ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月2日放送)にジャーナリストの有本香が出演。延長が決定された緊急事態宣言についてと飲食店への対応策の綻びを解説した。
緊急事態宣言~栃木を除く、10の都府県で延長へ
菅総理)感染者数は皆さんも発表でご承知の通り減少傾向にありますけれども、まだ警戒は要するだろうと、こういうふうに思っています。いずれにしろ、明日の専門家の皆さんの諮問委員会の決定を踏まえた上で対応して行きたい、このように思います。
政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2月7日を期限として11都府県に発令している緊急事態宣言について、栃木県を除く、10都府県で延長する方針を固めた。期間は3月7日までの1ヵ月間で調整していて、感染状況に応じて期限前の解除も検討する。
飯田)2月2日に専門家による諮問委員会を開いて、その後、衆参両院の議院運営委員会に総理出席で説明、さらに会見というような流れになっています。
緊急事態宣言を2ヵ月続けることによる経済的ダメージ
有本)もちろん、新型コロナウイルスを軽く見るつもりもないのですが、緊急事態宣言を2ヵ月続けることによる経済的ダメージ、こちらの方が怖いというような気になって来ています。私たちいま、(ニッポン放送のある)東京の有楽町という一等地にいるわけですが、この周辺ですら、路面店が歯抜けになっていますものね。
飯田)シャッターが閉じたままというお店が増えて来ました。
有本)「もう閉店します」という貼り紙があります。この辺がそうだということは、本当に大変なことだと思います。
飯田)ラジオをお聴きの方で飲食店を経営されている方もけっこういらっしゃいます。東京都立川市の“ヨシオ”さん。居酒屋を経営しています。「緊急事態宣言が出た8日から、夕方5時半からの営業を自粛し、お昼11時半からのランチ中心にシフトしたのですが、収益激減です。これまでは、夜8時以降の飲食を自粛してくださいと言っていましたが、その後、昼の不要不急の外出も自粛してくださいと呼びかけられるようになりました。営業自粛と簡単に言いますけれども、私たち自営業者にとっては、従業員と家族の生活が懸かっています。いつになったらまともな営業体制に戻れるのか本当に不安です。廃業や転業を考えないといけないのか悩んでいます」と54歳の方からメールをいただきました。
有本)そうだと思いますよ。東京は世界でダントツに飲食店の数が多いのです。20万軒くらいあるのです。ランキングで見ると、世界で第2位がソウルなのですが、多分東京の半分くらいだと思います。東京だけではないのですが、特に東京は、飲食店が支えている町場の経済がすごく大きいのです。それを、言ってみれば見殺しにするのですかということです。
飯田)そうですよね。
有本)専門家による諮問委員会があるということですが、もちろん専門家の皆さま方も、日本が法的にいろいろとできないことが多いということを十分にご考慮されながら、ベストな方法を考えてくださっているなという感謝はあります。しかし、今回の緊急事態宣言は科学的な根拠が少し弱いと思います。それにしては、受けるダメージが大き過ぎる気がします。まさにそれは政治で判断することなのですけれども。
台湾などの対策を参考にするべき~いまの状況は政治の不作為ではないか
有本)前にもこの番組で言いましたが、2020年の緊急事態宣言後、何ヵ月も半年以上もありました。その間に臨時国会もありましたけれど、何1つ変わっていないではないですか。できることも何1つ変わっていません。水際対策も相変わらず緩いまま、国民の行動が把握できないまま、政府がつくったアプリも使い勝手が悪く、ほとんど使われない。各国がやっていることを、どうしてもう少し参考にしないのですかね。例えば台湾は、締めるところはきちんと締めて、その上で、段階的に国のなかの経済を回しているから、今年(2021年)は3%近いプラス成長です。
飯田)そのようですね。
有本)普通に飲食店も営業しているようですからね。「この差は何ですか?」という話です。いくつかポイントはありますけれども、「できない、できない」ということを言っていれば、いつまで経ってもできないわけです。国民の行動を把握することもできない。水際をもっときつくすることもできない。そういうことを言っているのは、まさに政治の不作為ではないかと思います。これだけ市中感染が拡がってしまって、日本のなかでも変異しているのではないかと指摘する専門家の方もいらっしゃるし、そうなると、もう何も把握できない状況なわけでしょう。これでひたすら自粛だけを続けるということは、国として自殺行為ではないかという感じもします。
飯田)結局、法律であるとか、有事と平時を切り分けて、有事の際は行動制限も含めてやるというような、そういう世界的なスタンダードが日本ではできないので、「空気で縛る」ようなことになっていますよね。
日本の制度上の問題が災いしている医療崩壊
有本)では、いま何が緊急事態なのかと言うと、医療崩壊でしょう。この医療崩壊も結局、日本の制度上の問題が大きく災いしていますよね。要するに民間病院に関しては、現行の制度のなかでは、ほとんど何も強制することができない。
飯田)基本は要請と。
有本)要請ですね。それからお金を出す。お金を付けてコロナの対応をお願いするというやり方も大分後手に回ってしまったところもあるし、そのお金を出すやり方も、「1病床あたりいくら」というような感じに付けたりしているのですけれども、そういう情報が揃わなかったから、何ヵ月もそれを出すことができなかったと言っているのですが、そういう問題なのかなと思いますね。
飯田)予備費を10兆円積んだけれども。
1年経っても確保する病床数が増えていない
有本)最初はもっと乱暴にやってもいいと思います。病院としては、他の患者さんを診られなくなってしまうのではないか、それによって病院経営が立ち行かなくなるのではないかということが問題なのであれば、乱暴だけれども、患者が増えてしまってどうしようもない地域に関しては、売り上げ保証をするということをやるしかなかったわけではないですか。だけど2020年の1年の流れを見ていても、全然確保している病床の数が増えていないのです。こんな状況で、国民にだけ自粛しろというのは、私はあまりにも納得がいかないことが多過ぎると思います。
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