通常の水際対策では「オミクロン株」は防げない
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月6日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。オミクロン株の感染が40を超える国・地域に拡大したというニュースについて解説した。
新型コロナ、オミクロン株の感染が40を超える国と地域に拡大
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が拡大している。感染者は40を超える国と地域で確認され、世界保健機関(WHO)の首席科学者は12月3日、「オミクロン株がデルタ株に置き換わって主流になる可能性がある」と指摘している。
飯田)まだまだ不明な点が多いですが、デルタ株に置き換わる可能性もあるということです。
須田)WHOは、「過去に感染経験があっても、オミクロン株に再感染するケースが多い」という言い方もしています。
現在のワクチンが効くのかどうか
飯田)デルタ株にかかった人でも、オミクロン株に感染する可能性があると。
須田)そうですね。まだ詳細なデータが出て来ていないので、よくわからないのだけれども。ワクチンが効くのか効かないのか。
飯田)現在のワクチンが。
須田)ワクチンがまったく効かないということはないのでしょうけれど、効きが悪いとなったときに、モデルチェンジしたワクチンがどのくらいで完成するのか、というところがポイントになるのではないでしょうか。
途上国でのワクチン不足が招いた変異株
須田)新型コロナワクチンが開発され、開発国や先進国が先行する形で優先的に接種が進んで行った。その一方で、経済的に劣る国、途上国を中心として、それらの国のワクチン接種が遅れたではないですか。
飯田)そうですね。
須田)この時間的なギャップによって、途上国で感染者が増えて行った。そういう偏りのなかで、新しい変異株が出て来た経緯があると思うのです。今後、ワクチン接種について、経済的に優位に立つ国と劣位に立つ国とで格差が生じると、今回のようなリスクも生じる可能性があるので、そうならないための対策が必要だと思います。
飯田)結局、ヒトからヒトへ感染する過程で変異が起こるということは、ヒトからヒトへの感染が多ければ多いほど、変異の確率が高まるということになりますよね。
須田)「自分たちの国さえよければ」という発想では、こういうことが起こるのではないかと思います。
低温に強い新型コロナウイルス ~輸入される冷凍食品に付着して入る可能性も
須田)各国で水際対策を強化しています。海外からの入国に対して規制して行こう、渡航を自粛して行こうという動きなのだけれども、これは防疫体制の基本中の基本なのです。
飯田)基本中の基本。
須田)感染症を遮断するという意味で、水際対策は基本中の基本なのだけれども、その一方で指摘されているのは、新型コロナウイルスは低温に強いということです。
飯田)低温に強い。
須田)冷凍食品の類に付着しても、活性化しているという状況があるのです。人の流れを抑えたからといって、物流がそのままだと、ウイルスが入って来てしまう。いくら旧来型の防疫体制をやっても、これだけ物流があると、どうしても国内に入って来てしまう可能性が高い。そこをどう考えるのか。
飯田)かと言って輸入を止めて国産だけで対応するとなれば、食料需要が大変なことになります。日本は特に。
須田)そして検疫をどうするか。チェック体制を強化すれば物流が滞ってしまうので、どうバランスを取って行くのか。
高齢者から優先的に新型コロナワクチンを接種するのは日本特有の現象 ~医療提供体制が脆弱なため
飯田)オミクロン株について、重症化率や死亡者のデータがまだあまり出ていませんが、軽症で済む可能性があるとも言われています。医療提供体制を整えておけば、大丈夫なのではないかという指摘もありますが。
須田)日本の場合は、高齢者から優先的にワクチン接種をします。これは日本特有の現象なのです。医療従事者にはどの国も優先的に打ちますけれどね。
飯田)他の国はそうではないのですか?
須田)違うケースが多いです。
飯田)若者も高齢者も制限せず、積極的に打てと。
須田)なぜかと言うと、医療提供体制が脆弱だからです。高齢者は重症化するし、亡くなる方も多い。そこがあるから優先順位をつけた。ですので、日本政府はそのウィークポイントを十分に認識していると思います。
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