巨人・岡本 原監督が「今年は“ビッグベイビー”は使わない」と言う理由

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、2月25日にキャンプを打ち上げた巨人の主軸3人、丸佳浩・坂本勇人・岡本和真にまつわるエピソードを取り上げる。

【プロ野球巨人那覇キャンプ】練習に臨む巨人・岡本和真=2020年2月21日 沖縄県那覇市の奥武山公園 写真提供:産経新聞社

「僕は少しよくないですが、チームは順調に来ています。今年は、昨年(2019年)の優勝の喜びと、日本シリーズでの悔しさを胸に1年間頑張って行きたいと思います」

キャプテン・坂本勇人がマイク片手に挨拶、輪になったナイン一同、三本締めで25日に沖縄・那覇キャンプを打ち上げたジャイアンツ。

今シーズンはセ・リーグ連覇ともう1つ、2012年以来8年ぶりの日本シリーズ制覇が最大の目標ですが、宿敵・ソフトバンクに故障者が続出しているのと対照的に、巨人は主力がおおむね順調にキャンプのメニューを消化。新たな選手の台頭もあり、まずまずの手応えを感じる春季キャンプとなりました。

それでは、気になる主軸3人の仕上がり具合を見て行きましょう。

まずは昨年、移籍1年目から巨人打線を支えた丸佳浩から。打撃は絶好調で、キャンプ最後の実戦となった24日の広島とのオープン戦(那覇)では、3安打・1四球と全打席で出塁。丸のオープン戦打率は、何と.556まで上昇しました。

試合後「いまのところ悔いなく(調整が)できています」とコメントした丸。移籍1年目の昨年は、ジャイアンツの環境に慣れるのに精力を使い、開幕戦で屈辱の4三振を喫したりもしましたが、今季は巨人の水にも慣れ、いたって順調。

広島時代の2016年から4年連続でリーグ優勝の美酒を味わっている丸ですが、“1人5連覇”に向けて、コンディションは万全のようです。

一方、ちょっと心配なのが、締めの挨拶で「僕は少しよくないですが……」と語った坂本勇人です。丸と同様、春季キャンプ中は「S班」に分けられ、自由な調整を任されていた坂本。

しかし、キャンプ前半の宮崎ではインフルエンザ(A型)に罹り一時離脱。那覇に移ってからも、23日に今度は右背中の張りを訴え、以降は実戦を欠場、別メニュー調整に。今シーズンは通算2000安打達成も期待されていますが、巨人ファンにしてみれば、何ともヤキモキする状況です。

「正直、(状態は)よくないなと。野球人生のなかでもいちばん、調整できてないなと思っていますが、開幕は待ってくれない。何とか開幕はいい状態で迎えられるように、という一心です」

昨季は自身初の40本塁打を放ち、MVPに輝いた坂本も、現在31歳。昨季は5年ぶりにシーズン全試合に出場→CS・日本シリーズ出場→侍ジャパン参加とフル回転した反動もあったのか、長年の勤続疲労が出てしまったようです。

原監督は、坂本について「僕のなかでは、東京ドームのオープン戦からは大丈夫であろうと思っています」とコメント。2月29日からのヤクルト2連戦から実戦復帰させ、様子を見る予定ですが、ここでも状況が改善しないようだと、チームにとっては大きな誤算になります。

そんな懸念も抱えるなか、今季、ますます主砲としての責任を問われるのが、4番・岡本和真です。今季からクローズドスタンス気味の新しいフォームを試みている岡本ですが、24日の試合で、2点二塁打を含む3打点をマーク。ホームランこそまだ出ていませんが、直近の実戦10試合で22打数10安打、打率・455とこちらも仕上がりは順調です。

「ケガなく終えられてよかった。ここ最近で、いちばん充実しているキャンプです」

昨シーズン、岡本の打撃成績は「打率.265、本塁打31、打点94」。前年(2018年)の「打率.309、本塁打33、打点100」と比べると、3部門すべてで数字を落としました。

もちろん、岡本が要所で4番としての働きを見せたからこそ、チームは5年ぶりのリーグ優勝を飾れたのですが、連覇を達成するには、昨年と同じ成績ではダメだと本人は感じています。再び「3割・30本・100打点」をマークすることが最低限のノルマ。さらに初の打撃タイトルを……と、内心期するところがあるに違いありません。

「(今季は)同じ打順で1年間やれたらいい」

このコメントには、昨年6月、打撃不振に陥った際、一時的に4番を外され、6番に降格されたことへの反省も含まれています。あのとき原監督に「ビッグベイビーが困っているので、少し助けてあげようかと」と言われてしまった岡本。今年(2020年)は、4番の座も絶対に渡さない……そんな覚悟を感じます。

実は原監督も、キャンプ序盤で「今年は“ビックベイビー”は絶対に使いません」と宣言。その理由は、2月1日にキャンプインしたときの岡本の様子に“変化”を感じたからです。「自分で(チームを)背負う、という強い覚悟を感じる。昨年の2月1日とは雲泥の差がある」(原監督)

今季は「ビックベイビー」に代わって、岡本に「若大将」の愛称を授けた原監督。監督自身も現役時代、同じニックネームで呼ばれていましたが、「名実ともに巨人軍の主砲にふさわしい存在になってほしい」という願いも込められているのでしょう。

「しっかり、速い球を1発で仕留められるようにやって行きたい」

と、開幕に向けて決意を語った岡本。「新・若大将」が昨年以上にチームを牽引できれば、おのずと連覇は見えて来ます。

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