新型コロナ対応で分断される欧米と東アジア~岐路に立たされる日本のスタンス

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月20日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。新型コロナウイルスの対応によってさらに深まる米中の対立と、今後の日本の立ち位置について解説した。

発生源とされる武漢華南海鮮卸売市場の空撮。左手に見えるのが正面玄関。消毒チームが付近の消毒を行っている(2020年3月4日撮影)(新型コロナウイルス感染症の流行(2019年-)-Wikipediaより)

WHO総会、新型コロナの対応について独立調査の実施を決議

世界保健機関(WHO)の年次総会は19日、新型コロナウイルス感染症への対応について、独立した検証作業の実施をWHOに求める決議案を採択した。今回の年次総会ではアメリカが初動対応についてWHOを批判、中国の対応についても非難を強めていて、米中対立の図式が浮き彫りとなっている。

飯田)2日間の日程で、オンライン形式で総会が行われました。アメリカが中国に対して批判を強めています。

佐々木)資金の拠出を恒久停止ということですが、それほど大きな金額ではありません。WHOの年間予算総額は6000億円くらいです。アメリカが出しているのは15%、900億円くらいです。アベノマスクの予算額の2倍ほどです。そう考えると、アメリカがいなくても他の国でできる金額です。これはWHO存亡の危機というより、国連やWHOのような国際社会の秩序を誰が守るかということの、綱の引き合いになりつつあるということです。

新型肺炎/テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言=2020年3月11日 写真提供:時事通信

今後、中国が国際秩序のリーダーになるのか、リーダー不在で混乱が続くのか

佐々木)アメリカはトランプ大統領になってから、世界の警察から撤退すると発言していて、国際秩序をリードするところから手を引きつつあります。それをいまさら、WHOに文句を言っているのも何だろうという感じがします。一方で中国は、散々叩かれているにも関わらず、イタリアが感染爆発をして、EUに支援を断られたら、そこにロシアと医療支援をしています。非欧米的な世界では、中国の存在感はますます高まっている状況があります。今後、中国が国際秩序のリーダーになって行くのか、それとも誰もならないまま、混乱が続くのかというところだと思います。専門家の人によって見方が違い、中国はソフトパワーが弱すぎるし、強権国家なのでリーダーにはなれないだろうと言っている人も多くいます。アメリカの外交問題評議会のリチャード・ハース会長が「フォーリン・アフェアーズ」という雑誌に書いていますが、第二次世界大戦後はアメリカが世界の秩序を引いていたけれど、このままでは、誰も秩序をつくらない状態が続いてしまうのではないかと。

飯田)第一次世界大戦が終わった後、アメリカが台頭して来そうで、そこまで行かないというような、同じ状況になるのかも知れない。

佐々木)まさしく、第一次世界大戦後と同じ状況になるのではないかとも言っています。

飯田)そうすると、収まって落ち着くように見えるかも知れませんが、何かをきっかけにしてもう1度、危機が続く可能性があるかも知れないということですね。

佐々木)そういうことです。そこまで見通せない感じだと思います。

中国の習近平国家主席(左)とトランプ米大統領=2020年5月14日 写真提供:時事通信

分断されつつある欧米と東アジア諸国~日本はどちらかを選ぶのか岐路に立たされている

飯田)一方で、新型コロナウイルスが中国・武漢の発祥であることは間違いない。それがどういう形で蔓延して行ったのか、どうして抑え込めなかったのか、その検証をアメリカはじめ西側諸国は求めている。透明性のある形でやりたいと。

佐々木)中国は相変わらず情報が出て来ないので、感染者や死者がどのくらいいたのか、わからないところがあります。中国発祥なのに、中国では収まって欧米で死者、感染者が出ているという状況のなかで、中国への反発も高まっています。それに引きずられた感じで、欧米でアジア人が差別されるということが起きています。ますますコロナを抑え込んでいる東アジア諸国と、欧米との間の亀裂が広がる感じもします。

飯田)そのなかで、日本はどのようなスタンスを取って行くのでしょうか?

佐々木)東アジア的な儒教国家群のなかで日本は唯一、どちらかと言うとリベラルで欧米の横に並んでいる感じでした。立ち位置として、韓国やシンガポール、中国とは違うところです。東アジア的な秩序のなかで我々は生きて行くのか、それとも今後も欧米について行くのか、岐路に立っていると言えるかも知れません。

規制により人通りがなくなったスペインの通り(2020年3月15日)(新型コロナウイルス感染症の流行(2019年-)-Wikipediaより)

テクノロジーによる監視的なシステムによる成功~揺れる欧米的な価値観

飯田)いままでであれば、欧米的な民主主義でリベラル国際主義な秩序、価値観を重視するところがありましたが、テクノロジーの発達によって、そういうものの価値観も相対化されて来るのでしょうか?

佐々木)今回のコロナで接触者の追跡など、ある程度は監視的なシステムを引き入れざるを得ないという方向に切り替わり、欧米もそのシステムをつくりつつあります。人々の自由が中心であって、監視するのは許せないという考えが揺らぎつつあるという現状です。そうすると、国と国民の関係が、今回を機に変わらざるを得ないのかも知れません。監視システムによってコロナを封じ込んでいるという意味では、シンガポール、台湾、中国、韓国のやり方の方が優位ではないかという見方も出ています。ここが非常に難しいところです。

飯田)これがコロナを抑え込むことだけを目的として運用されればいいのですが、それ以外に国家が国民を監視するというところまで行くと、どうなのだと議論になるわけです。

佐々木)監視すると国民にメリットがない感じがしますが、すでにGAFAがやっているデータベースを使ったビッグデータで、利用者の利便性を上げるということが、実は人々にとっても有効なシステムであるということは徐々に認知されています。それに対しては、プライバシーの侵害という批判もあり、その綱引きが10年くらい続いて来ました。中国は完全に振り切って「監視された方が幸せだ」と、もはや国民が言っています。そのバランスの中心点がずれ始めているということもあると思います。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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