ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月7日放送)に自由民主党・参議院議員の青山繫晴が出演。加藤官房長官がロシアの北方領土特区計画に遺憾の意を示したというニュースについて解説した。
加藤官房長官がロシアの北方領土特区計画に遺憾の意を示す
ロシアのプーチン大統領は9月3日、「北方4島に特区を創設し、企業の税金を10年間免除する」と表明した。これを受け、加藤官房長官は9月6日の会見で、「日本の立場と相容れない」として遺憾の意を示し、ロシア側に申し入れたことを明らかにした。
飯田)ロシア主催の「国際会議東方経済フォーラム」のなかで、この方針が示されたということです。
遺憾の意を表すだけでは足りない
青山)日本が遺憾の意を表するだけでは、まったく足りません。「日本の立場と相容れない」という抽象的な表現ではなく、そもそも約束が違います。
飯田)約束が違う。
青山)安倍前総理とプーチン大統領が約束したこと自体に、私は反対でした。安倍政権時代の北方領土交渉に、自由民主党の一員として正面から反対しています。はっきり申し上げて、日本がこうなるレールを敷いてしまったのです。
ロシアが中国と経済的に連携すれば尖閣諸島問題にロシアが首を突っ込む可能性も
青山)今回のことで最も問題なのは、「日本の法律を完全に無視する」ということです。ロシアの法律に従って、ロシアは「取れるはずの税金を取らないことにしますよ」と。つまり安倍さんの目指したものとは真逆になって、経済優先というところに付け込まれ、「では特区をつくりましょう」という方向でロシアは動いているのです。
飯田)特区をつくったのは。
青山)さすがに日本政府が乗ることはないけれども、そのようなことはロシアも読んでいます。外国に門戸を開くということですが、外国の筆頭は中国です。中露の連携は最近ますます目立っています。アフガニスタンについても、タリバンに介入しているのは、ロシアと連携した中国です。
飯田)タリバンに。
青山)中国にとっては、「一帯一路」に乗れるかも知れないということがある。北方領土については、氷が解けてしまって、北極の船の運航ができるようになって来た。それによって、北方領土方面に関する中国の関心がまるで変わっています。ロシアからこういう誘いがあれば、中国が乗っかって来る恐れは十分にあるのです。そうすると、尖閣諸島問題にロシアが新たに首を突っ込むという可能性もあり得るのです。
飯田)尖閣諸島にロシアが。
青山)北方領土が帰って来ないことに加えて、中露の連携が、日本の国益に大きく反して行く。これはその始まりなのです。だから「遺憾の意を示す」どころではないのです。
「約束違反をすれば経済制裁に踏み込む」と言うべき
青山)日本は軍事力が実質ないので、「専守防衛」というのは、違う言い方で言うと、外交に軍事力を使えないということです。そんな外交は本来あり得ないのですが、何が有効かと言うと、経済制裁しかないのです。ロシアは日本経済に依存する部分、あるいは期待する部分があるので、少なくとも、「このように約束違反をやられたら、経済制裁に踏み込みますよ」ということは言うべきです。「遺憾の意」については、年中、遺憾の意ですけれどね。
飯田)ネット上では遺憾砲などと揶揄されるくらいで。
青山)当然、制裁すると日本経済にも影響が来るのです。常にバランスを見ながら、天秤にかけて考える。「制裁をかけた方が有利に働く」という場面はたくさんあるのに、それを一切やろうとしない「敗戦後76年間」です。政権が変わるのを機に、これも見直した方がいいです。
日本と手を組まない限り、ロシア経済は上向かない~中国と組んでも経済のプラスにはならない
飯田)そもそもロシアは経済的には非常に厳しいし、資源の輸出以外に産業という産業は育っていないと言われていますものね。
青山)その通りです。本当は中国を信用していませんから。
飯田)広大な国境線が接しているというのはありますか?
青山)国境線の問題は一応解決したのですけれども、何を信用していないかと言うと、中国経済のアキレス腱は、「民間の産業資本がほとんど育っていない」ということです。中国経済は、国有と言わざるを得ない企業の倒産、あるいは、企業が借りていたお金を返せないということが起きているわけです。
飯田)企業が。
青山)民間の産業資本が明治維新以来、戦争に負けても豊かに育っている日本と手を組まなければ、ロシア経済は上向かないのです。中国と手を組んでいても、日本への脅しにはなるけれど、ロシア経済のプラスにはならないのです。
飯田)そこは見切っていると。
青山)だから、「日本から経済制裁を受けるかも知れない」となれば、態度が変わるのです。軍事力を使えない限りは、それをやるしかないのですよ。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。