1994年10月8日、同率首位の中日ドラゴンズと読売ジャイアンツが迎えたシーズン最終戦。勝者がセ・リーグ優勝を決めるこの直接対決を長嶋茂雄監督は「国民的行事」と呼び、全国民の注目を集めた。
『ニッポン放送ショウアップナイター』でも、このプロ野球史に残る伝説的な一戦「10.8決戦」を実況生中継。2025年6月3日に逝去された長嶋茂雄さんの監督時代の伝説の一戦を余すことなくお届けすべく、試合開始から、長嶋監督の胴上げシーンを含む、中継終了までの貴重な実況音源を、全編ノーカット、ラジコポッドキャスト限定で復刻配信。
当時実況を担当した松本秀夫アナウンサーはこう振りかえる。
ひとことで言えば死闘でした。実は中日対巨人の最終戦を実況することはだいぶ前に決まっており、その頃にはもう優勝も決定していて、消化試合になるのだろうと思っていましたが、まさかそれが雌雄を決する一戦になるとは思いもしませんでした。当時まだ32歳だった自分からすれば、分不相応な大舞台が転がり込んできたというのが正直な感想でしょうか。
優勝のかかった実況はもちろん初めてで、本番直前に大先輩の深澤アナウンサーから『いいか、声を張り上げるときは顎を引くんだぞ』とアドバイス受けたことは覚えています。
当日のナゴヤ球場は異様な空気に包まれていました。試合前、監督はもちろん、選手、コーチに声をかけられる雰囲気ではなかったです。勝つと負けるとでは天国と地獄くらいの差があるわけですから当然といえば当然でしょう。選手たちの気迫こもったプレーにおされ、実況する自分も最初からフルスロットルでした。結果は皆さんご存じの通りですが、プレーする選手たちも、伝える自分もあの試合ですべて出し切ったと思います。
クライマックスシリーズが導入される前のことですので、シーズン最後の最後で全てが決まる、という経験はこの先なかなかないかもしれませんね。今、聞き返しても懐かしくもあり、ついこの間の出来事のような不思議な感覚です。
ラジコポッドキャスト限定配信「激闘!10.8決戦 中日×巨人26回戦」はこちら
https://radiko.jp/podcast/channels/c1536cdb-a939-4e6e-b521-403e7c11be27?share=1
※2025年いっぱいまでの期間限定配信
【巨】槙原(1回0/3)斎藤(5回)桑田(3回)
【中】今中(4回)山田(0/3)佐藤(3回)野中(2回)
【勝】斎藤(14勝8敗)
【敗】今中(13勝9敗3S)
【S】桑田(14勝11敗1S)
【本】巨人 落合15号ソロ(今中)村田真10号ソロ(今中)
コトー18号ソロ(今中)松井20号ソロ(山田)
【審判】球審…小林毅、塁審…井上・福井・山本
【試合時間】3時間14分(中断:8分)