ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月16日放送)に外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が出演。イギリスの「空母打撃群」で100人ほどが新型コロナウイルスに感染したというニュースについて解説した。
日本にも寄港予定のイギリスの「空母打撃群」で100人が新型コロナウイルスに感染
「空母打撃群」とは航空機を搭載し、海上で航空基地の役割を果たす航空母艦(空母)を中心に巡洋艦や駆逐艦などとともに編成される戦闘部隊のことを言う。インド太平洋に向け航行中で、日本にも寄港予定のイギリス海軍の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群のなかで、新型コロナウイルスの感染者が相次いでいることがわかった。感染者は100人ほどにのぼるとみられているが、イギリス海軍は対策を講じていて今後の航行に影響はないとしている。
飯田)インド洋から太平洋に向かっているということです。
宮家)この空母の収容人数は資料によると3700人です。空母は大きな船ですけれども、なかに入れば基本的には密です。だからいいと言うわけではないけれども、アメリカの空母でも同じことが起きたし、変異株が出れば、ある程度は起こってしまうのだろうと思います。他の船でも出ていないはずはなく、中国だって出ていないはずはないと思います。
全員2回のワクチン接種済み
宮家)イギリスの1日の新規感染者は数万人単位でしょう。その船もそんなものだとなれば、困ったことではあるけれども、イギリスの感覚では対応可能だと思っているのではないでしょうか。日本は衛生観念がとても高いので、いい意味で厳しいのです。感染者が1000人出たら大変な騒ぎになるのですが、何万人という数が出てようやく大騒ぎになる国もあるということです。
飯田)イギリスの国防大臣などが取材で答えていて、みんなワクチンを2回打っているのだけれど、感染者が出たということです。
「空母打撃群があるから最強」という時代は終わった
宮家)空母打撃群はかっこいいのだけれど、私に言わせれば、時代遅れの兵器です。確かに空母は戦闘機が乗るから効果的です。飛行場が移動しているようなものです。しかし、いまの中国、ロシアが持っている精密誘導の弾道ミサイルを一度に何十発も撃たれたら、空母打撃群、すなわち空母があって、その周りにイージス艦やいろいろな補給艦があっても、誘導ミサイルの敵ではないのですよ。
飯田)弾道ミサイルにとって。
宮家)空母は、今や砲艦外交で政治的に使う「見せる兵器」になりつつあると思います。今回もイギリス空母が寄港予定ということですが、イギリスが太平洋に帰って来ることはいいことです。しかし、どの程度の戦闘能力があるかということは、また別です。アメリカ海兵隊の戦い方も変わっていますが、その戦法は大型船中心ではない。小さなボートでないとレーダーに捉えられてしまうから、そうならないように戦法を変えているのです。「空母打撃群があるから最強」という時代は終わってしまった。日本もそれを念頭に置いて「戦い方」を考えなければいけないと思います。
飯田)その変化のなかには、例えばドローンなども含まれる。
宮家)無人化、小型化、機敏で、大量に使い捨てで、敵に見えない。そういう戦い方に変わって行きます。その上で、今後は電磁波と宇宙とサイバー、これが主戦場になって行くということです。
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