東京パラ代表争い白熱!パラ水泳を新行市佳がリポート

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ニッポン放送アナウンサーの新行市佳が、注目選手や大会の取材などを通して、パラスポーツの魅力をあなたと一緒に発見するための連載企画「パラスポヒーロー列伝」。
今回は、パラ水泳について特集します。

第22回のパラスポヒーロー列伝で世界選手権を控えたパラ水泳日本代表の強化合宿の模様を紹介しましたが・・・改めて9月にロンドンで開催された世界選手権の結果をお伝えします。
日本代表は金メダル3個、銀メダル7個、銅メダル4個の合わせて14個のメダルを獲得しました。
金メダルに輝いた木村敬一選手(S11視覚障害のクラス・100mバタフライ)、東海林大選手(SM14知的障害のクラス・200m個人メドレー)、山口尚秀選手(SB14知的障害のクラス・100m平泳ぎ)が東京パラリンピックへの推薦が内定しました。
今後は2020年3月6日から8日にかけて行われる「2020パラ水泳春季記録会兼2020日本代表選手選考戦」(第1次選考)と5月中旬に行われる第2次選考委員会(第2次選考)に分けて、代表選考が進められていきます。
(詳細は一般社団法人 日本身体障がい者水泳連盟 HP(https://info.paraswim.jp)に掲載)
東京パラ代表争い白熱!パラ水泳を新行市佳がリポートという訳で、今回は、東京パラリンピック推薦内定をかけて白熱したレースが展開されているパラ水泳についてお伝えします。
まずクラス分けについてです。

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パラ水泳クラス分け

パラリンピックで行われる部門としては、身体障害、視覚障害、知的障害の3つ。(※この他にも聴覚障害などのクラスもあります)
障害の程度によってさらに細かくクラス分けがされており、数字が小さいほど障害の程度が重く、大きいほど軽いことを意味します。

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パラ水泳 泳法の表記

泳法は水泳と同じですが、泳法別にクラスが与えられます。
例えば、東京大会に推薦が内定した木村敬一選手が「100mバタフライ」を泳ぐ時は「S11」というクラスになり、「200m個人メドレー」を泳ぐ時は「SM11」のクラス表記になります。

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木村敬一選手

視覚障害のクラスでは最も重い「11(全盲)」のクラスの木村敬一選手は、2008年の北京大会からリオ大会まで3大会連続で出場していて、現在はアメリカを拠点に強化を図っています。今年の世界選手権では100mバタフライで金メダル、200m個人メドレー銀メダル、100m平泳ぎで銅メダルに輝きました。
11月23日~24日にかけて「第36回 日本パラ水泳選手権大会」に出場した木村選手は、東京へ向けて「パラリンピック本番で選手村に入ってからどんなトレーニングをするか」、「大会期間の後半になるほど出てくる疲れといかに付き合っていくか」などイメージトレーニングに取り組んでいると明かし、
「自信を持って臨むために、東京パラリンピック前に100mバタフライで世界新記録を出したい。」
と抱負も語りました。
そんな木村敬一選手と日本選手権大会の最終日、100mバタフライでデットヒートを繰り広げたのが富田宇宙(とみた・うちゅう)選手です。

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富田宇宙選手

東京パラ代表争い白熱!パラ水泳を新行市佳がリポート世界選手権では、木村敬一選手に次いで100mバタフライで銀メダル、400m自由形で銀メダルを手にしました。東京パラリンピック推薦内定を目指し、世界選手権を終えてから新しい取り組みに挑んでいるといいます。
400m自由形では、ひとかき当たりの進む距離を伸ばしてゆっくりしたテンポで速いタイムで泳げるように大きな泳ぎを目指しています。
また、世界選手権ではオランダのドルスマン選手(世界選手権400m金メダル)に、ターンで0.5秒近く差がつけられているために、ターンのタイミングを変更しました。
これまではリスクの少ないギリギリまで泳いでから小さくターンをしていましたが、ドルスマン選手のターンを研究し、タッパーに叩かれてからひとかきでストロークして大きく回る練習をしているそうです。壁に寄りきれず、足が壁から遠くなって蹴りが弱くなるリスクもありますが、日本選手権ではこの新しいターンに挑戦。
富田選手は「成功したのは半分くらいかな。」と苦笑いしつつも、感覚を掴んでいるようでした。
さらに、「来年に向けてやっていく中でチャレンジできるのは今しかない。自分にできる新しいチャレンジは常にやっていく。まだまだ守りに入る泳ぎではないので。」とも語り、タッパーの人には壁から遠いところでタッピングしてもらうように調整もしています。
(視覚障害のクラスでは、タッパーと呼ばれる人が壁の位置を知らせるためにタッピングバーという棒を使って選手にタッチします。)

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タッピングバー

パラ水泳は障害の程度によってスタートの仕方、泳ぎ方なども違います。
自分の力が発揮できる身体に合ったスイムスタイルを構築しています。
「実際に生でレースを見てみると、この選手はどんな泳ぎをするんだろうとワクワクしますね!」と初めて観戦された方は感想を語っていました。
100分の1秒を争う激しい戦い。
来年の東京パラリンピック出場を目指して、選手たちの挑戦は続きます。

【新行市佳のパラスポヒーロー列伝 第28回】

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