不気味な情報先の「主語」なし報道~河井夫妻逮捕も近いか
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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月16日放送)に元外務省主任分析官・作家の佐藤優が出演。河井克行・案里夫妻の記者会見について解説した。
自民党・河井克行前法務大臣と妻の案里参議院議員がそれぞれ会見
広島地検は15日、公職選挙法違反の疑いで自民党の河井案里参議院議員の事務所と、その関係先として夫の河井克行前法務大臣の事務所を捜索した。これを受けて2人は15日夜、都内でそれぞれ記者団の取材に応じ「ご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げたい」などと陳謝。その上で離党や議員辞職については「考えていない」と述べ、2人とも20日からの通常国会には出席する意向を示した。
森田耕次解説委員)公選法違反の疑いでの家宅捜索を受けて河井夫妻はそれぞれ記者団に答えたのですが、これについてはメールもいただいています。福島県いわき市の“たかお”さん「地検が家宅捜索をしたから急遽会見を開いたのでしょうか。2人の会見は、とても会見とは言えるものではないと感じました」といただいています。
佐藤)普通の人は地検の人が入るのは大変だから説明しなければいけないと考えるのですが、どうもこのご夫妻は逆の考えで、地検が捜査中だから何も言わないで済む、メディアの前に出ても大丈夫だという計算をしたのです。普通の人と計算の仕方が違いますね。そういうことをすればどれだけの悪印象になるのかわからないのでしょうか。確かに、被疑者や被告人は自分に不利なことは言わなくていいという黙秘権があります。しかし、公人として疑惑がかかっていることについて説明するのは政治家の職業的良心です。だから、政治家の対応ではなくいまの段階から被疑者みたいな対応ですよね。
森田)先ほど入ってきた情報だと、夫の河井克行前法務大臣の意向を受けた陣営が、違法な報酬を支払われた疑いのあるウグイス嬢を集めていたことがわかったそうです。広島地検は、報酬額が設定される過程でウグイス嬢集めに積極的だった克行氏の関与がなかったかどうか慎重に調べる模様です。領収書を2枚つくって、本当は1万5000円のところ3万円を渡していたのではないかと言われているわけですよね。
「主語」のない情報筋が示す意味
佐藤)興味深いのは、河井克行さんの意向を受けた陣営が動いたのではないかという情報に関して、誰が言っている情報なのかという主語がないですよね。これは共同通信の独自ネタだと思うのですが、主語がない情報は怖いのです。どういうことかというと、これは検察が流した可能性があるからです。捜査情報を流すのは違法ですから、主語は書かないという約束で主語がありません。「いつ」「誰が」がない記事というのは自信がないと出せません。つまり、確実なところから聞いているということです。これは、河井先生への「逮捕が近いですよ」というメッセージです。
森田)しかも、前法務大臣に向けて。
佐藤)前法務大臣でも容赦なしということなので、怖いニュースですね。
森田)そう読みますか。本人たちは国会に出てくると言っていますが、果たして出てこられるのかどうか。
佐藤)なかなか厳しい局面になると思います。
森田)ただ、不逮捕特権がありますから逮捕許諾を取るかもしれないということで、荒れた国会になってきそうだということですね。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。