ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月1日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。日本で初めて感染者が確認された「オミクロン株」について解説した。
オミクロン株感染者、日本初確認 ~ナミビアから入国の30代外交官
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松野官房長官は、アフリカ南部のナミビアから入国し、空港検疫で新型コロナウイルスの陽性反応が出ていた30代男性について、11月30日、新たな変異株「オミクロン株」が検出されたと発表した。国内でオミクロン株が確認されたのは初めて。
飯田)30代の外交官の男性、ナミビア国籍と。ここまで時間がかかったのは、試薬などが開発されていないので、ゲノム解析しなければいけなかったからだそうです。
既存のワクチンはオミクロン株への効果が低い
佐々木)モデルナのCEOが、「オミクロン株は、既存のワクチンでは効果が低い」ということを「フィナンシャル・タイムズ」のインタビューで答えています。オミクロン株に対応したワクチンをつくるには、数か月はかかるだろうと言っています。
飯田)いまのワクチンでは効果が低い。
佐々木)新型コロナウイルスにはトゲトゲがあるではないですか。あのトゲトゲのところが人間の細胞にくっついて侵入するという仕組みなのです。
飯田)そうですね。
佐々木)そのトゲトゲを「スパイクたんぱく」と言うのですが、今回のオミクロン株だと、既存のものから30ヵ所くらい変異していて、そのうち20ヵ所くらいはトゲトゲの部分の変異だそうです。中身の変異ではなく、トゲトゲが変異している。中身そのものは変わらないのだけれど、既存のワクチンの抗体ではトゲトゲの変異に対応できないということらしいです。
ワクチン接種者はそれほど重症化を心配することはない
佐々木)だから、変異したトゲトゲに対応するワクチンをつくらなければいけないという話です。いろいろな医療従事者の人たちの発信を横断的に読んでいるのですが、現状では、劇的に重症化するようなことはなさそうだと。いまのところ、既存のワクチンを打っていれば、それほど重症化を心配する必要はないようです。ただ、感染力が強いのは間違いないらしいです。
飯田)トゲトゲが変異しているから。
佐々木)どのくらい感染するのかもよくわからないので、今回のような日本の外国人流入禁止という、厳格化対応はよかったと思います。
重症化して倒れる前に感染が拡大するので弱毒化しない新型コロナウイルス
飯田)読売新聞1面トップで、入国禁止の例外の厳格化についても書かれています。日本人の方や永住者の方、その配偶者や子どもは「特段の事情」ということで入れる。その部分も厳格に運用し、水際対策を行うということのようです。
佐々木)新型コロナウイルスは、「感染して変異すればするほど弱毒化する、毒が弱まる」と言われていたではないですか。専門家に聞くと、普通のウイルスは強ければ強いほどすぐ人が死んでしまい、感染しにくくなるため、映画にあるような「すぐに死んでしまうほどのウイルスが拡がって人類が絶滅する」という状況は、現実的にはあり得ないと。そんなにすぐ死んでしまったら、瞬く間に感染が収まってしまうと言います。
飯田)それほど強いウイルスであれば。
佐々木)ただ、今回の新型コロナウイルスは、発症する前に感染する。最も感染が多いのは、発症の数日前という話がありましたよね。重症化して倒れる前に感染が拡大するから、弱毒化しないのだと。
よくできているウイルス
佐々木)そう言われると、新型コロナウイルスが感染し始めたころ、厚労省のコロナ分科会の尾身茂先生が「このウイルスはよくできているな」と感心されたように話しているのをテレビで見たことがあります。いまになってみると、そういうことだったのかと。強い病気を発症させるのに、感染力も強く、弱毒化しないで感染拡大し続けるというメカニズムを、このウイルスは持っているということです。
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