ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月9日放送)に内閣官房参与で外交評論家の宮家邦彦が出演。韓国のソウルと釜山の2つの市長選で与党候補が惨敗したニュースについて解説した。
韓国・文在寅大統領が2つの市長選での敗北を認める
宮家)韓国の大統領は、民主化以降の話ですけれども、一種の定番の展開ですよね。最初はいいのですが、だんだん問題が生じて来て、このままだとお決まりの「レームダック化」ということになるのでしょう。今回は負け方も惨敗ですよね。この数字は相当大きな意味を持つのでしょう。文在寅政権はもともと岩盤の支持層があったわけですが、いまは支持率が32%くらいまで落ちているでしょう。
飯田)支持率がそこまで落ちている。
宮家)支持層が離れている。それはそうですよね。経済はよくないですし、不動産で大変なスキャンダルもありました。必ずしもコロナ対策はうまく行っていないようです。辛いだろうと思いますが、あれだけやりたい放題やって来たのですからね。アメリカ大統領まで巻き込んで北と話をするのはいいけれども、明確なシナリオがあってやっていたとはとても思えない。大統領の気持ちはわかりますし、内政干渉するつもりもありませんが、一方で反日をうまく使いながら、親北、親中姿勢が強く、アメリカとの関係はあまりうまく行かない。それで政権運営がうまく行くはずはないと思っていたのですが、不思議と支持率はこれまで下がりませんでした。しかし、あと1年となり、文在寅政権も来るところまで来ましたね。
政権が交代すると180度政策が変わる韓国
宮家)もう1つ言いたいのは、民主主義で政権を変えるのはいいのですが、変えたあと、極端に大きく振れるのが問題です。180度逆のことをやったりする。
飯田)すべての政策が変わってしまう。
宮家)そうすると、前の政権で結んだ合意も反故になる。民主主義かも知れないけれど、それでは国際的な約束や国家としての信頼感はどうなるのかと。政権交代するのはけっこうなのですが、最低限の仁義、国家としての信頼感は維持するべきだと思いますよ。このあと再び政権交代があるのかも知れませんが、そこでひっくり返って極端に振れるのは、そろそろやめた方がいいのではないかという気がします。
飯田)内政の部分で方針を変えることはもちろんあるけれども、外交など相手があるところはそうそう変わってはならない。
宮家)約束したことをひっくり返すというのは国家、最終的には国民の国際的信頼に関わる話です。韓国人が国際的にどれだけ信頼感を得られるか。日本も同じ問題があったわけですが、普通の国であれば、そこは歯をくいしばって信頼を維持するのです。韓国についてはそこが心配なところではあります。
レームダック化すると反日感情を煽る政策を取る
飯田)レームダック化すると、これも定番ではありますが、日本に対して厳しい態度を取ります。
宮家)それはよくある話ですよね。しかし、さすがに韓国の国民も最近は成熟して来たのではないかと思います。昔も竹島に上陸した大統領がいたでしょう。あれでどうなりましたか。必ずしも支持率がよくなったわけではないですよね。そういう意味でも、180度のブレはやめましょうと。それこそ韓国が国際社会の一員として信頼をつなぎとめる道だと私は思います。
日韓に良好な関係を保ってもらいたいアメリカ
飯田)安全保障面でアメリカから見ると、日韓はある程度関係を保ってもらいたいというところがあります。
宮家)日米韓の安全保障の世界ではそうです。有事のときのことも含め、決してNATOのようなことはできませんが、日米韓には最小限の信頼感があるわけです。アメリカがやりたくてもできないのは、日韓の2国間関係の改善です。この問題はアメリカに言われても、韓国は「何だ」と反発するでしょう。日本だって韓国が1965年の日韓基本条約をひっくり返しているわけだから、アメリカが間に入って来ても、そう簡単に「わかりました」というわけには行かないでしょう。
飯田)しかも、譲歩した上で2015年に合意を結んだと。
宮家)そうです。あのときに汗をかいた人がバイデンさんでもあり、ブリンケンさんでもあったわけです。それは米側もよくわかっていますから、そう簡単に昔と同じようなことはできないと思っていると思います。ただ、日韓が睨み合うことが、アメリカにとって何の利益にもならないことだけは間違いありません。
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