黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(4月8日放送)に健康社会学者で気象予報士の河合薫が出演。人生における「幸せの3つのボール」について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。4月4日(月)~4月8日(金)のゲストは健康社会学者で気象予報士の河合薫。5日目は、人生における幸せの3つのボールについて---
黒木)2022年3月にプレジデント社から出版されました、『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』というご本のなかに、「人は仕事と家庭と健康」と書かれていますが、どういうことでしょうか?
河合)人は3つの幸せのボールを持っています。仕事、家庭、健康、この3つのボールをジャグリングのように、1つのボールも落とすことなく回し続けられなければ幸せにはなれないと考えています。
黒木)ジャグリングのように。
河合)とにかく仕事を頑張りたいと考えるときがありますよね。でも、頑張って仕事はうまくいっていても、気が付いたら家族が壊れてしまった、体が壊してしまったということになると、仕事のボールを高くあげても、他の2つのボールを回せなくなります。
黒木)そうですね。
河合)女性であれば、出産や介護という家庭のボールを高くあげなくてはいけないときがあります。そのときに、仕事や健康のボールを回し続けられるような働き方や生き方ができると、仕事が自分の元気のもとになって、辛いことを少し忘れられたり、居場所を得ることができるのです。
黒木)仕事をすることで。
河合)この3つのボールを回し続けることは、「自分にとって大切なものとは何なのだろう」と考えることにもつながるのです。
黒木)結局は、「幸せになりましょうよ」というメッセージなのですね。
河合)そうです。いまのような不安な時代になると、つい先のことばかり考えてしまい、「こうでなければいけないのではないか」などと考えがちですが、目の前のことを一生懸命やっていくことでしか人生は開けてこないのです。目の前のことを一生懸命やっていれば、必ず見ていてくれる人がいるのです。
黒木)目の前のことを一生懸命やることで。
河合)私自身、「私はもうダメだ、こんなことをやっていても意味はない」と思っているときに、「あなたの書いたコラムに救われました」というようなメールが来て、「書いていてよかった」と思えてまた進もうと思ったこともあります。
黒木)読んでくださった方から。
河合)そして、愛をケチらないでください。子どもがおニューの靴を履いて走っていたら、「カッコいいね」と一言言ってあげる。また、初めて会うような人にも「いいな」と思うことがあれば、声をかけてあげる。声をかければ、向こうもリアクションしてくれます。そうすると心が少し温まるではないですか。
黒木)初めて会った人にも。
河合)私は「思った通りではなかったけれども、意外と人生は捨てたものではないよな、いい人生だったな」と最後に笑えれば、それでいいと思います。
黒木)でも、おっしゃっているような日々の積み重ねがないと、「人生捨てたものではない」とは言えませんよね。
河合)そうは言っても、逃げたくなってしまうようなことはあります。ただ、健康社会学的に言うと、傘は何を使ってもいいのです。お酒を飲みたければ飲めばいいし、愚痴を言いたければ言えばいいし、逃げたければ逃げればいいのです。どのような傘でもいいので、とにかく自分に大変なストレスの雨が降ったときには、傘で凌げば雨は必ず止みます。この地球上で365日24時間雨が降っている地点は1つもありません。
黒木)どのような傘でもいいから。
河合)その時期を凌げれば、雨上がりに草木が成長するように、私たちも成長することができます。自分の傘が足りなければ、「傘を貸してください」と言う勇気を持てばいいですし、自分が元気なときは、「この傘を使って」と傘を差し出せばいいのです。このように話しながら、「自分でもそうしなくては」と自分に言い聞かせています。
黒木)お忙しい日々を送られていると思いますが、他にやりたいなと思っていることはありますか?
河合)プライベートで言うと、30歳過ぎてから、クラシックバレエを勘違いで始めてしまったのですが、これまで1度も発表会に出られていないので、発表会に出てみたいですね。
河合薫(かわい・かおる)/ 健康社会学者・気象予報士
■小学4年から中学1年まで米国アラバマ州で過ごす。
■千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸入社。
■1994年、気象予報士第1号としてテレビ朝日系 「ニュースステーション」等多数のメディアに出演。
■2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。2007年に博士課程を修了(Ph.D.)。
■産業ストレスやキャリア発達、健康生成論の視点から調査研究を進め、働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数はおよそ900人にものぼる。
■長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学医学系研究科講師、早稲田大学非常勤講師等を務め、現在は健康社会学者として、執筆・講演活動、テレビ・ラジオ等でも発信を続け、「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、活動を行っている。
■2022年3月16日、『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』を発売。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳