現場復帰した金メダル監督 日立・斎藤監督の静かな闘志と日本代表へのエール

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ニッポン放送「女子ソフトボールリーグ」

背番号30 日立サンディーバ 齋藤春香 監督

選手時代は日立に所属。アトランタ、シドニー、アテネの五輪に3大会連続出場、日本の主砲として活躍。2005年からは日立ソフトウェア(当時)の監督に就任する。2006年12月に日本代表監督に就任し、2008年北京五輪で悲願の金メダルを獲得する。2011年からは地元青森でソフトボールの普及に努めるも、2019年に古巣・日立サンディーバの監督に復帰。「強い日立」の復活を目指す。

‐ 1年目、9勝13敗という結果に終わりましたが、監督としてはどうでしたか?

『う~ん、あのう…1年目としては予想通りだったかなと思っています』

‐ 前半戦、調子が上がりませんでしたが。

『そうですね。私が監督として就任・活動し始めたのは2月からですので、日本リーグの開幕に向けて、いいスタートを切りたいという思いもあったんですけど、冬場の準備期間というか、若干遅れた部分はありましたね。2月にチームに合流して、日立の選手、戦力を見たときに色々…なんでしょうね、プレー以前にチームとしての改革が必要かなと感じましたので、そこからも時間を要したところもあって、そういったところも含めて遅かったかなと。前半のスロースタートというか、結果として上手く繋がりが無かったかなと感じられた部分はありましたね』

‐ 前半は、選手を試しながらという部分が大きかったのですか?

『そうですね。1人1人の選手を心技体、どういった選手なのかと探っていたのもありますし、選手の個々を見ていた時間も前半はありましたので、そういったところに時間を要した部分はあるかなと思います。「もっとやれたかな?」という気持ちは、監督をやる時にはいつも思うので(笑)。その時は一生懸命やるんですけど、終わってみると「まだやれたかな」という思いが残って、これが次のステップの力になっていくのだろうと思っています』

‐ 前半戦と違って、後半戦は大きく勝ち越しました。結果が出始めたと思いますが、修正したところはどの辺りですか?

『私が思っているチーム作りというのは、まず堅い守りから。守備をしっかりするというのが非常に大事で、得点を相手にあげない。極端にいうと、ヒットが無くても点数がとれる、勝利できるチームを目指していきたいというのが根底にあります。もちろんダイナミックなソフトボールをして、ホームランもいっぱい出て、見ている方たちも楽しくて、そんなチームが理想形ではあるんですけど、勝つ為の最低限のチーム作りに関しては、そのプレーの中で堅い守りというのが大事だと思っているんですね。

1年の前半は、堅い守りをしっかりしていくというのが強化の根底にあって、その中で、夏場の中断期間中に打力をどんどん上げていこうと。あとは体力的なものですね。2019年は春先にチーム作りをスタートしたものですから、なかなか体力的なものを強化できなかったんです。なので夏場は、短い期間ではあるんですけれども、体力強化もしながらチーム力を上げて行きました。その結果、後半では勝利を重ねられました。

後半戦では、新戦力・外国人投手のオカシオ投手が加入してくれたので、投手力が非常に上がったというか、それを含めて守備力というのですが、そこは上がったかなと思います』

ニッポン放送「女子ソフトボールリーグ」

‐ オカシオ投手は、防御率4位に入ってくるような活躍でした。監督から見てどんな投手ですか?

『非常にコントロールが良くて、野手が守っていても、打球の方向などの計算が出来る投手だと思いますね。色々な投手がいるんですけど、例えば凄くスピードがあって、多少ボールが甘くてもスピードで押し切って、打者を打ち取れるという素晴らしい投手もいます。しかし、うちの投手はコントロールが良くて、どこに打たせるかといった計算ができるような投手でもあるので、その点では非常に良かったかなと思います』

‐ 斎藤監督が作りたいチームに、上手くハマってくれたという事ですね。

『そうですね。1年1年、挑戦していく思いでいきたいですし、今の時点ではそういう評価をしたいと思います。2020年は、2019年を上回るような期待度を持っていきたいなと思っています』

‐ 昨年、監督が指揮を執っていて印象に残った試合はありますか?

『印象に残った試合は…地元神奈川の秦野と保土ヶ谷でやった試合。地元の皆さんに選手たちが頑張っている姿をお見せできる、願っても無いチャンスの場所だったので、そういう試合でチームが一丸となって戦った姿は、地元の皆さんに何か伝えられたのではないかと。そういう意味では、非常に思い出深いものはありますね』

‐ 今年も神奈川大会が予定されていますね。

『そうですね。とにかくうちのチームは、チーム一丸となって相手に立ち向かっていくというか、一戦必勝の思いで戦うのが非常に大事だと思っているので、応援して下さる皆さんとの《心のキャッチボール》というんですかね。皆さんの思いに答える事が非常に大事だと思っています。色々な方々への感謝の気持ちをプレーに変えていきたいと思っていますので、いちプレイヤーとしての魅力を出して、皆さんから応援してもらえるようなチーム作りをしていきたいと思っています』

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‐ 2020年シーズンは、どんなチームにしたいですか?

『昨年同様、チーム一丸になって戦っていくという事は変わりない事だと思いますし、2019年よりも、よりスピードとパワーを上回るソフトボールを展開できるようにしたいと思っています。見て「面白いな~」というプレーがどんどん出てきて、「日立を応援したい」という内容の試合をしていけるように、そんな試合の開幕を迎えたいと思っています』

‐ 2019年シーズンで、ちょっと足りないなと感じた所は?

『もうこれは全部ですね! 走攻守含めて全部! 今年は、2019年の成績を全部上回る。今年の目標は、優勝戦線に加われるようなチーム作りをしていきたい。いまそこに向けて、チーム強化をしています。チームはバランスが大事だと思っているんですよ。そして、選手1人1人がダイヤモンドの原石なんですね。なので、磨けば磨くほど光っていくと思っています。そこに期待をしながら、チーム強化をしていきたいと思っています』

‐ 数字的なものは…。

『15勝できるチームを作っていきたいと思っています』

‐ 2019年とは逆ですね。

『そうですね。そこに行きつくためには、強化の仕方ももっと違ってくると思いますし、選手個々のモチベーションも力強いものになって来ると思います。この冬の時期に1人1人が鍛錬して、限界の挑戦で頑張ってくれていますので、とても開幕が楽しみなんですが、ケガのないようにこの冬を迎えて、良い開幕を迎えて行きたいなと思っています』

上野由岐子投手(2008年 北京五輪メンバー)

‐ 今年は東京五輪が行われます。五輪でのソフトボールといえば、斎藤監督が北京五輪で金メダルを獲得して以来の競技復活となりますが、あのチームで印象に残っている事はありますか?

『本当に沢山の方に応援して頂いて、支えてもらったというのが、とてもありがたかったです。そういった方々のおかげで金メダルが獲れ、結果を残せたのだと思います。日本の為に、自分の為にという気持ちはもちろんなんですけど、選手1人1人が世界一に向けて、いろいろな方々の想いを感じてプレーするチームでした。その辺が非常に素晴らしかったし、結果を出して期待に答える事が出来たんだと思いますね』

峰幸代捕手(2008年 北京五輪メンバー)

‐ 現在の日本代表には、当時のメンバーでもある上野投手、山田選手、峰捕手が残っていますね。

『すごくうれしい事ですし、もう何年経ったんですか? 10年以上ですか。その月日を経て、ベテランの立場で代表チームをけん引していく選手として活躍してくれることは、非常にうれしい事だと思っています』

‐ 12年も第一線の現役選手としてプレーするのは大変だと思います。監督から見て、彼女たちはどんな努力をしていると思いますか?

『これは北京五輪の時の彼女達を見てもそうなんですけど、ソフトボールに取り組む姿勢が、普通の選手より何倍も凄かったです。ソフトボールで自分が上手くなりたい、自分が結果を残したい、チームの為に何ができるかをいつも考えている選手だったと思いますね。だから、月日がたっても当時と同じ思いでプレーしていると思います。《応援してくれる色々な方々の為に》《ソフトボール界の為に》と思いながら、プレーしている選手じゃないかなと思います。

沢山の人からこうやって応援してもらえているという事も、凄く喜ばしい事だと思いますし、彼女たちは今の若い選手たちにとって見本となる、お手本となる選手だと思うんですよ。これからも彼女たちにはベテランの立場としてやるべき事、なすべき事があると思いますので、そこにも期待をしながら、ソフトボール界の発展に向けても寄与してもらえると、すごくありがたいなと思います。

今のままでも十分なんですけど、その背中を見て頑張って行ける子供達、夢を持って行けるというソフトボール選手達がいますので、そこに向けて頑張ってほしいなぁと、彼女たちにエールを送りたいと思いますね』

山田恵里選手(2008年 北京五輪メンバー)

‐ この東京五輪でも、ライバルはアメリカと言われています。齋藤監督の時代もアメリカがライバルでした。アメリカの強さとは、どんな所だと思いますか?

『アメリカは個々の選手の能力が長けていますよね。そこに関しては、毎年アメリカ代表の選手を見て思うんですけど、打者はホームランをガーンと打って一気に逆転してしまうパワーを持っている選手もいますし、投手では速いスピードボールでどんどん押しながら、変化球などで勝負する投手が数多くいます。アメリカはソフトボールをする選手のすそ野が広いですから、その分、良い選手が出てくるのかなと思います。

ただ、アメリカはとても強いチームと認めながらも、日本代表チームも東京五輪決勝に向けていろいろな事を考えながら、いま準備をしている段階だと思います。陰ながら「がんばって~」という思いでエールを送りたいと思います』

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