ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月5日放送)に元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が出演。新型コロナワクチンの先行接種が2月17日に開始されるというニュースについて解説した。
コロナワクチン、2月17日にも先行接種開始か
新型コロナウイルス感染症のワクチンについて、政府は2月17日にも医療従事者1万人程度を対象とした先行接種を開始する方針であることがわかった。アメリカの製薬大手ファイザーが開発したワクチンについて、厚生労働省は2月15日にも正式に薬事承認する考えで、先行接種に必要な納入のめども立ったことから、国内でも接種に踏み切る。
飯田)一部報道では、全日空が運んで来るということも言われていますが、具体的になって来たという感じですか?
松井)そのようですね。
支持率が悪くならないためにも「早く打たせたい」菅総理
飯田)2回打つということですが、データの管理などもあります。
松井)打つだけではなくて、副反応が出るかどうかなどをフォローして行かなくてはなりません。そのシステムをどこまでつくり込んでやるのか。しかし、菅さんとしては、「他の国は打っているのに」と国民がイライラしているから、とにかく打たせたい。政権の人気が悪くならないために、早く打たせたいでしょう。菅さんが任用した河野太郎さんと、その辺りがどういう思惑なのか。少し不協和音もあるようです。
飯田)もともとコロナ対策をやっていた西村大臣がいて、官房長官の加藤さんも元厚労大臣だったと。プレイヤー乱立な感じですね。
松井)そうですね。そして田村厚労大臣もいて船頭が多い。和泉補佐官というスーパー官僚がいて、そこのチームがあるのです。そこのチームがもともと走っていたのですよね。河野太郎さんが新しく入って来て、そのチームが連動しているのかどうか。河野さんはレクチャーなども一緒にやるなど、無駄なことをしないようにしているみたいですけれども。もともとが出遅れていますから。厚労省は、本当は日本のメーカーを使いたかったのでしょうね。だからファイザーも少しイライラしているという噂も聞きます。
船頭が多いなかで河野大臣の追加投入がよかったのか
飯田)そもそも各省庁で横断的にやるものだということも言われています。冷凍庫は経産省が調達、実際運ぶのは国交省だとか、ここは和泉さんが得意なのではないかとか。そのすり合わせが官邸主導でどこまでできるのか。
松井)そうなのですよ。そして、それはあまり政治家が入り過ぎても仕方がないのです。ある程度、官僚たちのチームを省庁横断でつくって、責任の政治家、大臣がいて……。できるだけそこのラインをはっきりさせないといけません。河野さんの能力は買いますけれども、加藤さんも田村さんもいるなかで河野さんを追加投入するということがよかったのかどうか。よかったというように転んで欲しいと思いますよ。しかし、少し心配ですね。
大臣レクチャーばかり増えて難しい交通整理~接種後のシステムは
飯田)省庁はそれぞれあるから、ここがある意味で縦割りなのは仕方がないですけれども、横でまとめるのは政治家の仕事であって、政治家までもが縦割りのなかに組み込まれたら意味がないと。
松井)そうなのですよ。縦割りだけではなくて、縦と横がまた重複してしまうということがある。そうすると、役所の人たちは内部での大臣レクチャーばかりが増えてしまう。そういうレクがあって、官房長官レクがあって、厚生労働大臣レクがあって、河野太郎大臣レクがあって、また省庁横断のスーパー官僚の和泉さんのような方が束ねている。そこをどうやって交通整備するかということが、河野さんはわかっていると思いますけれども、少し心配です。河野さんは「早く打てばいい」派ではないという話を聞きます。あとのシステムがきちんとできているのかと。しかし、そのあとのシステムをまた新しくつくろうとすると、それはそれでまた時間がかかります。
飯田)そのシステムも、厚労省がやろうとしていること、河野さんがやろうとしていること、さらには製薬会社が「俺たちはこういうシステムを持っているのだけれど」というようなこともある。
松井)「なぜ俺たちのものを使わないのか」みたいなものがあるでしょう。しかしあなたたちだけのワクチンではないと。他のメーカーのものも出て来ますから。
飯田)モデルナとか、アストラゼネカとか、いろいろ出て来る。
松井)そういうところを、いままで何をしていたのかと。あまり言っても仕方がないですけれども、もっと時間があったのではないかと思うのです。どうも全体としては出遅れた感があります。イスラエルとは、かなり差がついてしまっているわけですね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。