ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月18日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。安全保障上重要な施設周辺の土地の売買などを規制する「土地取引規制法案」について解説した。
土地取引規制法案
自衛隊の基地、駐屯地など、安全保障上重要な施設周辺の土地の売買などを規制する「土地取引規制法案」をめぐり、政府与党内の調整が続いている。政府が当初目指した3月上旬の閣議決定がずれ込み、3月内の決着は微妙との見方も出て来ている。
飯田)自民党は推す人が多いようですが、公明党が反対しているという報道もあります。
東日本大震災の1年後に自衛隊周辺の土地を抑えに来ていた中国と韓国
鈴木)反対というより、「慎重」という表現の方がいいのかも知れませんが、公明党の事情もいろいろあるようです。この問題で、私が「へえ」と思った実体験があります。2011年に東日本大震災が起こり、私も取材に通っていました。そして1年後に宮城の石巻に取材に入ったときに、ある経済団体の関係者が「中国と韓国からたくさん人が来ているのですよ」と言うのです。「何をしに来ているのですか」と聞いたら、韓国は、「再生へ向けて、新しい事業を一緒にやりませんか」という、経済の話で来ている。中国も、壊滅状態になっている東北で、「サプライチェーンで組んで一緒にやりませんか」というような話なのですが、「あとは土地を探しているのですよ」と言うのです。
飯田)土地ですか。
鈴木)土地を買いに来る。あれだけの被災地ですから、土地がどうなるかわからない。もう手放している方もいる。そういう話かなと思ったら、それだけではなくて、東北にも自衛隊の基地があって、安全保障上、再整備をするわけです。「そういう周辺の土地を抑えるのです。そのために来ているのですよ」と言うので、「へえ」と思いましたね。1年だとまだ荒地で、津波でやられていて、何も整備されていないのです。
飯田)瓦礫の処理が問題になった時期ですよね。
鈴木)そのときにもう、そういうことで入って来ている連中がいるのだということで、驚きました。記事にもしました。
震災後から10年議論が続いている「土地取引規制法案」
飯田)先週1週間、東北を取材して回ったのですが、石巻の日和山公園というところに風光明媚な桜の名所がありますけれども、あそこでたまたまなのですが、ブルーインパルスの訓練を目撃したのです。隣に松島基地という航空自衛隊の大きな基地がありますが、あの辺りは日本の防空の要であるということも考えたのですね。石巻に目をつけたということは。
鈴木)そうなのです。怖いなと思いました。そういうときに、土地の規制はどうなっているのかと取材をしたら、一応あるのです。ルールはあるのだけれども、相当甘いということで、「これはいつか手をつけなければダメですよね」という話をした実体験もありますが、この議論は非常に大事だと思います。そのころからずっと議論が続いているということなのです。
自公でズレが生じた原因
鈴木)自民党は「ここで行くしかない」ということはあるのだけれど、公明党の事情で言うと、実は公明党のなかでは、私権を制限するような法律になりますから、それでいいのかという議論は当然あります。公明党のなかで「これは安全保障上、大事ではないか」とこの座長をやっていたのが、遠山清彦さんなのです。遠山さんはご存知のように、夜の銀座での会食が明らかになって、議員辞職されました。安全保障は彼の1つの得意分野だったのです。彼がこの問題を自民党とうまく一緒にやって行こうとしていたけれど、彼が抜けてしまい、公明党内で慎重論が出て来た。それで自公でなかなか話し合いがうまく行かないということはあります。それから、公明党は最大の支持団体の創価学会が、人権や平和ということをとても大切にしていますから、そういうこともあって、自公のズレが出て来ているのかなという感じもします。
早い結論が必要
鈴木)あの大惨事の直後に、もう土地を探していたという。恐ろしい話です。
飯田)すべてを機会として、隙あらば、という。その土地をどう使うかということは、もちろんわからないけれども。
鈴木)もちろんです。必ずしもすべてがそうだとは言わないけれども、安全保障ということを考えたときには、ある程度の制限は議論しなければいけない。これに、また時間がかかっている。
飯田)もう10年経っているわけですよね。
鈴木)これをやっているうちに、海外でいろいろな体制が変わって、安全保障の仕組みも変わって行く可能性もあります。早い結論が必要だと思います。
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