に企業も変わりつつあるということですね。

ザ・フォーカス
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錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。


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