けらえいこ~なぜ『あたしンち』を再開したのか
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に漫画家のけらえいこが出演。松岡茉優をはじめとして若い人が『あたしンち』が好きだと言う理由について語った。
黒木)今週のゲストは漫画「あたしンち」の作者で、漫画家のけらえいこさんです。『あたしンち』のなかで、私の名前が出ているそうですが。
けら)そうなのです。黒木さんをパンチパーマにした絵を、実は漫画のなかで描いてしまっていて、合わせる顔がないなと思いながら来ました。言い訳をすると、ユズヒコという弟はクラスでモテる子なのですが、ユズヒコの家族に憧れて、自分自身も好きな子のご家族がどういう人なのか気になり、お姉さんがいると言ったらお姉さんは綺麗な人なのだろうと思うし、お母さんがいると言ったらお母さんはとても綺麗な人なのだろうと思ってしまう。ところが藤野君という子は、「ユズヒコ君のお母さんはどんな素敵な人なの?」と聞かれると、「顔は黒木瞳で頭がパンチパーマ」と言って逃げてしまうという場面があるのです。憧れている女の子も傷つけてはいけないし、ユズヒコとそのお母さんも傷つけてはいけないから、本当のことを言わずに逃げるというシーンなのです。それで黒木さんをパンチパーマにした絵を描いてしまったので、本当に申し訳ないです。
黒木)『あたしンち』は芸能界にもファンがたくさんいらっしゃると伺っていますけれど、松岡茉優ちゃんも漫画の帯に、「いつの間にかみかんよりもお姉さんになっていた」と書いていました。小さいころから読んでいたということですよね。
けら)そうですね。いま松岡さんは25歳なのですけれど、「小さいころに読んでいました」「小さいときにアニメを観ていました」と言ってくださいました。松岡さんもそうですが、2002年からアニメが始まっていて、そのとき6~7歳くらいで観ていた子がいま25歳になって、ツイッターやテレビで『あたしンち』が好きだと言ってくださるのですね。でも私は家で漫画を描いているので、その子たちが6~7歳のときに家でテレビを観ていたということが、実感としてありません。だから松岡茉優さんのような人が「『あたしンち』が好きです」と言っているのを見て、本当に驚きました。それがあったから再開しているようなものです。松岡さんだけでなく、いろいろな人たちに「好きです」と大人になって言われると本当に驚いてしまって、それが大きいのです。それで松岡さんに甘えてしまい、帯にお言葉を書いていただきました。最近だとダウンタウンの松本人志さんのお嬢さんがハマっているみたいで、「親子で好きです」と言っていただきました。光栄で、幸せでいっぱいですね。それを描くエネルギーに変えて、頑張っている感じです。
黒木)いろいろな作品を世に出していらっしゃいますけれども、こうやって1つの作品を長く続けていたことによって、多くの方々が応援してくださる。それ以外に、何か自分で学ばれたことはありますか?
けら)日常生活を描いていると、描いているうちに人生を考えるようになります。それは自分にとって大きな学びだったということはあります。
黒木)これからも、漫画を描き続けて行かれると思いますけれども。
けら)そうですね。その道をさらに追求して、ブラッシュアップして行こうと思っています。
けらえいこ/漫画家
■1962年、東京生まれ。
■東京都立井草高校卒業。早稲田大学第二文学部卒業。高校・大学ともに漫研所属。
■1987年、4コマまんが『3色みかん』(ヤングサンデー)で漫画家デビュー。 早稲田大学漫画研究会の先輩であった上田信治さんと結婚。
■1991年、本人の結婚生活を書き下ろした漫画『セキララ結婚生活』がベストセラー。また『たたかうお嫁さま』も刊行。のちに連続ドラマとして放映された。
■1994年6月、高校時代の自らの家族をモデルに日常生活をつづった『あたしンち』を読売新聞日曜版で連載開始。人気作品となりアニメ化・映画化もされた。※アニメは2002~2009年。また2015~2016年まで放送された。
■1996年、『あたしンち』が第42回文春漫画賞を受賞。
■2010年、単行本『あたしンち』が累計1000万部を突破。翻訳出版されるなど、海外でも人気になっている。
■2012年、『あたしンち』の足かけ18年の連載を終了。
■2019年12月、雑誌「AERA」にて『あたしンち』の連載を再開。
■その他、数々の作品を発表。埼玉西武ライオンズのファンとしても知られる。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳