コシノジュンコ、「ファッション」を語る “たかが洋服”ではない
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ファッションデザイナーのコシノジュンコが、5月9日(日)に放送された、女優の戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」(ニッポン放送・毎週日曜14時~14時30分)にゲスト出演。文化服装学院に入学して、飛び級でデザイン科へ入り、史上最年少で新人デザイナーの登竜門である「装苑賞」を受賞。1960年代からファッション界をリードして、いまも日本と世界のファッション業界で活躍するコシノが、改めて洋服の魅力や、日本人のファッション感覚について語った。
コシノ:洋服は“たかが洋服”ではなく、すごく大切ですね。自分の気持ちを変えてくれます。朝起きて、今日何を着るか。着るものが決まると仕事もすごいスムーズじゃないですか? 会う人によって『この服はどうかな?』って。外に出ようと思って雨だったり。服装によって表現するわけです。だから便利といえば便利だけど、大変といえば大変。でも、ドン! と後押しをしてくれるような気がするんです。
戸田:はい。
コシノ:頭の切り替えと気持ちの切り替えができるので、新しいチャレンジができますね。
戸田:分かります。洋服が決まると、その日の行動もこれで決まった! みたいな。
コシノ:女性は毎日着替えるでしょ? ちょっとでも変えるじゃないですか? でも男性は少々変えなくても分からないですよね。ひとつのジャケットを毎日着ていても大丈夫で、ちょっとネクタイを変えたりするだけで変えられる。でも、たった一つの自分の自信のあるジャケットがあることも大切です。
戸田:なるほど。
コシノ:特に、外国に行って名刺を出しても覚えていてくれないですよね。着ているものの印象で、「あの時、あれを着ていた人ね!」って、それなんです。一気に近付いてくれるというか。
戸田:海外の人ってよく、初めて会っても洋服のことを褒めてくれますよね。
コシノ:そう、ニューヨークで私が歩いていたら、車がパーっと止まって「ねえ! その洋服どこで買ったの?」って。わざわざ車を止めて話をします?
戸田:そうですね、日本じゃ考えられない(笑)
コシノ:勘がいいというか、積極的という。アメリカ人は平気ですね。
戸田:そうですよね。
コシノ:ファッションって表面だけに見えますけど、一種の世の中の動きみたいなものだと思うんです。ファッションは、流行という意味でしょ? 世の中の流行を着るわけです。日本には四季があるから、「四季」が一番のテーマですよね。一方で四季のない国は、ファッションの変化どころか、発展が遅い。
戸田:そうか……。
コシノ:特に東南アジアとか、ずっと暑い国。例えばインドだったらサリーさえ着ていれば、きれいな色だったら何とかなるみたいな。だからファッションと縁遠いんですよね。暑い国は簡単に、布一枚で着られちゃうから。でも日本は、今暑いと思っても冬が来るし、寒いかと思ったら春、夏……とその変化があるから発展していくわけ。だから流行に敏感なの。
日本では春夏秋冬に合わせ、服を変えていく生活環境だからこそ、ファッションが発展して流行にも敏感になった、と語ったコシノ。
この他にも番組では、70年代、ファッションや音楽など東京カルチャーの発信地だった原宿での思い出や、いいデザインや理想のデザイン、フレディ・マーキュリーとの秘話も紹介。終盤には、これからの予定や夢を語る中で、コシノは「日本の中で、日本の文化とか伝統とかにもっと興味をもって。今まで見られなかった、日本の伝統的なものを積極的に見るとか……」とコメント。いまはコロナ禍だが、それが終息したら日本の素晴らしさを、自信もって海外に発信できるようにしたいと語った。
番組情報
女優・戸田恵子が大人のクオリティ・オブ・ライフ(上質で豊な生活)をエンジョイするための「人・モノ・コト」にフォーカスする番組です。
大人の会話が弾むプチトリビア、大人が生活に取り入れたくなる情報をお届けする30分。ぜひお付き合いください。