キャスターの辛坊治郎氏が12月14日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。日本国内で増加中で今年の感染者数が過去最多となった感染症「梅毒」の過去と現在について解説した。
国立感染症研究所は今日12月14日、性行為などでうつる梅毒について、今年の感染者の報告数が7134人なったと発表した。今年の1月から12月5日までの人数で、現在の集計が始まって以来、もっとも多くなっており、全国的に増加している。
辛坊)とにかく気を付けてください。一時日本からはもうほとんどなくなったのではないかと言われていた、かつては一番深刻な性感染症と言われた梅毒が、急激に広まっています。7000人って、尋常な数じゃないですよ。通常の、異性間の性交渉で感染が広がっているという統計が出ていますのでね。
一時激減したのにはいろいろな理由があるんです。もともとは梅毒って、第2次世界大戦直後には日本で毎年20万人くらい発生していたんです。
増山さやかアナウンサー)そんなに。
辛坊)20万人ですよ。ところがそのあとですね、特効薬のペニシリンという抗生物質が開発されて。戦前は抗生物質がなかったので完治の方法が事実上なかったんですが、戦後ペニシリンが開発されたおかげで治る病気になったんです。ただし、梅毒は完治して他人にうつさなくなっても血液検査するとわかる痕跡が一生残ってしまうんです。だから健康診断や人間ドックで血液検査をすると、今は治っていますけど過去に梅毒にかかってますよね、という痕跡が残ってしまう。病気であることがどうのこうのではないですけど、隠しづらい病気ではありますね。
辛坊)で、検査に行かないとどういうことになるかというと、下手すると死にますし、死ななくてもあちこちに腫瘍ができて崩れるというようなことがあります。「梅毒が進行していくと、最後に鼻が欠ける」という言い方を昔はよくしたんですけども、現実問題として治療しないとそういうふうになってしまうと。何年もかかるんですけど。
増山)治療せずに放っておくとね。
辛坊)だけど今は治療で治りますから。さらに、早ければ早いほど効果がありますから。だから、とにかくまず見つけて治療に行く。で、これは少し日本が遅れているところなんですが、梅毒の診断がついたときにどうやって治療するかというと、大体1ヵ月くらい抗生物質を飲み続けるという治療をするんです。梅毒と判定された人が途中で逃げてしまうケースはないとは思いますが、それでも結構な手間がかかる。では世界はどうなっているかというと、世界標準では初期の梅毒感染なら注射1本なんです。日本では長い間、それが健康保険上認められておらず、今年の夏くらいにようやく認めてもいいのではという議論になって。それが最近認められたか私確認していないんですけども、少なくとも今年の夏の段階までは世界標準の注射1本での治療が出来ないので、診断されると薬を1ヵ月飲み続けるということになるわけで、そのあたりどうにかしなければいけないのではとも思いますけれども。(※編集部注:梅毒の世界標準治療「ベンジルペニシリンベンザチン筋肉注射薬」が今年9月に承認された)
戦後ペニシリンが開発されて日本の梅毒患者がぐっと減ったんですね。当時はものすごく恐ろしい病気だという認識が社会全体にありましたから、一気に感染者数が減ったんですが、最近じわじわ増えてきている。HIVがはやり始めたころには、かなり意識して性交渉等するときにはコンドーム等使ったので、そうすると梅毒も他の性感染症も防げるんですが、最近HIVも治療薬の発達で症状がかなり抑え込めるということで、「死に至る病」というイメージが遠ざかったことで、不特定多数と性交渉するときにコンドーム使わない人が凄く増えているんですね。性風俗産業の中にもそういうのを売りにしているところもどうやらあるらしい。そんな状況ですからそりゃ広がると。本当に気を付けてください。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)