けらえいこ~ほとんどの時間を費やすのは“ネタ出し”
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黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に漫画家のけらえいこが出演。漫画を描く毎日について語った。
黒木)今週のゲストは漫画『あたしンち』の作者のけらえいこさんです。去年(2019年)12月に『あたしンち』の連載が再開されて、改めていかがですか?『あたしンち』が戻って来たような感じですか?
けら)忙しくなりましたが、反響はすごくいただきます。いまはネットで読者の方から直にお声をいただくのですよ。昔は反響が大きいというと、マネージャーさんから聞く数字だったりして、あまり体感することはなかったのですが、いまはメールやコメントを直接いただきます。そういうものも全部読んでいるのですね。「こんなことをみんなが思ってくれているのか」と、改めて感じます。私としては7年ぶりだろうが、いつもと同じ感覚で仕事をしているのですが、ファンの方がことさらに「帰って来てくれた!」と言ってくださるので、「そうなんだ」という感じです。
黒木)それほどの区切りは、ご自分のなかにはないということですね。
けら)そうですね。休んでいた間もやるべきことがあって大変でした。連載再開後は、毎日が月曜日みたいな気持ちですね。
黒木)お休みはどうしているのですか?
けら)私自身が「休みはどうしているのか」と聞きたいくらいで、時間を区切った休みはいままで1日もありませんでした。そのときそのときで、海外旅行に2週間行きたいなとなったら、その分の仕事をすべて前倒しで入れてから行きます。自分で決めて休むというか、どこかへ行くという感じですね。寝る時間を確保するために、仕事として寝ているみたいなところがあるので、それも休みとは言えないのですよ。ご飯を食べた後に、30分くらいまったりしている間がお休みと言えばお休みで、あとはネットを見ていても仕事のことをずっと考えていますね。
黒木)でも、それがいい感じなのですね。
けら)そうです。それがデフォルトになっています。
黒木)ということは、ご主人もそれでやっていらっしゃるということですか?
けら)そうです。まったく運動をしないので、運動しなくてはと思っているのですけれど。そのために、いまは何とか週刊連載が成り立つスケジュールで動いていますが、1週間のなかに1日でも運動する日をつくったら、それをまかなうために時間を切り詰めなければいけないので、「どうしよう」と考えているところです。
黒木)でもせっかくスウェットを着ていらっしゃるのだから、動けるではないですか。5分か10分。
けら)家のなかでですか? それができないのですよね。
黒木)縄跳びとか。
けら)縄跳びやランニングマシン、エアロバイクを持っている人もいますが、私はできないです。戦闘服は描くための戦闘服なので、動くためのものではないし、ましてや外には出られないし。
黒木)自分がいちばんリラックスしているのは、いまの生活が続いて行くことがいちばんのやすらぎになるのですか?
けら)そうですね。私がいまいちばん嬉しいのは、ネタが降りて来たときです。ネタを出すために、ほとんどの時間を費やしています。1週間かけて1本のネタを考えているのだとしたら、1週間に2本降りて来ると、宝くじで100万円が当たったくらいの気持ちになる生活です。
黒木)絶えず頭のなかがネタ探しというか、何かが降りて来るのを待っている感じなのですね。
けら)そうです。割と大変なのですよ。
けらえいこ/漫画家
■1962年、東京生まれ。
■東京都立井草高校卒業。早稲田大学第二文学部卒業。高校・大学ともに漫研所属。
■1987年、4コマまんが『3色みかん』(ヤングサンデー)で漫画家デビュー。 早稲田大学漫画研究会の先輩であった上田信治さんと結婚。
■1991年、本人の結婚生活を書き下ろした漫画『セキララ結婚生活』がベストセラー。また『たたかうお嫁さま』も刊行。のちに連続ドラマとして放映された。
■1994年6月、高校時代の自らの家族をモデルに日常生活をつづった『あたしンち』を読売新聞日曜版で連載開始。人気作品となりアニメ化・映画化もされた。※アニメは2002~2009年。また2015~2016年まで放送された。
■1996年、『あたしンち』が第42回文春漫画賞を受賞。
■2010年、単行本『あたしンち』が累計1000万部を突破。翻訳出版されるなど、海外でも人気になっている。
■2012年、『あたしンち』の足かけ18年の連載を終了。
■2019年12月、雑誌「AERA」にて『あたしンち』の連載を再開。
■その他、数々の作品を発表。埼玉西武ライオンズのファンとしても知られる。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳