バイデン政権になった場合~考えられるこれだけの「懸念」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月10日放送)にジャーナリストの有本香が出演。菅総理がバイデン氏に祝意を示したというニュースについて解説した。
菅総理大臣がバイデン氏に祝意
菅総理)改めて、バイデン氏、ハリス氏に心よりお祝い申し上げたいと思います。また、バイデン氏との電話会談、訪米については、現時点においては何も決まっていませんが、今後タイミングを見て調整して行きたいと思います。
11月9日、菅総理は総理大臣官邸で会見を行い、バイデン氏に対して祝意を示した。その上でバイデン氏との電話会談や自身の訪米に関しては、今後タイミングを見て調整して行きたいと語った。
飯田)総理官邸のホームページを見ますと、「米国大統領選挙等についての会見」という形になっていて、何に対しての心よりのお祝いなのか……。
有本)そこを言っていないですよね。
飯田)この状況だと、当然、バイデンさんが当選確実なのかということに関してだろう、ということになります。
有本)そうでしょうね。だけど、奇妙なことに、中国はまだ祝意を表していませんし、ロシアも保留というような感じです。
飯田)中国は外務省の報道官がそのことを聞かれて、「まだペンディングです」みたいな感じでした。
なぜ日本のメディアはこれほどバイデン氏を応援するのか~民主党系の大統領が政権の座にあるときに厳しい局面に立たされて来た日本
有本)西側諸国の首脳は、揃って祝意を表しているという状況でした。アメリカ大統領選挙は、日本と世界の行方を大きく変えるものだと思います。今回は特に日本の場合、中国との関係が本当に差し迫った脅威になっているという状況で、アメリカの対中政策がどう変わるのか。それから、バイデンさんが仮に政権を担った場合、北朝鮮との向き合い方がどうなるのかというところが注目されます。非常に違和感があったのが、いわゆる地上波放送、新聞もそうですけれども、「なぜ、こんなにバイデンさんを応援しているのか」という報道です。我々は有権者でも何でもないのだから、冷静に中立に見る必要があります。最終的に日本人がポイントとして見なければいけないのは、「大統領になった場合、いずれの候補が日本にとって国益が大きいか」ということです。
飯田)そうですね。
有本)その観点に立ったとき、今回の大統領選だけではなく、歴史的に見ても、日本は民主党系の大統領が政権の座にあるときというのは、非常に厳しい局面が多い。「多過ぎる」と言っていいです。昔の、不平等条約を結んだときも民主党の大統領だし、公使もそうです。それから、大東亜戦争が開戦したとき、日米開戦に踏み切ったのもフランクリン・ルーズベルト。終わるとき、終戦の年に原爆投下に踏み切ったのはトルーマンです。最近では、クリントン政権のとき、ジャパン・パッシングとまで言われました。「日本なんか無視してもいい」と言って、中国と蜜月関係を築いた。例のスーパー301条をわざわざ復活させて、日本企業は相当やられました。そういう、いままでの数々のことを紐解けば、なぜそんなにメディアや識者と言われる人が、これほどバイデンさんを応援しているのかという違和感がありました。
アメリカといままで以上の強い関係がつくれるのか
有本)アメリカ国内においては、トランプさん対バイデンさんという戦いではあったけれども、本当のことを言うと、「トランプ対反トランプ」だということです。アメリカでも主流メディアは、「バイデン頑張れ」という感じだし、アメリカのエスタブリッシュメントと言われるところも全部そうでした。また、ビッグテックと総称されるようなSNSを擁しているネット系の企業も、どちらかと言うとバイデンさんに有利に動いたということも言われています。
飯田)記事が削除されたということもありました。
有本)不確かなものを選挙前後に削除するということもわからなくはないですが、偏っていたのではないかと言われています。そういう意味で、「この戦いは何だろう」と、一度引いて見る必要があると思います。いずれにしても、日本の場合は菅総理ができるだけ早くコミュニケーションを取るとおっしゃっているけれども、中国の伸長、特に我が国に対しての海上の脅威も明らかに強まっているわけですから、これについてアメリカといままで通り、あるいはいままで以上の強い結びつき、関係がつくれるのかということです。つくれなかったら大変なことになると思います。
来日時にとても高圧的だったスーザン・ライス氏
飯田)オバマ政権8年間の副大統領ということを考えると、バイデンさんは中国に甘いのではないかということが懸念されます。川崎市多摩区の“ヘベレケ”さんからメールをいただいています。「国務長官候補にスーザン・ライス氏の名前が上がっていますよね。国連大使もやり、そして安全保障担当の大統領補佐官もオバマ政権のときにやりました。個人的には、オバマ政権のときの中国に対する融和政策のイメージが強く、このタイミングで中国に融和政策をやられたら、尖閣や香港の人権問題はどうするのだと心配になってしまいます」という意見です。
有本)私は大心配です。オバマ前大統領が日本に来られたときに、スーザン・ライスさんは補佐官として一緒に来たことがありました。あのときに、日本政府の関係者にも聞きましたが、非常に高圧的な人だったという印象を日本側も残しています。この人は、当時、「これから世界はG2の時代に向かうのではないか」「米中の2大国時代に向かうのではないか」と言っていて、かなり前向きでした。中国寄りであることは間違いありません。
高齢の拉致被害者の家族に座ることを許さなかったスーザン・ライス氏~4年間でどこまで変わったか
有本)2014年に来日したとき、オバマ大統領は拉致被害者のご家族に迎賓館で会っているのです。そのとき、「拉致被害者のご家族には高齢の方もいらっしゃるので、座ってお話をしていただきたい」ということを最初にお願いしたのだけれども、「それは絶対にNOだ」と言い、「部屋の隅に椅子を置くということもやめてくれ」と強硬に言って来た。このことを強く主張したのが、スーザン・ライスさんだと聞いています。一方で、みんなからいろいろ言われる、トランプ大統領は、2017年に日本に来たとき、もちろん椅子を置いて、膝を交えるような距離で、しかも奥様も一緒に同席されて、拉致被害者のご家族のお話を聞かれています。国連演説でも、横田めぐみさんのことにわざわざ触れてくださった。これだけ見ても、「日本の問題に関して、どちらの政権が熱心だったか」ということは明らかです。いまはまだメディアの予測ですが、スーザン・ライスさんが国務長官になる可能性は私も高いと思っています。あれから数年経っているのでスーザン・ライスさんも変わったのではないかと期待はしたいけれども、そうはなかなか思えない。それを日本のメディアが未だに「バイデン政権になれば、国際協調だ。いいことなのだ」と伝えているという感覚が、私は理解できません。
飯田)この4年でどこまで変わったのかということを慎重に見なければ、誤る可能性がある。
有本)日本政府には、攻め所を間違えないでもらいたいという気持ちです。
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