ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月17日放送)に外交評論家・内閣官房参与の宮家邦彦が出演。ケネディ元駐日大使を駐オーストラリア大使に指名したバイデン大統領の発表について解説した。
バイデン大統領がケネディ元駐日大使を駐オーストラリア大使に指名
アメリカのバイデン大統領は、中国に対抗する上で重要な同盟国と位置付けるオーストラリアに駐在する新たな大使に、かつて駐日大使を務めたキャロライン・ケネディ氏を指名すると発表した。ケネディ氏は、1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領とジャクリーン夫人の長女である。
飯田)オーストラリアは、AUKUS(オーカス)やクアッドでも重要な存在です。
宮家)実に民主党らしいなという気がしました。民主党のなかでは、ケネディ家はブランドであり、悲劇の大統領のお嬢さんですから。
飯田)そうですね。
宮家)いい意味で、一種のアイドルですよね。キャロラインさんのことはみんな知っているし、おそらくバイデンさんもよく知っているので、彼女をクアッド、AUKUSなどで重要なオーストラリアの大使に起用したのでしょう。彼女ならば議会での承認が通りますからね。
飯田)キャロライン・ケネディさんなら。
宮家)大使については、いま全部止まっているはずですよ。彼女であれば、反対する人も少ないかなということも考えているのではないでしょうか。
「ケネディ家」というブランド
飯田)ケネディ家ということが、ある意味の……。
宮家)ブランドですから。
飯田)ブランド、名家。疑似ロイヤルファミリーのような。
宮家)そこまでではないけれど、誰でも知っている有名な家であることは間違いありません。
オバマ元大統領の広島訪問にも重要な役割を果たしたキャロライン・ケネディ氏
飯田)当時、オバマ政権でしたが、オバマさんと直で電話できる関係が大事なのだという話がありました。
宮家)大使は常にそうですけれども、例えば、在外にいる日本の大使が直接、岸田総理に電話することは、なかなかできないですよね。
飯田)そうですね。
宮家)でも、何かあったら、すぐに電話をかけられるかどうか。これができるかできないかということは、大きな違いです。駐日アメリカ大使は幸い、いい意味でも悪い意味でも、このところ大物がやって来ています。私が北米局にいたころは、モンデール元副大統領が大使になりました。橋本龍太郎総理と、安保の問題で相当深い議論ができた。こういうことが醍醐味ですよね。官僚の大使とは違う。何か問題があって、官僚を通して日米間に誤解が広がって行ったらむしろ困るわけですから、そうならないようにハイレベルで直でやってしまう。その方が効果的な場合があります。またキャロラインさんの場合は、オバマさんの広島訪問を実現させたということもありました。もちろん、当時の岸田外相やケリーさんもいたけれども。
飯田)ケリー元国務長官。
宮家)キャロライン・ケネディ元駐日大使も、役割を果たしたことは間違いないと思います。彼女は日本政府から勲章をもらったけれども、それだけの仕事はされたのかなという気はします。
ほとんどの大使発令の人事が止まっている
飯田)他方、アメリカの駐日大使はエマニュエルさんという、シカゴ市長をやっていらっしゃった方が。
宮家)敵が多い人かも知れませんが、政治家としては強力な人です。しかし、彼も含め、議会での共和党と民主党の力関係が微妙なものですから、ほとんどの大使発令の人事が止まっているのではないでしょうか。まもなく1年経ちますからね。
飯田)政権発足から、まもなく1年になりますね。
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