高橋洋一が持論 訪米の菅総理が「原子力潜水艦を日本に持って来る」提案をしてみてはどうか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月22日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。菅総理が9月23日からクアッド首脳会合に出席するため、ワシントンを訪問するというニュースについて解説した。

高橋洋一が持論 訪米の菅総理が「原子力潜水艦を日本に持って来る」提案をしてみてはどうか

菅義偉首相、バイデン米大統領(ロイター=共同)=写真提供:共同通信社

菅総理、9月23日から訪米~クアッド首脳会合出席

政府は「クアッド」と呼ばれるアメリカ・オーストラリア・インドとの4ヵ国の首脳会合に出席するため、菅総理大臣が9月23日からワシントンを訪問すると正式に発表した。一方、ニューヨークで開かれている国連総会で、アメリカのバイデン大統領が一般討論演説を行っている。アメリカの外交方針を世界に向けて示す国連総会の場で、バイデン大統領は「新たな冷戦は望まない」と強調した。

飯田)菅さんが訪米するということで、口の悪い人は卒業旅行だと揶揄する場合も。

高橋)総理大臣ですので、クアッドの話は重要だから行くのでしょうけれども、クアッドの話だと、「何が」というのはわかりにくいのです。

オーストラリアの原子力潜水艦配備計画でフランスと関係が悪化したアメリカ

高橋)いま「AUKUS(オーカス)」という、オーストラリアとイギリス、アメリカで行っている原潜の話があるでしょう。

飯田)原子力潜水艦の話。

高橋)原子力潜水艦を保有しているのは、常任理事国の5大国とインド、計6ヵ国しかないのです。これで7番目ということでしょう。しかし、オーストラリアがフランスとの次期潜水艦開発計画を破棄して、米英の支援による原潜の配備に切り替えたということで、フランスとアメリカが揉めているではないですか。

飯田)もともとはフランスが通常型潜水艦を。

オーストラリアに持って行く「原子力潜水艦を日本に持って来る」という案~米仏の関係も修復できる

高橋)日本のものからフランスに乗り換えて、また原潜に格上げという形で、米英支援の原潜にと。これは大胆な提案なのだけれども、こういうときに菅さんがワシントンに行き、「原潜を日本に持って来て」と言ったら面白いと思います。そしてフランスとオーストラリアのものは、そのままにしろと。

飯田)アメリカの望みとしては、「南シナ海の警備等々で必要なのでしょう」と。

高橋)「日本は無理でしょう」ということで、オーストラリアに行ってしまったのです。オーストラリアはファイブ・アイズだから、やりやすいと言えばやりやすいのですけれどね。

飯田)仲間だからやりやすい。

高橋)でも、ここでちょっと言ったら面白いですよね。「原子力潜水艦を日本にどうですか」と。オーストラリアはもともとのフランスの方で、と言ったら面白い。もちろんオーストラリアは、通常の潜水艦ではダメだから原潜にするということなのでしょうが、アメリカの戦略からすれば、太平洋のどこかに原潜があればOKなのです。

飯田)結局そういうことですよね。南シナ海を中国の内海にさせたくない。それは東シナ海においても同じですよね。

原子力潜水艦はコスパもいいし、強い抑止力になる

高橋)日本の方が近いと言えば近いのです。でも日本がこれを言ったら、大騒ぎになるに決まっています。日本は原子力と潜水艦に対して、両方とも、ものすごいアレルギーがあるので。

飯田)そうですね。

高橋)でも、いまの原潜は長期間、潜っていられるから、これ以上ない抑止力なのですよ。

飯田)どこにいるかもわからない。

高橋)これを持つのがいちばん国防のコスパ的にはいいのですけれどね。

飯田)いま日本は通常型の潜水艦を運用していますが、あれはディーゼルエンジンを回し、充電して、その上でエンジンを止めて潜行して行く。だからどうしても行動半径が短いのですよね。

高橋)原潜になれば大分違います。一応、世界の流れは原子力潜水艦だから、あり得ない話ではないのですが、国内では大騒ぎでしょうね。これを自民党総裁選で言う人がいたら、面白いなと思うのだけれども。

高橋洋一が持論 訪米の菅総理が「原子力潜水艦を日本に持って来る」提案をしてみてはどうか

3日、米ホワイトハウスで演説するバイデン大統領(ロイター=共同)=2021年8月3日 写真提供:共同通信社

すべてがウィンウィンに

高橋)自民党総裁選は政策の見せ合いで競い合いだから、いろいろなことを言っていいのです。どうせ最後に政策で出るときは、政府の政策になるから。いろいろなものの問題点は捉えるはずなので、菅さんが「チョコッ」とどこかに流しても面白いのではないでしょうか。

飯田)第7艦隊は横須賀に司令部があるわけですし、その意味で運用も「日本の方がやりやすいかも知れませんよ」と。そもそも海上自衛隊とアメリカ海軍のリンケージは相当強固なものがあると考えれば。

高橋)そうすると、原潜を日本に持って来て、フランスの方は通常のもので、後々はフランスの方も原潜に格上げしたっていいわけですから。すべての人がウィンウィンになるでしょう……というくらいの話を最後にしてもいいかなと思います。こっそり2人で会うのだから、このくらいはできるのではないでしょうか。

中国に対しても抑止力になる

飯田)フランスとアメリカとの間ものっぴきならないことになっていて、フランスはEU全体を巻き込んで批判しています。

高橋)世界戦略としてもあまりよくないから、日本がここで捨て石になり、本当は漁夫の利だけれど、原潜をいただいてもいいのではないかと思うのですが。米仏の問題を打開するということでも、意味のある提案にはなるし、意味のある牽制にもなると思います。

飯田)周辺国には「用意があるぞ」というメッセージになります。

高橋)中国は驚くでしょう。退役した中古のものでもいいと思います。

飯田)そういうところから技術を積み上げて行って。

高橋)レンタルでもいいと思います。「ちょっと貸してくれ」と言って。

飯田)最初はレンタルで、ある意味の共同運用的にやって。

核のシェアリングと同じ

飯田)総裁選のなかでも、日本を守る国防、抑止力というような話があります。日米同盟も大事だし、敵基地攻撃能力などが議論されていますが、選択肢はそれだけではないのですね。

高橋)原潜のレンタルも可能性としてはあると思います。非核三原則の、持ち込ませないというところを直すだけです。

飯田)かつてここでも話をした、核のシェアリング。

高橋)核シェアリングとまったく一緒です。核のシェアリングよりはもう少し高度というか、原潜のレンタルです。そこにSLBMを積むと、まさしくそうですがね。

飯田)潜水艦発射型の弾道ミサイル。

高橋)日本を守るための抑止力でしょう。いまの技術では、原潜が最も抑止力があります。

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