ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月21日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。トランプ大統領と菅総理の初電話会談を受け、菅政権の国家安全保障上の動きと対中国政策について解説した。
菅外交本格始動 日米首脳の電話会談開催
菅総理大臣は20日夜、就任後初めてアメリカのトランプ大統領と電話会談を行い、菅政権としての首脳外交をスタートさせた。菅氏は安倍前総理が構築した強固な日米関係の維持・強化を図りたいという考えを伝え、引き続き拉致問題の解決への協力を要請した。
須田)具体的なやり取りがあったということでなく、お互いケミストリーが合うというか、気持ちが通じ合うかどうかということが重視されます。安倍総理については、1つはトランプ大統領に連絡して辞めますといったときに、トランプ大統領が「So sad」という表現を使ったし、トランプさんとは対立という形になっているボルトン前補佐官が、安倍総理の退任を受けて「あの2人の関係はマジックだ」という風にアメリカのメディアに対してコメントしているのです。つまりトランプ大統領と個人的にフレンドリーな関係を築ける人ってほとんどいないのです。各国の首脳でもいない。そのなかにおいてあれだけの親密な関係を築いたというのは、マジックだという表現を使っているのです。そのなかで菅総理は安倍さんの後継者でありますし、今回の内閣の布陣を見ても後見人的な立場に安部総理がなっているのかなと見られる。ではその人間関係も引き継げるのかどうなのか。というところが1つのポイント。
ただそうは言ってもですね、覚えてらっしゃいますかね。2019年5月、菅総理は官房長官に訪米しているのです。このときに同行した政府のスタッフは、総理大臣級の布陣を敷いたというのが伝えられ、それに対しても批判が出てはいるのですが、トランプ大統領とは会談できなかったのですけれども、そのときに面談したのが、ペンス副大統領・ポンぺオ国務長官ということで、そういった意味で言うと、トランプ大統領については安部総理、ペンス副大統領については菅官房長官(当時)と、そういった強固な関係が築くことができた。これをスムーズにトランプ大統領に引き継ぐことができるのかどうなのか。こういう点ですけれども、漏れ伝わってきている電話会談のやり取りを見てみると、やはり好印象をトランプ大統領は持ったのかなと思います。
飯田)トランプさん、実務的でぱっと答えることができる人を好むというようなことが、いろいろな周りの手記だとかで出てきますけれども、菅さんはそういう意味では仕事師中の仕事師でありますからね。
須田)やはりトランプ大統領のベースはビジネスマンですからね。交渉はするけれども、その一方で結論が早い、白黒はっきりしている、誤魔化さないというところについては非常に好む。そういった意味でいうと菅さん、一方で叩き上げというイメージばかり広がっています。物事を言わないみたいなイメージになってしまうのですが、まったく逆の方ですからね。秋田出身の方に関して言えば、珍しく物事をずばっと言うのだなと私はいつも思っています。
飯田)なるほど。気質としての部分。
電波を大量に使う時代に備えた携帯電話会社の効率化
飯田)日米関係というと、当然そこに中国とどう対応するのだという話が出てきます。デジタルについてはTikTokだなんだと言われてきていますが、日本としてもここに手を打つというのがデジタル庁であったりするわけですか。
須田)そうですね。その前段として国家安全保障局のなかに経済班を設置しましたよね。あまり国家安全保障問題と経済って、もちろん関係なくはないのだけれども、なんかちょっと違和感を持たれた方も多いと思います。実はそこはやはり今回のデジタル庁構想につながっていくような5Gであるとか、或いは通信であるとかというところ。この問題が大きく関与しているということと、菅総理が進めようとしている携帯電話の料金値下げ。この問題も全部リンクしてくるのです。
飯田)そこもリンクするのですか。
須田)要するに料金値下げするということは、もっと効率よく使えよと。要するに既得権益のように、大益を独占しているのではなく、そこは効率よく使わないと5Gの時代、そしてその先に見えてきているIoT(Internet of Things)、ありとあらゆるものがインターネットに接続してくる。こういったものを見てみると、電波を大量に使う時代がやってくるのです。そうすると携帯電話会社が独占的に大益を使っているというのはどうなの、というところに繋がっていきますし、すべて一連の流れで進んできていると。その一方ではアメリカの対中国封じ込め、この動きと連動していることは間違いないと思います。
飯田)21日の紙面だとかでもTikTokというところをどう売却していくのか、オラクルとウォルマートというアメリカの会社が少数株主として入るのだという話が出てきています。それだけじゃなくて、中国の企業に対しての締め付けってアメリカ国内で相当強くなってきていますよね。
須田)恐らく日本においては甘利明さんが率いる自民党の議連が積極的にこれを進めているのです。恐らく近々、その辺りに対する自民党サイドの方向性・プランが明らかになってくると思います。
飯田)甘利さん、確かに今回入閣もせず、党のなかでのポストも変わらず、というところである意味自由に動けますね。
須田)動けますし、非常に重要なポジショニングを取っているというところだと思います。
飯田)これやはり安全保障だとかを考えると、当然アメリカ寄りというか、中国に対して全面的にHuawei(ファーウェイ)とかも開放しますということにはならないのですか。
須田)ならないですね。ですからTikTokについてもですね、要するにアメリカについては民間企業を買収するという動きになった。甘利さんはそれこそ産経新聞のインタビューに答えて、日本でもそういうとことが出てくるべきだと。つまり日本側はそれを進めようとしても、民間企業で手を挙げるところはどこも無いのですよ。
飯田)なるほど。それだけ大きな、金額もそうだし、あと中国側に睨まれるなどいろいろなリスクもあるわけですね。
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