野田氏出馬で票を食われるのは岸田氏と高市氏
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ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」(9月17日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。4人の候補者の戦いとなった自民党総裁選挙について解説した。
4候補による選挙戦スタート
菅総理の後継を決める自民党総裁選は9月17日午前、4陣営が立候補を届け出た。抽選の結果、河野太郎ワクチン担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の順となった。
野田幹事長代行)この度、総裁選に必要な推薦人20人を整えていただきまして、私、野田聖子は、この度の総裁選挙に出馬させていただくことになりました。
菅総理が出馬を断念した経緯
新行)リスナーの方からメールもいただいています。川崎市にお住まいの“ヤスアキ”さんからです。「自民党総裁選、岸田さん、高市さん、河野さん、野田さんという4者の戦いになりましたね。2週間前の菅さんが出馬しないところから、だいぶ変わったかなと思うのですが、鈴木哲夫さんはこれを予想していましたか?」といただきました。
鈴木)菅さんが辞退するということは、正直まったく予想していませんでした。私が取材している感じでは、ギリギリまで菅さんは再選を果たすために、言葉は悪いけれど、あの手この手で考えていました。解散総選挙を先にやって、そこで勝ち、勝てば総裁をもう1回やっていいということになるから、そういう狙いで、「どのタイミングで解散するか」ということを考えていた。けれども、解散カードを潰されてしまったでしょう。
新行)解散総選挙というカードを。
鈴木)そのあとは三役の人事を行って、自分の求心力を高めようと思った。しかし、この人事も麻生さんといろいろ揉めてしまった。菅さんは河野さんを使おうとしたのですよね。しかし、麻生さんにしてみたら、「勝手に麻生派の河野を使うのか」と揉めて、結局それもなくなってしまった。そこで菅さんは、「これでは総裁選は厳しい」ということで再選の道を断った。こういうことです。前日まで私は当然出ると思っていたので、予想していませんでした。
新行)前日まで予想しなかった。
鈴木)ただ、菅さんが出ないとなってからの4人の構図。岸田さんは早々に出馬しましたが、その他の構図は、予想通りでした。石破さんが退いたのも、取材からある程度は予測していました。
新行)取材から。
鈴木)野田さんについてですが、先週のなかごろから、「野田さんが推薦人20人を集めるのではないか」という情報をキャッチしていたので、テレビやラジオでは「野田さんが最後どうなるかが1つのポイントですよ」と言っていました。
新行)おっしゃっていました。
鈴木)4人が出揃って、これから議論して行きます。議論のなかで、世論というものは変わるし、投票する党員や国会議員の感覚も変わって来るとは思うけれども、ある程度、これから先の展開も読める。誰がというよりも「こうなればこの人が強い」、もっと言うと、派閥同士が「こういう権力闘争で繰り広げるだろう」ということはイメージできます。
野田氏出馬による他候補者への影響
新行)野田さんが立候補されたことによって、各候補者へはどのような影響があるのでしょうか?
鈴木)通常の総選挙と違い、パイが決まっています。国民が参加する選挙では、投票率100%などないですよね。そのときの投票者数が多いかで決まって来るのだけれど、自民党総裁選挙というのは、最初から決まっている国会議員と党員の票で争うので、ほぼ全員が投票する。パイは決まっているのだから、立候補する人は、出馬する人が多ければパイを食い合うことになり、票が減って行くという、当たり前の算数のような話が1つあります。
新行)パイが決まっているので。
鈴木)野田さんが出たことによって、他の候補者の票が減って行く。野田さんにイメージが近いということになると、改革や新しいことをやるという印象の強い、「河野さんがいちばん割を食うのではないか」という話が永田町で流れています。
新行)河野さんの票が。
鈴木)しかし、取材して行くと、意外と河野さんよりも、岸田さんや高市さんにも影響があるのではないかと。それぞれの陣営のベテランが言っているのだけれど、高市さんの場合は、「初の女性の」ということも冠の1つになっていたわけです。高市さんは政策的にも、イデオロギー的にも個性があるので、男女は関係ないのですよ。でも、一応は女性初という。
新行)女性初の総裁にと。
鈴木)野田さんが出て来れば、「女性初の」という冠が被るわけです。いままでは女性初という感覚で、「高市さんかな」と思っていた無党派層的な票があるとすれば、野田さんも出たことにより、ここが分散する。つまり、高市さんに上積みされるだろうと思われていた票が減る可能性があります。
野田氏の出馬で票が獲られるのは岸田氏、高市氏
鈴木)それから、政策的には野田さんと岸田さんはリベラルと言ってもいいのかも知れないけれど、似ていますよね。岸田さんと野田さんを比較して、それまでは「岸田さんに」と思っていた無党派層的な票が、岸田さんではなく野田さんに行く可能性もある。
新行)岸田さんにしても。
鈴木)結局、誰が目減りするかと言うと、意外とみんな獲られそうです。いま1位の人がいるとすれば、そのポジションは変わらないわけです。ただ、過半数が獲れずに決選投票になる可能性は少し強くなる。誰の票を食うかというのは、みんな同等か、もしくは岸田さん、高市さん、この2人の方が獲られるかも知れない。そんなレースになると思います。
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