同居する婚約者は美人モデル~中日・マルティネス

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、7月5日の巨人戦で先発出場。3安打の活躍を見せた中日の外国人キャッチャー、アリエル・マルティネス選手にまつわるエピソードを取り上げる。

同居する婚約者は美人モデル~中日・マルティネス

【プロ野球巨人対中日】8回 中日・アリエル・マルティネスが左安打を放ち代走を送られベンチに引き揚げた=2020年7月5日 東京ドーム 写真提供:産経新聞社

「3連敗して帰れない! きょうは必ず勝って、名古屋に帰ろう!」

5日、東京ドームで行われた巨人-中日戦。3日・4日と巨人に連敗していた中日は、何とか巨人に一矢報いたいゲームでした。試合前、円陣を組んだドラゴンズナイン。この日「声出し」を担当したのは、キューバ出身の外国人捕手、アリエル・マルティネス(以下「アリエル」)でした。

チームメイトからは「ワチョ」と呼ばれているアリエル。「ワチョ(Huacho)」はスペイン語で「田舎者」を意味する愛称で、農村地帯が広がるマタンサス州の出身なので、このニックネームが付きました。現在24歳で、190センチ・95キロとかなりの大柄ですが、端整な顔立ちのイケメンでもあります。

キューバの国内リーグでは、故郷・マタンサスのチームでプレーしていましたが、かつて中日でプレーした“キューバの至宝”オマール・リナレス巡回コーチが「彼には将来性がある」と推薦。2018年に育成選手として中日に入団しました。

2年前、中日がアリエルを獲得したときに「へえ」と思ったのは、彼が捕手として入団したからです。守備の要であるキャッチャーは、ピッチャーはもちろん、ベンチや野手とのコミュニケーションも欠かせないポジション。日本語が話せないのはネックになり、プロ野球の長い歴史のなかで、外国人捕手が数名しか存在しないのは、それが大きな理由です。

「打撃期待で、外野か一塁転向含みで獲ったのかな」と思っていたのですが、リードを勉強するかたわら、チームメイトを先生に、コツコツ日本語を覚えて行ったアリエル。「毎日、新しいことを覚える」のを日課に、いまでは身振り手振りも交え、ピッチャーと会話ができるレベルになりました。投手からキャッチングを褒められることも増え、それが励みになっているとか。

2軍スタッフから、アリエルの成長ぶりについて報告を受けていた与田監督。ちょうどアルモンテが故障で戦列を離れたこともあり、1日に支配下登録を結ぶと、すぐ1軍登録。3日の巨人戦初戦で代打としてデビューさせ、4日の試合では代打のあと、そのままマスクをかぶらせました。

外国人選手が1軍の公式戦に捕手として出場したのは、2000年の中日・ディンゴ以来20年ぶりのことです。ブリュワーズでは野茂英雄とバッテリーを組んだこともある大物メジャーリーガーですが、先述の理由で、中日では外野手としてプレー。捕手としては試合途中に1試合マスクをかぶっただけで終わりました。

他球団を見渡してもこの20年、外国人捕手の出場は皆無。この事実を見ても、アリエルの捕手出場がいかに大変なことかおわかりいただけるでしょう。しかもアリエルはこの試合、二盗を試みた吉川尚を刺し、自慢の強肩もアピール。これが評価され、翌6日の第3戦に何と「8番・捕手」でスタメン起用されました。外国人捕手のスタメン出場となると、1991年、ロッテのマイク・ディアズ以来、実に29年ぶりのことでした。

ディアズはメジャーで捕手経験があり、一塁ランナーを座ったまま牽制で刺した強肩を買って、金田正一監督(当時)がマスクをかぶらせました。この年ディアズは捕手登録されましたが、キャッチャーとして先発したのは6試合だけ。アリエルの先発出場は今後も増えて行くと思われますが、そうなればまさに歴史的出来事ですし、5日のスタメンマスクはもっと讃えられるべき快挙です。

しかもアリエルは、いきなり首脳陣の期待に応えてみせました。打っては4打数3安打の大当たり。巨人先発・サンチェスの投じた152キロの速球をレフト前に弾き返したり、タイミングを外されても、しっかりバットを振り抜きヒットにするなど、強打者としての素質を感じさせる内容でした。チーム打率のわりに得点が少ない中日ですが、こういう打者が下位にいれば、得点力アップにもつながります。

また守備面でも、梅津のフォークが何度かワンバウンドになりましたが、体を張ってブロッキング。1度も後ろにそらしませんでした。投手にとっては、どんな球でもしっかり捕球してくれる捕手ほど心強い存在はありません。また、3回に梅津が打球を右足に当てて顔をしかめるシーンがありましたが、「ガンバレ! ガンバレ!」と激励。大きなジェスチャーも交えピッチャーを盛り立てるところも、見ていて好感が持てました。

今季、中日はアリエル以外に、木下拓・加藤・郡司の3人が先発マスクをかぶっていますが、ここ数年、捕手を固定できていないことが長期低迷の一因になっています。

アリエルは、正直リード面はまだまだこれからですし、捕手として学ぶべきことも多いですが、「打てる捕手」が主流になっているいま、彼の打棒は大きな魅力。もし「外国人正捕手」誕生となれば、それこそ球史に残る快挙です。

デビュー戦の後、「外国人キャッチャーを(もっと)日本に呼んでもらえるくらい、たくさん活躍したい」と夢を語ったアリエル。その意気やよし、です。

異国で頑張るアリエルですが、支えになってくれる心強い味方がいます。キューバから来日中のフィアンセ、カミーラさんです。キューバでモデルとしても活躍した美女で、インスタグラムで、アリエルとの“熱愛ショット”をたびたび投稿。その美しさはすでに一部野球ファンの間で評判になっています。

アリエルが今後ブレイクすれば、その美貌が話題になり、写真集まで出した元巨人・マイコラス夫人のような展開も考えられます。カミーラさんも今回の活躍を心から喜んでいるようで、もしかするとその愛のパワーが、中日が長期低迷を脱する起爆剤になるかも知れません。Vivan los novios!(お幸せに!)

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