ファクトもロジックも間違えている宝島社の「タケヤリ」意見広告
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(5月19日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。宝島社が新聞に掲載したコロナ政策に対する意見広告について解説した。
宝島社がコロナ政策をめぐる意見広告を新聞に掲載
宝島社が5月11日、竹槍、正確には長刀を突き立てる女の子の写真で、「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される。」という見開きの全面広告を朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞に掲載した。
飯田)話題になっていますが。
ファクトもロジックも間違えている
佐々木)この広告は、ファクトもロジックも間違えていますよね。そもそも「ワクチンもない」ということですが、この広告が出たのが11日で、その時期から大量に毎週1000万回分くらいの単位で、ファイザーのワクチンが入って来ることが決まっていました。この広告をつくっていたのは4月くらいだと思いますが、その段階でワクチンがないのは当たり前で、しかも日本は創薬国という薬をつくる国ではありません。感染もそれほど多くないので、感染爆発していて薬をつくっているアメリカ・イギリスと比べて遅くなるのは当然です。
飯田)そうですね。
佐々木)「薬もない」と言っていますが、特効薬はいまだに存在しません。「イベルメクチン」など、いろいろと言われていますが、それらに関しては、まださまざまな疑問があって、決定的な特効薬ではないとされています。
「タケヤリで戦えというのか」
佐々木)「竹槍で戦え」というのは何を指しているのかよくわからないですが、もし「3密を避ける、マスクをして手洗いをする」ということを意味するのであれば、それはどんなにワクチンが出ようが特効薬が出ようが、やらなくてはいけないことで、これまでも医療関係者から言われていることですので、これも間違いではありません。
医療関係者から批判される感染症の広告は間違っているのではないか
佐々木)だから政治に殺されるかどうかはわかりませんけれども、その前段階で「ワクチンもない、薬もない、竹槍で戦え」というところが間違っています。なぜ私がこの記事を知ったかというと、何十人かの医療従事者、お医者さんや看護師さんをツイッターでウォッチしていたら、「この広告は酷いよね」とこぞっておっしゃっていて、それで初めて気づいたのです。この広告が医療関係者から批判されるということは、「感染症の広告としては間違っているのではないか」ということですよね。
飯田)後ろから鉄砲を撃つような。
佐々木)まるで政治に対して竹槍で戦っているようなイメージを打ち出しているのだけれども、私の印象としては、ワクチンやコロナに対してマイナスイメージをばら撒いているのはメディア側です。竹槍で戦っている相手はメディアであって、竹槍しかないのは我々だという印象さえあります。
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