キャスターの辛坊治郎が11月19日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に生出演。ブルーフィルムからAVに至る成人向けコンテンツとその記録媒体の変遷について語った。
読売テレビに入った最初のボーナスで買ったビデオデッキ
この日の同番組では、辛坊が女性の「理想の男性像」のハードルの高さについて語ったことを起点に、いまの男性がAV(アダルトビデオ)の内容を“当たり前”と思ってしまうことへの警鐘に話題が移った。
辛坊)我々の頃はAVなんてものが存在しませんでしたから。そもそもビデオがなかったのですから。
飯田浩司アナウンサー)そうですね。
辛坊)私が読売テレビに入った頃は、ようやく家庭用のビデオデッキがなんとか発売が始まったかしなかったか、というぐらいのギリギリの線ですよ。
飯田)おお〜。
辛坊)ビクターのラジカセのでかいやつのようなビデオデッキに、テープを入れてガッチャンとするんですけれど、それがテレビ局に入った最初のボーナスで、先輩に「とにかくボーナス入ったら最初にビデオデッキを買え」と言われたものですよ。でも、それも相当なものですよ。ボーナス全部使わなければ買えないくらいのお金でしたからね。
温泉場で上映されていた“ブルーフィルム”とは
辛坊)それ以前は世の中的には、私は残念ながら話に聞くだけで見たことがないのですが、温泉場というところに行くと8ミリフィルムかなんかで、いわゆる一つのブルーフィルムと呼ばれるものがあって。……なんであれはブルーフィルムと呼ばれるんだろう、ピンク映画に対応してブルーフィルムというのかしら。
飯田)そういうことなんですかね。
辛坊)温泉場に行くと、温泉場の余興みたいなものでサラリーマンが一室に集まって部屋を真っ暗にして小さいスクリーンにその手の映像を映して。
増山さやかアナウンサー)こぞって見るのですね。
辛坊)ええ、みんなで盛り上がるという。
飯田・増山)へえ〜。
辛坊)密々だな、こりゃ。
飯田)いま考えると相当な密ですね〜。
VHSがベータに勝った要因は“エロ”
飯田)私の頃はもう、VHSはありました。ただやっぱりものすごく希少なものだったので、中学の頃とかは手に入ると友達の家で上映会、みたいな。
増山)いやだあ〜飯田君!
辛坊)いや、もう時効ですから。
辛坊)増山君、いま本当に心のそこから嫌だという顔をしましたね。
飯田)蛇蝎、みたいな感じのね。
増山)あはは。
辛坊)ちなみにもうビデオデッキ自体が絶滅危惧種で、家庭の中にビデオデッキがあるという人はだいぶ少なくなっているかもしれない。
飯田)そうですね〜確かに。
辛坊)ちょっと前まではありました。実は、我々がビデオデッキを買う頃って、VHSとベータマックスという2つの規格があったのです。カセットのテープの大きさも違うし、録画方式も違うのかな。だから互換性がないのですよ。画質的にはソニーのベータマックスの方がいいと言われていたのですが、あっという間にベータマックスの方が市場から消えて、最初は実はベータマックスの方がカセットの大きさも小さかったかもしれない。すべてにおいてベータの方がいいよ、という話だったのだけれど、あっという間に市場からベータが駆逐されてVHSだけが残った。
なぜVHSが残ったのかということについては諸説あるのですが、有力な説は、当時のブルーフィルムから移行してきたアダルトコンテンポラリーの内容の媒体として選ばれたのがVHSという規格だったので、そういうものを見たい人はVHSでしか出ていなかったからVHSの機械を買わないと見られない。そこで一気にVHSが広まったという説がありますよね。
飯田)けっこう有力というか、僕はその説でしか聞いたことありませんね。
増山)そうなの〜?
辛坊)だからもしかすると、うがった見方をすれば、VHSとベータマックスが市場で激烈な争いを繰り返しているときにVHS陣営の誰かが普及のために仕掛けたということがないとも言えないよね。市場の制圧競争って大変なのですよ。だからVHSがあっという間に広がったことでベータマックスが駆逐された。そうすると、量と値段って一致してきます。VHSのテープの値段がどんどんと下がる。べータマックスの値段は高いままなので、媒体とするメディアの値段が高いとなかなか選択にはならず、ふと気づいて見てみたら世のなかからベータマックスが駆逐されて全部VHSになっちゃったという時代があります。しかしそのVHSですらいま巷からいなくなってきた。
増山)そうですね。
辛坊)ということでいうと、世の中をグリップするというか、掴み取るための非常に大きな要素として、やはりなんだかんだ言いながらエロというものは避けて通れないと。
飯田)エロは世界を救うと。
辛坊)...オーイエー!
飯田)ははは。
“ブルーフィルム”の呼称の由縁
飯田)身内からTwitterが。
辛坊)身内!?
飯田)はい。名前を洗川雄司さんという方なのですが、ニッポン放送のスポーツ部のアナウンサーでして、非常にこのエロ文化についての造形が深い。
増山さやかアナウンサー)詳しいんですってね〜。
辛坊)エロ文化についての造詣が深い?
飯田)そうなんですよ。何しろ会社のロッカーを整理しようとしたらそこから『デラべっぴん』がいっぱい出てきたという人ですから。
辛坊)『デラべっぴん』って何?
飯田)おお。ご存知ないですか。あの伝説のアダルトチックな本で。
辛坊)増山さんは分かるんですか?
増山)私は分からないです、分からないです。
辛坊)僕も分かんなーい。
飯田)あ、そうですか、まあ、我々世代的なところがありますから。それはそうとして、洗川さんから。「ブルーフィルムについて。昔アメリカで、その手の出版物の検閲の際に青色・青鉛筆が使われていたから、というところからと言われていますけれどね」という。
辛坊)はあ〜。
増山)何やってんですかね、洗川さんは。
ブルーフィルムについては、諸説ありますが、その昔、米国にてその手の出版物の検閲の際に、青色・青鉛筆が使われていたところから、と言われていますけどね。 #辛坊治郎ズーム
— えろいかわゆうじ(洗川雄司) (@arayou1977) November 19, 2020
辛坊)つまりブルーフィルムというのはピンク映画などと違って万国共通用語だということですね。
飯田)どうなんですかね。そういうことになりますかね。
辛坊)だからきっと日本だけの言葉ではないということですよ。だからブルーフィルムってそういう意味でしょ。残念ながら私は温泉で8ミリで上映しているようなブルーフィルムを見たことがないのですよ。これは一度人生の経験として見ておきたいのですが、もうないだろうな〜。
飯田)もうない。
辛坊)絶滅しちゃってるよね〜。
飯田)流石にそうですよね〜。
辛坊)VHSとかは絶滅危惧種とか言っても、ブルーフィルムの8ミリのものとかはこれはもう絶滅しちゃってるでしょうね。8ミリ自体はまだありますけどね。
飯田)そうですね。
辛坊)ブルーフィルムの8ミリと限定するとね。けっこう聞いている方で、うちにある、という方もいらっしゃると思いますが。
同様のカセットテープも存在
飯田)あと、カセットとかもありましたよね?
辛坊)カセット?
飯田)いや、こんな話昼の時間からやるようなものでもないかもしれませんけど、横須賀あたりの通りの裏の方の、その手の本がいっぱい売られているところがあったじゃないですか。おっさんがシャッシャッシャッてやりながら。
辛坊)そのおっさんのシャッシャッシャッが分からない!
飯田)知らないですか。あっという間に表紙を読み取りながら自分の趣味のものを探していく、みたいな。
辛坊)ああ、売り場で買うおじさんの本を絵選ぶ音がいまのシャッシャッシャッですね。
飯田)そういうことです。そこの棚のところに、テープが置いてあって。カセットテープですよ。音で楽しむという。
辛坊)カセットって、オーディオのですか?
飯田)オーディオのカセットテープです。
辛坊)そういえばラブホテル録音シリーズみたいなのが本当か嘘か知らないけれどあったな。
増山)えええ〜。
夜になると見えるアダルト本の自販機
辛坊)田舎の畑のなかに、アダルトな本の自動販売機がよくあったの知ってます?
飯田)そうそう、あったあった。
辛坊)で、地元の女子中学生とか男子中学生とかがそこで昼間から大騒ぎをするんですよ。
飯田)そう。
辛坊)一応あれは表紙が見えないように昼間は銀紙みたいな感じになっていて。
飯田)そうなんですよ。そうなんですよ。
辛坊)夜になってなかに電気が通って周りが暗くなると、
増山)そうすると見えるようになるんですね。
辛坊)なかの本が見えるようになる。昼間の間は歩いているとなんかなかの見えない鏡になっているようなウインドウの自動販売機が畑の横にいきなりあったり、あれはびっくりするよね〜。
飯田)トラックの配送センターの脇という、けっこう集中しているところがあって、私はそこを通りかかるたびにドキドキしていましたね〜。
辛坊)『ヰタ・セクスアリス』という名著がありましたけれど、あれを書いたのは誰ですか、森鴎外ですか?
飯田)森鴎外だと思います。
辛坊)森鴎外ですね。時代が変わっても、人間の思考というか発想は変わらないものですね〜。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)