ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月14日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。政府が東京と名古屋の制限の検討を始めたGo To トラベルについて解説した。
東京と名古屋のGo To トラベル、政府が制限を検討
政府は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、東京都と名古屋市を目的地とする観光支援事業「Go To トラベル」を一時停止する方向で調整に入った。12月14日に新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を開き、最終的な対応を決める見通しだ。
飯田)大阪市や札幌市を目的地とする旅行を除外する措置については、15日の期限が延長となる見通しだということです。25日か28日ごろまでというような見通しを西村大臣は示しています。
医師会などと政府の間での「齟齬」~同じ方向に向かうというメッセージ
須田)政府の分科会の尾身茂会長も「Go To 停止」を11日に再び提言しました。提言の理由や根拠について尾身会長の発言を精査すると、意外なことがわかります。それは何かと言うと、Go To トラベルをやったからといって、感染が拡大したという根拠はないけれども、医師会や世論、あるいは自治体のトップたちが見直すべきだという主張をしているなかで、政府が違った対応を取り、齟齬が生じている。その辺りに対して国民が不安に思うのではないか。ですので、「同じ方向に向かって進んで行くのだ」というメッセージを出すことがいまのタイミングでは必要ではないのか、というその「齟齬の部分」を根拠にしているのです。それについては一定程度の説得力はあるのではないかと私は思います。そのようなことを受けて政府が見直し態勢に入ったのだと理解していただきたいです。
問題は「人の移動ではなく、人の行動」~マスクをして手洗いを徹底する
須田)しかし問題の本質はそこにあるのではなくて、なぜそのような齟齬が発生しているのか。このことについてもう一度検証をして、情報発信をする必要があるのではないでしょうか。Go To トラベルの一時見直しをすれば、感染者数は減って行くのか。減少傾向に転ずる可能性はあるのか。これはやってみなければわかりません。そうなるかも知れないし、ならないかも知れない。なぜならば根拠はありませんから。そのようなことをする以前に、感染者の拡大を食い止めるにはどのようにしたらいいのか。人の移動が問題なのではなくて、行動が問題なのです。バカ騒ぎをしたり、つばが飛ぶような会食中の会話をする、カラオケで大きな声で歌うなど、そのような行動が問題なのです。すべきところではマスクをして、きちんと手洗いをする。そのようなメッセージを訴えないと、何も意味がないのではないかと思います。
飯田)行動が問題である。
須田)新型コロナウイルスの特徴についても、どのような対策を立てるべきなのか、というようなこともわかって来ました。同じ方向に向かって進んで行くのもいいのですが、合わせてそこの部分も強いメッセージを出して行かなければいけないのだろうと思います。しかし、いまの政府はそのようなメッセージを発信することにおいても少し弱いと思います。
的外れな理由で魔女狩り的にGo To を攻撃していないか
飯田)感染症の専門家の方はその辺のことについて、ネット上でも発信しています。家族同士であれば、基本的に1つの同じ生活様式を過ごしている人なので、外に食事に行くことで新たな感染のリスクはない。ただ、生活様式の違う人が会食をして、お酒も飲んで、マスクもしないで喋るとなると、これはリスクが高い。行動の細かいところで、実は切り分けができるという話なのですよね。
須田)そのようなところが伝わっていないのではないでしょうか。
飯田)全部ひとまとめにして「遠くに行くのがダメなのだ」となってしまう。本当はそこの部分を詰めて議論をしないといけないし、その詰めた議論の場で、各々の立場で齟齬が生じることは仕方がないような気もします。このまま行くと議論すらダメというようになってしまいませんか?
須田)そのような行動について説明を始めると、新型コロナウイルス対策に甘い対応を取っているというような目で見られてしまう。これが問題ですね。もう1つは、感染拡大の原因について、的外れなところを魔女狩り的にあぶり出して、そこに攻撃を加える。これは感染拡大抑止に何も役に立っていません。
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