PCR検査・抗体検査・抗原検査は、それぞれ何を調べているのか?
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ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(9月20日放送)に、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会メンバーであり、東北大学大学院医学系研究科・医学部 微生物学分野教授の押谷仁が出演。新型コロナウイルスの検査の違いについて語った。
淵澤由樹(アシスタント):「PCR検査」「抗体検査」「抗原検査」……新型コロナウイルスの報道で、よく耳にする3つの検査です。それぞれの検査には、どういう違いがあるのでしょうか?
押谷:「PCR検査」は、ウイルスの遺伝子の一部を増幅させて調べる検査です。「PCR」が陽性になるということは、体のなかにウイルスがある状態を意味しています。
「抗体検査」は、ウイルスが体のなかに入って来ると、抗体をつくって反応するのですが、それを調べる検査です。ただし、ウイルスが体のなかにいなくても、抗体検査では陽性になります。すでにウイルスが体から排除されている場合でも、抗体検査では陽性になるということです。
「抗原検査」は、ウイルスには「たんぱく質」があるのですが、その「たんぱく質」を検出する検査です。一般的には「PCR検査」に比べると、感度は低いと考えられます。抗原検査で陽性になる場合は、体のなかでウイルスが増殖しているということになります。
淵澤:「PCR検査」の精度も、100%ではないのですよね。
押谷:感度はだいたい70%くらいと言われます。「PCR検査」でよく使われているのが、「リアルタイムPCR」というシステムですが、この試験自体は非常に感度のいい検査だと考えられています。新型コロナの場合、感染していても、喉や鼻にあまりウイルスが増えていない人たちが、ある一定の割合でいます。それが感度の低い原因です。70%と言っているのも、感染した人が発症し、症状が出てから1~2日くらいのときで70%と言われています。それ以前ではもっと低いし、そこから先はもっと低い。平均して70%ではなく、いちばん条件のいい時期に検体をとった場合で70%ということです。
多くの方がこのような検査に対して、非常に信頼性が高いものだと思っていらっしゃいますが、実はそこまで感度は高くありません。ただ、それは新型コロナウイルスの特徴によるものなので、検査そのものの感度が低いわけではありません。
番組情報
この番組は、子育てで日々奮闘しているママやパパ、そしておじいちゃん、おばあちゃん、ご近所さんなど、子育てに関わる皆様に、役立つ情報を提供してゆく子育て応援プログラムです。
ナビゲーター:尾木直樹 アシスタント:淵澤由樹(フリーアナウンサー)