「新行市佳のパラスポヒーロー列伝」
ニッポン放送アナウンサー・新行市佳が、注目選手や大会の取材などを通して、パラスポーツの魅力をあなたと一緒に発見していきます
先日2月8日、9日の2日間にわたって「ブラインドサッカー クラブチーム選手権 KPMGカップ2020」が富士通スタジアム川崎で開催されました。地域リーグ(北日本、東日本、中日本、西日本/計24チーム)を勝ち上がった7チームが日本一をかけて戦う大会です。9日の決勝戦の取材をしてきましたので、その模様をお伝えします。
<視覚障がいの選手による5人制サッカーで、ブラインドサッカーとも呼ばれている。フィールドプレーヤーは全盲選手で、公平性のため光を完全に遮断するアイマスクと危険防止のためのヘッドギアを装着し、ゴールキーパーは晴眼者や弱視者が担当する。選手は、鈴が入ったボールの音や、ゴール裏から指示を出すことが認められているガイド(コーラー)、ゴールキーパーの声を頼りにプレーする。また、選手たちがボールを持った相手に向かっていく際には、「ボイ(スペイン語で“行く”の意)」と声をかけなければならない。試合はプレイングタイムによる前後半20分ずつの計40分で行われる。フィールドの大きさはフットサルとほぼ同じで、ボールがサイドラインを割ることがないように、両サイドのライン上に高さ1mのサイドフェンスが並べられている。>
~日本パラリンピック委員会HP「5人制サッカー」競技概要より引用
冷たい風が吹き抜ける中で行われた決勝戦。北日本リーグを2連覇したコルジャ仙台と、去年8月頃に結成された新チームパペレシアル品川がぶつかりました。
前半10分、ブラインドサッカー日本代表でキャプテンを務める川村怜選手が先制点を決めます。同じ日本代表で活躍している佐々木ロベルト泉選手からのアシストを受けて川村選手が追加点をあげ、佐々木選手のミドルシュートも決まり、前半は3-0でパペレシアル品川がリード。その後、パペレシアル品川は選手交代を活発に行いながら試合を展開。なかなかコルジャ仙台はシュートシーンを演出できませんでした。
後半11分に川村選手が得点し、さらに試合終了間際にも点を追加して5-0。初出場のパペレシアル品川が優勝を飾りました。
「できすぎですね。目の前のことに集中して皆で力を合わせて、ピッチに出ている選手も、監督もスタッフも交代メンバーも含めて全員で勝ち取った勝利かなと思います」 と川村怜選手は試合を振り返りました。
代表の第一線で戦っている川村怜選手、佐々木ロベルト泉選手、寺西一選手が引っ張る形で勝利をおさめましたが、チームメンバーにはブラインドサッカーを始めて間もない選手もいました。
佐々木選手は「いつも私や怜(川村怜選手)、はじ(寺西一選手)が決めるんですけど、新しい選手も決められるようにしたかった。今回できなかったことは残念でした」と、勝利した中にも課題があったことを語りました。
これまで川村選手や佐々木選手はアヴァンツァーレつくばでプレーしてきましたが、去年の夏に「パペレシアル品川」を結成。そこにはブラインドサッカーと品川区との関係性を深め、根付かせていきたいとの想いがありました。
国際大会の「ワールドグランプリ」が天王洲公園で、クラブチームの試合(東日本リーグ)がしながわ中央公園で行われており、品川区は2020年東京パラリンピックで区応援競技としてブラインドサッカーを応援しているという背景があります。
ブラインドサッカーの熱気を品川から発信し、沢山の人に楽しんでもらいたい!という夢に向けて、パペレシアル品川は第一歩を踏み出したばかりです。