中国から見れば「ウェルカム」な岸田内閣
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月10日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。11月10日発足となる第2次岸田内閣について解説した。
第2次岸田内閣が発足
岸田総理は11月10日召集の特別国会で第101代内閣総理大臣に選出。直ちに組閣し、第2次内閣を発足させるが、外務大臣に林芳正元文部科学大臣を起用し、その他の閣僚は再任する予定である。
飯田)11月19日に経済対策をまとめるということです。補正予算は月内に策定する予定になっています。
高橋)補正予算はゆっくりですね。そうすると、来月(12月)に国会をどうするか。もう少しスピード感を持ってできればいいのですけれどね。
飯田)ここへ来てようやく本格始動ですからね。
中国から見れば「ウェルカム」な内閣
高橋)茂木さんが幹事長になって、林芳正さんが外務大臣ということですが、対中として考えるとどうなのでしょう。お二人は比較的中国に近い方ということで有名です。
飯田)林さんは日中議連の会長でいらっしゃいます。
高橋)中国から見ればウェルカムな内閣ですね。
飯田)いままでの安倍・菅政権とは違うということになります。
高橋)人事はメッセージですから、そういうことを期待してしまいますね。
西側に対しても誤ったメッセージになりかねない
飯田)しかもそのメッセージは中国に対してだけではなく、全世界的に発信されることを考えると、西側に対して誤ったメッセージになりかねませんか?
高橋)なりかねないですね。普通はバランスをとって、片方は厳しい人を選ぶのですけれど。だから茂木さんが幹事長になったときに、外務大臣は例えば小野寺さんなどにすると、だいぶ違うのですけれど、そういうことはしませんでした。
安倍元総理をマレーシアへ特使として派遣 ~バランスを取るためか
飯田)「そこでバランスを取るのか」というところで、安倍元総理がマレーシアに特使として派遣されるという話があります。
高橋)アメリカの一行が台湾入りしたという報道がありますが、安倍さんは普通の議員ですからね。マレーシアに行ったあと、急に台湾へ行っても不思議ではありません。
飯田)なるほど。
高橋)中国も反応しているということですから。反応した方がいいのですけれどね。
飯田)台湾メディアによると、アメリカの上下両院議員の一行を乗せた専用機が9日夜、台北に到着したということです。
高橋)安倍元総理がマレーシアに行った帰りに、急に台湾に行くということはあり得る。
飯田)いまは議員の立場ですから。
高橋)いろいろとメッセージは出さなければいけません。
飯田)その辺は。
高橋)勘違いされてはいけないので、どこかでバランスを取った方がよいと思います。外交の話ですから、人によって意見はいろいろありますが。
給付金は全世帯に配って事後調整をすればいい ~簡単なのは社会保険料を半年間減免すること
飯田)経済政策の部分で、補正予算案が施行も含めると年度内かどうかというところですが、年が明ければ、もう来年度予算の本予算の審議になるということですか?
高橋)そうです。
飯田)この辺も含めて、補正の規模等々についても、昨日(9日)は自民党・世耕参院幹事長が30兆円規模で、「真水でできるだけ多く」という話もありました。
高橋)GDPギャップを計算すると35兆円ぐらいです。内閣府は20兆円と言っているのだけれど、内閣府の計算に10兆円オーバーすると、だいたい普通の数字になります。
飯田)なるほど。
高橋)だいたい、18歳以下に現金とクーポンで分けるにしても10万円でしょう。そうすると2兆円くらいまでしか行かないのです。なかなか有効需要は埋まりません。
飯田)埋まらない。
高橋)全世帯に配ってしまって12兆円。それで最後は事後調整をする。あとは記名式の政府小切手にするのが最短なのですけれどね。もっと早い手を言うと、社会保険料を半年間ほど減免するのがいちばん簡単なのです。
飯田)取らないという対策を半年間やると。
高橋)そうすれば、ちょうど10兆円くらいです。簡単な手はたくさんあります。でも矢野さんを事務次官に据えておいて、「あれでいい」と言っている布陣ですから、こういう話は出て来ません。
予算編成は党ではできない
飯田)政策決定のプロセスで、岸田政権になると、今度は党の方が強くなるのではないかということも言われていました。党側で政策をやるとなると、高市政調会長ということになりますけれど。そうは言っても、霞が関のパワーの方が強いですか?
高橋)予算ですからね。党ではできないですよ。最後は財務省におんぶに抱っこになるのですけれどね。
飯田)財務省に。
高橋)9月から総裁選をやっていらっしゃったでしょう。まったく関与していません。全部を財務省主導でやっているのですよ。
飯田)予算編成に関して。
高橋)これは任せるしかないのでしょうね。
飯田)税制の部分はどうですか? 12月に税制改正大綱がありますよね。
高橋)さすがに金融所得課税はやらないと思いますけれどね。他に小さい話をたくさん出すのではないでしょうか。
飯田)社会保険料は税等が違いますから、そこで突っ込むわけにはいかないという話ですかね。
高橋)突っ込むわけにはいかないのですけれど、お金を取らずに財源をつくって、社会保険料を徴収しないということは簡単にできるのです。でもやらないでしょう、みんなの話を聞くという方ですから。でも、誰の話をいちばん聞いているのでしょうか。財務省でしょうか。
ガソリンのトリガー条項の凍結の見直し
飯田)例のガソリンのトリガー条項について、凍結の見直しなのですけれども、やはり別途で立法が必要ということですか?
高橋)予算関連なので必要です。維新と国民民主を両方合わせると、共同提案ができるはずなのです。民主党政権のときにあったものを復活するだけの法律なので、簡単な立法です。それに応じるかどうかですが。
飯田)自民党側と野党側と。
高橋)一般的には、野党が出したものは審議しませんから。
飯田)とは言え、ガソリンが高止まりという状況だと、国民生活に相当影響がありますよね。
高橋)だからやった方がいいと思います。国民民主と維新が今度一緒にやるということなので、2つ合わせると予算関連法案が出せますから、どんどんやったらよろしいのです。予算の組み換えだってできるわけですから。
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