ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月1日放送)にJPモルガン証券・チーフ株式ストラテジストの阪上亮太が出演。政府が大阪に「蔓(まん)延(えん)防止等重点措置」を適用する考えを示したというニュースについて解説した。
政府、大阪に全国初の蔓延防止措置適用へ
菅総理大臣は3月31日、新型コロナウイルスの感染が拡大している大阪府に「蔓延防止等重点措置」を適用する考えを示した。
菅総理)5大臣が集まりまして、蔓延防止対策、ここについて4月1日に会議を開いて、そこにかけることを決定いたしました。
飯田)正式に決定するのは4月1日ということであります。3月31日の大阪の新規感染者は599人でした。経済に対する影響も甚大ですよね。
阪上)個別の業種、特に飲食業と観光業に対する影響は大きいものになると思います。
飯田)これはマーケットに対しても暗い影を落としますか?
ワクチンの普及の遅れが懸念されている日本
阪上)いまはマーケットでは、どちらかと言うと「先々、コロナの影響はなくなって行くだろう」と見ています。その点で、日本に関して懸念されているのは、ワクチンの普及が先進国に比べて圧倒的に遅いということです。他の国では、「感染者は多いけれども、ワクチンを打ち初めているので、この先はよくなるだろう」とみられているのですが、日本の場合はそこがどうなるかという問題があると思います。
飯田)医療従事者を中心に、80万人ほど打たれているという話ですが、その情報も海外への伝わりは鈍いのでしょうか?
阪上)海外の捉え方としては、「遅れている」ということですね。ただ、いまのところ海外の投資家が考えているのは、遅れていると言っても、「欧米に比べて3ヵ月の遅れだろうから、先々よくなる方向は変わらないだろう」という見方ですので、日本株だけが売られるということにはなっていないのだと思います。
飯田)コロナの日本の対応が始まってから、1年と少しが経つわけですが、最初のころは海外の伝わり方として、「日本は何か隠しているのではないか」などと思われていたのですか?
阪上)そういうことはないのですが、「状況がよくわからない」と言われていたことはあります。ただ、隠しているのではないかとか、日本だけが変なことになっているのではないかとか、そこまでの不信感はありませんでした。
先進国のなかで感染者数が少ないのに、いちばん経済の回復が遅い日本
飯田)逆に数字だけで見ると、日本の感染者数は諸外国と比べると2桁は違うという辺りは、プラスに取る人もいましたか?
阪上)そうですね。プラスに取る人たちがいたとは思います。よく聞かれたのが、「感染者数がこれだけ他の国より少ないにもかかわらず、なぜ同じだけ経済が落ち込んでいるのか」ということです。そこの説明はなかなか難しくて、結局、日本人は自己抑制的に動くというか、心理的な影響が大きく出るという説になるのですが、そこが少し不思議に思われて、いまも経済は世界的に回復方向ですけれど、先進国のなかでは、日本がいちばん回復の速度が遅いのです。「なぜそんなに遅いのか」ということは言われますね。
「自粛ムード」から消費せずに節約する日本人
飯田)なるほど。ワクチンとの兼ね合いというところもあるのかも知れませんが、心理的な部分もやはり経済に与える影響は大きいのでしょうか?
阪上)そうですね。やはり心理的な「自粛モード」というのが影響を与えている部分もあると思います。あとは日本の雇用制度の特殊性ですが、他の国だと業績が悪くなったらすぐにクビになり、その代わり、よくなりそうだったらすぐに呼び戻すのです。一方で日本は、クビにしない代わりに、賃金で調整するのです。特に調整するのがボーナスで、そうすると日本人は業績が悪いと、いまよりも先々のボーナスが減るのではないかと思うのです。そうすると、「いまはお金を節約しよう」ということになって、なかなか消費が戻って来ないというところもあると思います。
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