吉田悠希「愛の避雷針」~坂道にズーム そこまで推すか!~
乃木坂46、日向坂46、櫻坂46……“坂道シリーズ”を愛する、セント・フォース随一のアイドルオタク・吉田悠希が、“今推すべき楽曲”をグループの魅力とともにご紹介していきます
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坂道オタクの吉田悠希です!
このコラムでは、今、推すべき楽曲を、坂道グループの魅力と共にご紹介していきます。
今回は、ついに……櫻坂46の『なぜ 恋をして来なかったんだろう?』にズームします。この作品は、櫻坂46の1stシングル『Nobody’s fault』に収録されている楽曲なのですが、この曲を語らずして櫻坂46は語れない!と断言できるくらい、櫻坂46の魅力と未来がぎゅっと詰まった、私の今、一番の推し曲です。
今回のコラム、櫻坂46とこの作品が大好きすぎるあまり、客観性を欠いた、オタクの文章になってしまうと思います。タイトルに必ず“セント・フォース”の肩書が入るのもあって、できる限り、爽やかにアイドルを語るコラムを心がけていましたが、今回ばかりは、例外です。今まで隠してきた、少し重たいオタクとしての私の一面が、文章から見えてきてしまうかもしれません。胃もたれ間違いなし。先にお詫びしておきます(笑)
■『なぜ恋』とは?
昨年12月に発売した、櫻坂46の1stシングル『Nobody’s fault』のカップリング曲がこの『なぜ 恋をして来なかったんだろう?』という作品です(以降、『なぜ恋』)。表題曲『Nobody’s fault』は、改名して新たなスタートをきった櫻坂46の“決意表明”のような意味を持った、メンバーや私たちに気合を入れてくれる力強い作品です。ただ、この『なぜ恋』に関しては、真逆といってもおかしくはない、一見すると、明るく恋を表現した王道のアイドルソング。……と早まってはいけません。見かけ以上の意味を持っているのが、この曲の最大の魅力です。たとえ、百歩譲って、アイドルが歌う王道系ラブソングだという前提で、この作品を楽しむとしても“欅坂46を経て、櫻坂46になった彼女たち”にしか歌えないラブソングであることに間違いはないでしょう。
■『なぜ恋』がつくった、欅坂46と櫻坂46のアンビバレントな関係性
まず、この作品が持つ櫻坂46にとっての“意味”を考えるうえで、絶対に無視できないのが、欅坂46の『アンビバレント』という作品です。『アンビバレント』は、夏を目前にして恋人がいない主人公が、恋ってなに?人間関係なんて面倒くさいし、ばからしい。それなら孤独で居たほうが楽だけど、でも一人にはなりたくないし……といった、二律背反した感情を、人間らしく、また10代らしく表現している楽曲です。浮かれたり恋したり……『なぜ恋』の主人公が過去の自分として語っているような、恋だの愛だのどうでもいいと、冷ややかな視線をおくっている側の世界観です。『なぜ恋』の歌詞に出てくるような “幸せ”“愛”“スキップ”のような言葉とは違い “孤独”“面倒”“一人になりたい”という、対照的な言葉が続きます。ただ、この『アンビバレント』という作品は、そういう浮かれた感情の存在を真っ向から否定しているのではなく、むしろ最後には、“一人になりたくない”“孤独になりたくない”と、自分自身の中にも、その感情の存在を認めているところが、欅坂46らしい作品でもあります。
誰かと一緒にいれば、また一人の時間が恋しくなって、一人になってみたら寂しくて、また人の温もりが欲しくなる。二つの作品の中では“恋”や“愛”として表現されていますが、このアンビバレントな感情の動きって、私にとっては、まさに“欅坂46”であり、“櫻坂46”なんです。
『なぜ恋』のようなハッピーでアイドルらしい作品を思い切り楽しんで、心が満たされると、また反対の感情を、欅坂46の作品で満たしたくなる。『なぜ恋』が楽しい理由って、紛れもなく、欅坂46が存在していたからなんです。櫻坂46を楽しむと、欅坂46もまた楽しむことができる。これから先も、欅坂46が表現してきた渾身の作品が、背中合わせに生き続けることができる。これこそが、『なぜ恋』という作品が持っているグループにとっての意味であり、使命なのかなと私は感じています。
欅坂46の『アンビバレント』や『エキセントリック』の世界観を愛し、オタクとして味わっていた自分が過去にいたからこそ、この『なぜ恋』の主人公の世界観が、より一層、心を弾ませるんです!
■『なぜ恋』が表現している“恋”とは?
『なぜ恋』は、恋しちゃって浮かれまくる主人公を描いたハッピーソングなのですが、ここでいう“恋”ってなんなの?とじっくり考えてみると、文字通りの意味で解釈することが、この曲を味わう上で、非常にもったいないことに気づかされます。この作品で、センターを務める藤吉夏鈴ちゃんも『櫻坂46 デビューカウントダウンライブ!! 』での曲紹介にて「歌詞だけ見ると恋愛曲かなと思うんですけど、私は最近、恋愛とはまったく違う解釈を見つけました。なので、皆さんも、自分なりの解釈を見つけてください」と言及していました。……であれば、この作品でいう“恋”って、なんなのでしょうか。
先ほどご紹介した『アンビバレント』もそうですが、欅坂46の主人公のような“自分”を経て、恋とか愛の素晴らしさに気が付いた“新たな自分”というストーリーを『なぜ恋』から感じた私は、欅坂46を経て櫻坂46になった彼女たちのストーリーと、それを重ねずにはいられません。
私にとってのこの作品における“恋”って、アイドル・櫻坂46を楽しむことだと解釈しています。眩しくて、きらきらしたアイドルとしての櫻坂46の姿に元気をもらうこと、力いっぱい、盲目に楽しむこと。その幸せを素直に噛みしめること。作中に、恋をしていない人に対して、迷っていないで、観客じゃなくて主人公になるべきだと諭すような表現がありますが、これは、はやく私たちと一緒に恋しようよ!というメッセージにも聞こえてきます。
恋なんて大げさな、と思う方も勿論いると思いますし、“アイドル”に対してオタクが“恋”というワードを使うことが、ある意味でタブーであることも重々承知です。でも、ここでいう恋のニュアンスって、リアルな恋愛ではなく、恋に浮かれたり、期待したり、わくわくする感情そのものなんです。
第1回目のコラムで、表題曲『Nobody’s fault』の解釈に対して、メンバーにとって円陣のような、パワーになってくれる曲だと書きましたが、『なぜ恋』は、私たちオタクのための曲、オーディエンスを励ましてくれる曲です。難しいこと考えないで、一緒にまた楽しもうよ!と、眩しい世界へ、引っ張り出してくれる。激動の欅坂46を経験した私たちオタクの“心の鎧”取ってくれる作品ですね。
■歌詞には、秋元康感もたっぷり!
この曲の魅力を最大限お伝えするためには、秋元康の歌詞についても触れておかなければいけません。今まで、はっきりと言及することは避けてきたのですが……実は私、秋元康の書くアイドルソングの歌詞が、ものすごく大好きなんです。新曲が発表されると、メロディーよりもまず確認するのは、歌詞。どんなところが好きかというと、たまに歌詞の中に入れてくる、作品の世界観を一瞬ざわつかせるワード。例えば、この『なぜ恋』でいうと「盛りのついた猫」という言葉が、紛れもなく、それです(笑)
これは、恋に舞い上がっちゃう人を軽蔑する意味合いで使われている表現なのですが、「え、そんな言葉、使う必要ある? アイドルが歌う楽曲に!?」と思わせる、違和感あるエッセンスをバシッといれてくるところ。これこそが、私の大好きな“秋元康感”です。櫻坂46の1stシングルの全7曲の中でいうと、その要素はこの作品がダントツだと思います。
ちなみに、1stシングル7曲の中でいうともう一曲、『Plastic regret』という楽曲の中にでてくる“合成樹脂”というワードもこれです。失恋を歌うしっとりとした作品の世界観に突然、水を差すように突然落とされる“合成樹脂”の四文字。初めて聴いたときは「なんだ、これ!?」という気持ちになりつつも、何度も聴いてみるとしっくりきて、愛着に変わる。アイドルの歌う作品の歌詞に入れるワードではない、という意見も勿論わかるのですが、この“秋元康感”のあるワードを歌詞から見つけると、作品に書いた直筆サインを見つけたような気持ちになって、わくわくするんです!
このコラムには、勿論、歌詞の全文を掲載することはできないのですが、『なぜ 恋をして来なかったんだろう?』の詞を含め、48グループや坂道グループの歌詞は読みごたえ満載です。まずは『なぜ恋』から、一読してみてください!
■幸せは、参加すること!
まだ坂道グループを知らない方に向けて……と、毎回、客観性を意識して書いているこのコラムですが、今回はごめんなさい! オタクの皆さんにしか伝わらない内容だったかもしれません。でも、欅坂46からずっとグループが大好きで応援してきて、いろんな歴史を経て、いろんな感情を味わってきた私のようなオタクに、また新たな夢を与えてくれた曲なんです! それが『なぜ恋』なんです!
皆さんも私と一緒に、櫻坂46に“恋”して、自分じゃないホントの自分、見つけてみませんか?
【櫻坂46『なぜ 恋をして来なかったんだろう?』Music Video】
【吉田悠希の坂活日誌:YouTubeチャンネル開設しました!】
わたしの坂オタ活動を配信するYouTubeチャンネルをついに開設しました!
今週は新曲『BAN』の初見リアクション動画を自宅で撮影♪
まだの方は、ぜひ登録お願いします!
協力:Seed&Flower合同会社
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連載情報
吉田悠希「愛の避雷針」~坂道にズーム そこまで推すか!~
今推すべき楽曲を坂道グループの魅力と共にご紹介していきます。
著者:吉田悠希
セント・フォース所属。AKB48の劇場公演を観に行ったことがきっかけで、アイドルに興味を持ち、乃木坂46、欅坂46、日向坂46、櫻坂46……全ての坂道シリーズを推し続けて今に至る。各グループの推しは、橋本奈々未(乃木坂46)、平手友梨奈 志田愛佳(欅坂46)、 佐々木久美 東村芽依(日向坂46)、菅井友香 藤吉夏鈴(櫻坂46)。ニッポン放送では「辛坊治郎ズーム そこまで言うか!」にて、中継レポーターを担当中(水・木曜)。
『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』公式 Twitter https://twitter.com/zoom1242
セント・フォース公式 YouTube https://www.youtube.com/user/centforceofficial