ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月17日放送)に数量政策学者で内閣官房参与の高橋洋一が出演。安全保障上の重要な土地取得などを規制する新法案について解説した。
政府が安全保障上の重要な土地取得などを規制する新法案提出へ
政府が安全保障上、重要な施設周辺の土地取引を把握するための新しい法案の骨子が12月16日にわかった。この法案によって防衛施設や原子力発電所などの周辺を対象にして、国が実態を調べやすくなるということだ。また、外国資本だけでなく国内企業も調査対象になり、土地や施設の取得目的を事前に届け出るよう義務付け、虚偽があれば罰金を科す方針とのこと。
飯田)2021年1月召集の通常国会での提出を目指すとのことです。
高橋)ようやく出ましたね。これは議員立法で、私も多少関与していました。何回もやったのですが、その度に政府に却下されて来ました。議員立法でも法案は出せるのですが、成立することは難しい。でも政府の方から出すというのはいいことですね。
飯田)閣法で出すみたいですね。
高橋)閣法です。これはいいことなのです、成立しますしね。これまで、その必要性は言われて来ましたが、ようやく出るということです。
飯田)そういえば、菅内閣発足当初に有識者会議のようなものがつくられていました。前の官房副長官補の兼原さんなども参加していましたね。
高橋)あのときにはもう、法案は決まっていたのですよ。
飯田)レールはもう決まっていて……。
高橋)形を整えるということでしょう。
飯田)法案はできていたとは言え、政権発足から3ヵ月でこういうものが通ったということですね。
現実に新千歳空港の隣にある怪しい建物
高橋)ポイントはどのように規制するかということです。よく「GATTに違反するのではないか」と言われますが、日本企業でも実情は外資というところもあるではないですか。形式的には分けられないから、「すべての企業を調べる」となる。だからGATTに違反するということはないのです。
飯田)GATT、貿易に関しての一般協定。日本企業と外国企業を差別してはいけないということですね。
高橋)差別はしません。「日本企業も含めてすべてです」と言えば何も言えません。ただ、GATTの協定自体にも、「安全保障上の規定はつくれる」と書いてあるから、それは、大丈夫なのですけれどね。外資に絞ると、日本企業を名乗って土地を買うということもあるから、より実効性を高めるために、「みんな調べます」ということです。例えば新千歳空港の隣に土地が買われているのです。現実には。
飯田)あそこは民間のイメージが強いですが、航空自衛隊の千歳基地もあります。
高橋)千歳空港は北の主要なところですから。
飯田)ある意味、北の防空の要であると。
高橋)その隣に、どこかの国の人がたくさん住んでいて、パラボラアンテナがたくさん立っているのです。
飯田)何に使っているかよくわかりませんが。
高橋)普段は誰もいないようなのですが、あるタイミングでたくさん人が現れるのです。地元の人との付き合いもありませんし、不気味なところです。そういうところで無線傍受をしているかも知れません。対馬にも、自衛隊の基地を見下ろせる場所にあります。
飯田)横須賀の自衛隊と米軍がいる港の目の前にも、高いマンションが建っています。
高橋)定点観測されているのではないでしょうか。国防上、安全保障上、問題ですから、どこの国でも一定の規制があります。普通はその周りなんて人は住めませんよ。写真を撮っただけで捕まってしまいます。世界常識として、こういうことに敏感になった方がいいと思います。
他の土地と等価交換する
飯田)経済と安全保障は一体だという話がありますが、これで一歩前進ということですか?
高橋)これをやるべきだと10年近く思っていました。一歩前進だと思います。これをきっちりやり、あとは既存のものをどうするかということですね。
飯田)日経の記事では、これまでは、既にあるものは犯罪捜査等でなければ、所有や用途などが調べられなかったのが、ようやく調べられるようになったということです。
高橋)調べられるようになったのですが、立ち退かせるときには、いろいろな口実が出て来そうですね。やってみなければわかりませんけれど。
飯田)財産の所有権というような話で、民法とのバッティングなどが問題になって来ますか?
高橋)最後は買い上げて、同じものを与えればいいのです。
飯田)ほるほど。等価交換するという形ですね。かつてあった「高速を通しますから土地を交換してください」というものと同じロジック。
高橋)タダで取り上げてしまったら、それは財産権の侵害になりますが、等価交換ですから。
飯田)やりようはいくらでもあるということですね。
高橋)中身がわかれば、適切な手段で対応できますが、いまのところ中身がよくわからないという状況でしょうね。そこを調べるということからですね。
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