金与正氏をなめていた韓国~北朝鮮が南北連絡事務所を爆破

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月17日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。北朝鮮が開城(ケソン)に設置されている南北共同連絡事務所を爆破したニュースについて、「デイリーNKジャパン」の編集長・高英起を電話ゲストに迎えて解説した。

16日午後に完全破壊された北南共同連絡事務所=2020年6月16日 写真提供:時事通信

北朝鮮が開城にある南北共同連絡事務所を爆破

北朝鮮は16日午後、南西部の開城に設置されている南北共同連絡事務所を爆破した。北朝鮮は韓国の脱北者団体が金正恩委員長を批判するビラを散布したことに強く反発していて、今回の爆破は南北間の通信線遮断に続く対抗措置とみられている。

飯田)16日午後2時50分ごろの出来事です。国営の朝鮮中央テレビは、5時のニュースでこの爆破を伝えておりました。北朝鮮の朝鮮中央通信は、韓国の文在寅大統領が15日に金正恩委員長に特使派遣を提案する通知文を送ったことに対して、妹の金与正党第1副部長が拒否したと伝えています。韓国が必死につなぎとめようとしたのを拒否しました。ここからは、朝鮮半島情勢に詳しい「デイリーNKジャパン」の編集長・高英起さんに電話で伺います。高さん、おはようございます。

高)おはようございます。

飯田)まずこの爆破、13日に予告されて3日後に実行に移したということは、展開が早いような気がしますが、どうご覧になりましたか?

ドナルド・トランプと金正恩との会談前に文在寅も加え談笑する3人(2019年6月米朝首脳会談-Wikipediaより)

米朝関係を進めることができない韓国への失望の意思表示

高)韓国含め、世界が与正氏をよくも悪くもなめていたところがありました。与正氏が「やるときはやる」という意思をはっきり示したというのが、今回の特徴です。

飯田)軍事境界線の近くの部分、非武装地帯にまで軍を派遣するなど、緊張を高めているのはどういう目的があるのでしょうか?

高)1つ言えることは、韓国に対して失望しているということです。北朝鮮が韓国に求めるのは「アメリカとの仲介」のみです。現在、米朝関係がかなり停滞しています。さらにコロナ問題に加えて、米朝関係をはじめ北朝鮮の国際関係が打開できないなかで、韓国がのらりくらりと北朝鮮をかわしていたのですが、いい加減に切れたということです。

飯田)「お前、やると言ってやらないではないか」ということになったわけですか?

高)そういうことです。韓国も北朝鮮のリスクを抑えつつ、延ばすつもりでしたが、まったくアメリカとの関係が進まない。脱北者による金正恩氏への批判ビラを口実にはしているのですが、それ以上に韓国に対する失望感が大きいと思います。

飯田)そうすると北朝鮮サイドとしては、アメリカと直接交渉を続けて行きたいという気持ちが大きいのですか?

高)アメリカとの交渉は永遠に続く話です。北朝鮮というのは、それがない限り、最終的に金正恩体制が安心することはないのです。北朝鮮はそこを切るつもりはまったくありません。いずれにせよ、韓国がダメだという意思の表れだと思います。

北朝鮮、金与正氏=2019(平成31)年3月2日、ベトナム・ハノイ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

北朝鮮政権内の力関係に変化はない~金正恩氏と与正氏は一心同体

佐々木)金与正氏が最近やたらと表に出て来ていますが、政権内の力関係に変化が起きているのですか?

高)力関係に変化は起きていないと思います。与正氏は金正恩氏に何かがあったときには後継者になると思いますが、基本的には二人三脚で、金正恩氏と与正氏は一心同体だと思います。与正氏が金正恩氏にとって代わるということはないと思います。金正恩氏の健康問題などで、公式行事等に出ていないということを含めて、今回の件は与正氏が金正恩氏の代わりになる人物だとアピールする大きなきっかけだったと思います。

佐々木)以前、与正氏が出ていたときはソフトなイメージでしたが、ここ最近きつい感じになって来ているのは、国内向けのアピールですか?

高)私は両方だと思います。与正氏も政治家です。しかも北朝鮮の政治家ですから、いつまでも甘い顔ばかり見せていられませんよね。こういう一面を見せることは、北朝鮮国内には効果があります。「与正氏もやるときはやるのだ」ということを国内外に見せているのだと思います。

2020年4月11日、北朝鮮・平壌で開催された朝鮮労働党政治局会議で話す金正恩党委員長(朝鮮中央通信=共同) 写真提供:共同通信社

今回もいつものように波風を立てて対話に持ち込もうという手段

佐々木)ミサイル発射もそうですが、まず強く出て、それによって事態を動かして対話を始めるというのが北朝鮮のやり方です。何もしないと、国際社会で北朝鮮は無視されてしまうではないですか。常に波風を立てて、そこから対話を始めなければという焦りのようなものを感じるのですが、どうでしょう?

高)おっしゃる通りです。それが北朝鮮の常套手段ですし、米朝関係が進まない。南北関係がダメになったとしても、こういうことで波風を立てる、大きくアピールすることによって動かさないと、北朝鮮はじり貧になるだけです。そこは佐々木さんがおっしゃる通りの狙いがあると思います。

佐々木)毎回過激なことばかり言っていると、オオカミ少年状態になるわけで、本当に大変な状況なのか、それともいつものようにブラフをかけているだけなのか、区別がつきにくくなるのではないかという感じがしますが。

高)北朝鮮は「やるやる」と言ってやらないということを繰り返している国家なので、今回も決定的なことにはならないと思います。今回は爆破という派手なやり方とは言えども、あくまで北朝鮮国内ですから、これで軍事衝突が起きるようなことではないですよね。

南北軍事境界線がある板門店で握手するトランプ米大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長=2019年6月30日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

トランプ氏再選の可能性がなくなれば、核開発の再開も

飯田)アメリカは反応していませんが、北朝鮮は様子を見て、また手を打って来る可能性があるということですか?

高)しばらく核開発やミサイル開発という形での挑発をして来ると思います。いまのところトランプ大統領がどうなるかわかりませんが、トランプ氏再選の可能性がなくなれば、北朝鮮は核開発に出て来るのではないかと思います。

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